お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

1年目の後期






 「りょうちゃん、早く起きて」

 夏休みが終わり、今日から後期日程が始まる日の朝、まゆに起こされて目を覚ますと、目の前にはバッチリと着替えを済ませてお洒落な格好をした春香とまゆとゆいちゃんがいた。

 「どう…かな?似合う?」
 「めっちゃかわいい」

 即答した。迷う余地もない。めっちゃかわいい。春香もまゆもゆいちゃんも、昨日、僕がプレゼントした服をさっそく着てくれていた。ただでさえかわいい3人がいつもの数倍かわいく感じた。

 「えへへ。早起きした甲斐があった!」

 ゆいちゃんがめっちゃ嬉しそうに言う。その隣で春香とまゆが疲れた表情をしているところを見ると、よほどゆいちゃんを起こすことが大変だったのだろう。というか、よく僕を起こさないでゆいちゃんだけ起こせたなぁ。すごい。

 「りょうくん、私だって起きないといけない時はちゃんと起きるからね」
 「え?」
 「今、絶対、私が中々起きなくて春香ちゃんとまゆちゃんが大変だった。とか考えてたでしょう」

 春香とまゆだけでなく、ゆいちゃんにまで思考を読まれるようになってる!?エスパーは2人で十分だったのに……まあ、でも、嬉しいこと…なのかな?それくらい、僕のことをわかってくれてると言うことなのだから。

 「ゆいちゃんを起こすの、大変だったのは事実だよね」

 まゆが呆れた表情で言うとゆいちゃんはえへへ。とちょっとだけ申し訳なさそうに言う。やっぱり大変だったんだ…

 「あ、急がないと…遅刻、しちゃう……」

 朝からそんなやり取りをして笑っている時も時間は流れていて、割と余裕をもって起こしてくれたはずなのに割とやばい時間になっていた。

 僕は慌てて自分の部屋に行って着替えを済ませて、歯磨きと顔洗いを済ませてリビングに戻る。リビングに戻ると、まゆにちょっとだけ冷めたトーストを口に咥えさせられた。

 「りょうちゃん、ごめん。時間ないから、朝ごはんそれで許して。早く食べて」

 そう言いながらまゆたちは僕が着替えたりしている間に食べ終えた自分たちの分の朝ごはんに使った食器を片付けたり朝から洗濯した洗濯物を干したりしてくれていた。やばい、何もしなさすぎてめっちゃ申し訳ない。

 「りょうちゃん、準備できた?」
 「うん」

 まゆに確認をされて、僕がうん。と答えると春香とまゆとゆいちゃんも大学の用意が入ったカバンを手に持つ。

 「りょうちゃん、忘れ物してるよ」
 「え?」

 まゆに言われて振り返るがまゆは自分のカバン以外持っていなかった。一瞬、何を忘れてるのか考えてしまったが、すぐに忘れ物が何か気づいた。

 「春香、まゆ、ゆいちゃん、朝からありがとう。何も手伝えなくてごめんね」

 そう言って1人ずつ丁寧に抱きしめてあげる。こんな大事なことを忘れていた自分は本当にバカだわ。

 「えへへ。りょうちゃんは朝からまゆたちを幸せにする。って責務を果たしてるからそれで十分だよ」

 まゆの言葉に春香とゆいちゃんも頷いて同意してくれる。そう言ってもらえると、めちゃくちゃ嬉しいのだが、やっぱり僕だけ何もしなかったのは申し訳ないので帰ったらお風呂掃除でもしよう。

 「あ、やばい、そろそろ本気で遅刻しちゃう」

 まゆにそう言われて4人で慌ててアパートを出て、駐車場まで走ってまゆの車に乗って大学に向かう。

 大学の駐車場についたのは講義が始まる直前で、車を停め終えてから4人で教室までめっちゃ走る。

 「じゃあ、春香、まゆ、ゆいちゃん、また後でね」
 「「「うん」」」

 春香とまゆとゆいちゃんの返事を聞いてから僕は3人と別れる。春香とまゆは2人で教室に入り、ゆいちゃんは別の教室に向かって走っている。僕も、1人で教室に入る。

 なんとか間に合ってホッとしながらどこに座ろうか考えていると、陽菜が1人で座っていたので、陽菜に声をかけて陽菜と一緒に講義を受けようと思い、陽菜の方へ向かって行く。

 朝からバタバタしたけど、朝からすごく幸せで、これから始まる後期の生活やイベントがすごく楽しみだと思いながら、陽菜に声をかけた。






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