お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活
寂しい。
 「りょうちゃん、今日もお疲れ様。送ってくね…」
 「え、どうして?」
 「え?」
 バイト終わりに、まゆの車に乗って僕だけをアパートに送ろうとしたまゆにどうして?と尋ねるとまゆはキョトンとした表情をしていた。
 「今日はまゆと一緒にいるよ。約束したよね。まゆの誕生日は1番最初に、まゆの隣でお祝いする。って…まゆの誕生日はずっと、まゆと一緒にいる。って…まゆのお母さんからお泊まりの許可もらってるからさ。今日は、まゆの実家にまゆと一緒に行っていいかな?」
 「ちょっと待って…りょうちゃんいつの間にママと連絡先交換したの?」
 「まゆがまた前みたいにバカなことした時のためにね。ずっと内緒にしてたけど…お母さんも心配してたよ。まゆが最近ずっと家にいて夜はお布団の中で泣いてる。って…」
 「ちょっ……ね、捏造…だから……忘れて……」
 「やーだ。泣いてる彼女を放っておけないから。まゆが泣いてたらまゆの隣にいてあげたいもん」
 
 そう言って、まゆの方を見ると、今すぐ泣き出してしまいそうなくらいまゆの眼はウルウルとしていた。
 「は、春香ちゃん…1人で可哀想だよ……」
 「まゆだって、この前からずっと1人だったじゃん。それに春香は大丈夫だよ。ゆいちゃんと一緒にいるはずだから」
 「え!?」
 それはあり得ない。と言った様子のまゆを見て、やはりまゆとゆいちゃんは何かしら2人で話して、最近の行動をしていたことを悟った。
 「陽菜とりっちゃんさんからお泊まり会にゆいちゃんを誘ってもらったの。ゆいちゃん、秒でOKしたらしいよ。OKもらってから、陽菜が春香がいるの伝え忘れた…って言ってたから、りっちゃんさんのアパート行ったらゆいちゃんはびっくりすると思うけどね」
 「何それ、ずるい。あ、えっと、そうだ。あ、アパート1日誰もいないのは不用心だよ…」
 「まゆ、流石に無理があるよ…そんなにアパートのこと心配なら、アパートに2人で帰ってもいいよ」
 「いや、それは……」
 必死になって、何か適当な理由を考えているまゆ…正直、見たくない。それに、こんな表情で…僕と一緒にいなくて済む理由を探して欲しくない…
 「まゆ、僕のこと…嫌い?」
 「そ、そんなわけないよ。大好きだよ」
 「じゃあさ、一緒にいてよ。まゆが隣にいてくれないと寂しい。そんな顔してないでさ、いつもみたいにかわいらしく笑ってよ。お願い」
 僕がそう言うと、いよいよ涙を堪えきれなくなってまゆは泣き出してしまう。まゆを抱きしめて、ずっと側にいて。と囁くと、まゆは小さな声でわかった。と短く答えてくれた。
 
 
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