お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

明日に備えて





 「りょうちゃん、まゆ、この講義取るけどりょうちゃんも一緒に取らない?」
 「え、ずるい。私もその講義取る」
 「まゆちゃんと春香ちゃんだけずるい。私も、その講義取ります」

 明後日から大学の後期の講義が始まるタイミングで講義の履修について考えていると、まゆに同じ講義受けよう。と言われて春香とゆいちゃんも便乗する。

 「まゆと春香は去年取らなかったの?」
 「うん。まゆの学科だと選択科目だから」
 「そっか、僕は卒業必修科目だから当然受けるよ」

 僕とまゆと春香は学科は違うけど同じ学部だから、こうして講義が被ることは今後もあるかもしれない。問題はゆいちゃんだ。ゆいちゃんは学部も違うから絶対講義がかぶることはない。

 「春香ちゃんとまゆちゃんだけずるい!私もりょうくんと講義受けたい!」

 頬を膨らませて駄々をこねるゆいちゃんかわいい。単位は出ないけど一緒に受けることは一応可能ではあるが、ゆいちゃんの履修状況を見ると、僕と春香とまゆが受けようとしていた講義の時間に、ゆいちゃんの学部の卒業必修科目が入っていて不可能だった。

 「ずるいずるいずるい」
 「ゆいちゃん、落ち着いて。講義だから、仕方ない」
 「私も…一緒に受けたかった」

 まゆがゆいちゃんを宥めようとするが、ゆいちゃんは治らなかった。

 「じゃあ、ゆいちゃんが空いてる時間に僕と一緒に講義受ける?」
 「4人で受けたいの…」

 わがままだけどめっちゃかわいい。僕と春香とまゆは慌ててもう一つ3人で同じ講義を履修して、そこにゆいちゃんも一緒に受ける形になった。

 履修の確認とかを終わらせた後は、まゆと一緒に後期のバイトのシフトの入れ方について相談する。僕とまゆが、バイトのシフトについて話してるのを聞きながら春香とゆいちゃんもバイトの調整をしていた。

 「結局、北海道旅行、行けなかったね」

 夏休みに春香とまゆと行きたい。と言っていたが、ゆいちゃんも一緒になってスケジュールが上手く合わなくなって結局行けなかった。だから、残念そうにしている春香には申し訳ないけど来年とかに持ち越しかな…

 「まあ、でも、幸せだったからいいじゃん」

 残念そうにしていた春香にまゆが笑顔で言うと、春香は笑顔で、うん。そうだね。と言ってくれる。

 実際は幸せなことばかりではなくて、辛いこともいっぱいあったのに、最後はこうして幸せそうな表情で幸せだった。と言ってくれる春香とまゆを見て、僕もすごく幸せな気持ちになる。

 「春香ちゃん、まゆちゃん、まだ夏休みは終わってないですからね。まだ、明日がありますから」
 
 明日、夏休み最終日はみんなバイトの予定をなくして、最後に思いっきりデートを楽しむことにしている。

 「じゃあ、明日に備えて今日は早く寝よ。ぶっちゃけ今日のバイト疲れたから早く寝たい…」

 まゆが欠伸をしながら言う。たしかに、今日のバイトはハードだった。新刊発売日は商品の補充とレジが忙しいからまじで疲れるんだよな……今日はまゆとみはね先輩と本屋さんを走り回った……

 「じゃあ、じゃんけんしましょう」

 ゆいちゃんの掛け声に合わせて、じゃんけんが始まる。今日は春香とまゆがじゃんけんに勝ったので、今日の僕は春香とまゆの抱き枕にされる。

 4人でおやすみ。と言ってお布団に入ると、まゆは速攻眠ってしまう。よほど疲れていたんだろうな。まゆにお疲れ様。と言って少しだけ頭を撫でてあげる。まゆを起こさないように、優しく、撫でてあげる。

 「まゆちゃん、もう寝ちゃったんだ」

 僕の隣で横になって僕をギュッと抱きしめながら春香が呟く。

 「今日めちゃくちゃ忙しかったから疲れちゃったみたい」
 「そっか、じゃあ、りょうちゃんも疲れてるはずだよね。お疲れ様。明日に疲れ残さないようにゆっくり寝てね」

 そう言って僕の頭を撫でてくれる春香が優しすぎる。お疲れ様。と声をかけてもらえただけで、すごく癒されて僕も明日のデートを楽しみに思いながらすぐに眠ってしまう。

 






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