お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

封じ手







 「りょうちゃん。好き…」

 この状況でそんなこと言われたらさ…いろいろやばい。だってさ、まゆとホテルの一室で2人きりでまゆを抱きしめながらベッドで横になってんだよ。普通我慢できないからね!

 「りょうちゃん。まゆ、りょうちゃんのこと好き!」
 「…………」
 「ねー、りょうちゃん!まゆ!りょうちゃんのこと!すき!」
 「ぼ、僕もまゆのこと好きだよ。大好き」

 僕がそうやって返事をするとまゆは、じゃあ、わかってるよね?と言うようにギュッと僕に体を当ててくる。

 「まゆのこと大好きだよ。春香のことも大好き。ゆいちゃんのことも大好き」
 「りょうちゃんのばーか」

 不満そうにそう言ってまゆはそっぽ向いてしまう。かわいい。

 「まゆ、ごめんね」

 僕から少し離れて僕に背中を向けていたまゆを背後から抱きしめると、まゆは許してあげる。と言ってくれた。

 まあ、でも、まゆがかわいすぎたので、少しだけ、いつもやっているようないちゃいちゃをしてからまゆを抱きしめて眠る。

 まゆと2人きりの夜はすごく静かだけど、まゆが僕をずっと抱きしめていてくれているからすごく温かい。

 「りょうちゃん、まだ起きてる?」
 「うん。起きてるよ」
 「まゆが寝るまで起きててね」
 「うん。わかったよ」
 「で、でも、まゆが先に寝たからってまゆに変なことしたら怒るからね。そういうことはまゆが起きてからにして…」
 「うん。わかっ……しないから安心して」

 慌てて訂正するとまゆは笑いながらしてくれていいのに。とか言いだす。たぶん、まゆは僕が絶対に今はそういうことをしないとか思ってる。春香とゆいちゃんに申し訳ないから。って必死に耐える僕を少し揶揄っているのだろう。でも、僕だって男だからさ…まゆにそういうことされ続けられると、本当に取り返しのつかないことをしてしまう。

 「まゆ、おやすみ」
 「うん。おやすみ」

 取り返しのつかないことになったら、春香とまゆとゆいちゃん全員に申し訳ないし、僕は僕を許せなくなる。だから、そうなる前に寝ることにした。

 眠りにつく直前に、まゆが僕の肩をツンツンして、顔を近づけてきたので、眠る前に一回キスをした。キスをして、封じ込めた。愚かな僕の欲望を…

 幸せそうに僕を抱きしめるまゆを見て僕も眠りについた。何もしてない。だから、明日からも、4人でいられる。4人でいることを自分自身が許してくれる。

 きっと、誰か1人だけと特別になった場合、僕は4人で一緒にはいられないと思う。だから、押さえ込んだ。このまま、まゆと一線を超えてしまいたいという感情を…







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