お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

辛かった。





 「りょうちゃん、迷惑かけて…心配かけてごめんなさい」
 「大丈夫だよ。とりあえずさ、戻ろう。ゆいちゃん、まゆのことすごく心配してたからさ…春とは少し距離を置こう。まゆがもう会いたくない。って言うならまゆに近づかせないようにするし、落ち着いてから話がしたいって言ってくれたらそれができるようにもする。まゆが望むように僕は動くから…」
 「ありがとう」

 まゆと手を繋いで、部屋に戻る。部屋に戻ると春香とゆいちゃんが出迎えてくれた。ちょっとだけ、みんなの眼の下に涙の跡があったが、みんなで朝ごはんをいただいて、予定通り観光とかを楽しんで、4人でいっぱい写真を撮ったりして思い出を作る。

 そして、楽しかった旅行はあっという間に終わってしまった…春香とまゆとゆいちゃんに大きくて深い傷を残して……


 
 「りょうちゃん、お帰りなさい」
 「うん。ただいま…」

 旅行から数日が経過した。僕の元にも春香の元にも、春からは一切の連絡がない。

 そして…

 「1人?」
 「うん。りょうちゃんも…1人?」
 「うん……」

 あの旅行から帰って、4人でいつものようにアパートのリビングで寝た翌日から、まゆとゆいちゃんはこのアパートに帰って来ていない。まゆは実家に…ゆいちゃんは自分が借りてるアパートにいる。

 「今日は帰って来るよね。って聞いても…ダメだった…」

 バイトが終わってから、まゆにアパートまで送ってもらう時に、まゆに聞いた。その時のまゆの表情が…とても、見ていられなかった。

 「さっき、ゆいちゃんのバイト先行ってね。夜ご飯用にお弁当お持ち帰りさせてもらったの…4人分頼んだのに…2人分しかくれなかった…」

 泣きそうな表情になる春香を僕は抱きしめる。せめて、僕だけは…春香の側にいるよ。と伝えたかった。そして、春香に僕の側にいて欲しかった。

 普段、大学とか、バイト先とかでは、まゆもゆいちゃんもいつも通りに僕と春香と接してくれる。

 でも、それ以外の場面では…まゆもゆいちゃんも、なんていうか、遠慮する。というか、距離を置こうとしていた。どうして。って思う。せっかくさ、春香とまゆと3人で一緒にいられるようになって…春香とまゆとゆいちゃんと4人で一緒にいられるようになったんだよ。

 まゆとゆいちゃんは誰に…気を遣ってるの?嫌だよ。僕も春香も、まゆとゆいちゃんが自分から望んでもいないのに、僕たちから距離を置くのは嫌だよ。耐えられないよ。

 この数日、本当に辛かった。
 
 きっと、春香もまゆもゆいちゃんも…

 辛かったと思う。






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