お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

if 2人で





 「えへへ〜」

 先程から抜けた表情でめっちゃ幸せそうに食事を楽しむ彼女がかわいすぎるよ。

 「りょうちゃん、はい、あーんしてあげる」

 小さな個室がいくつも用意されているタイプのお店なので人目を気にせずにこうやっていちゃいちゃできるからまゆのテンションがあがりまくっててやばい。さっきから自分の手で食事してないもん。全部まゆに食べさせてもらってるもん。

 そのお返しに僕はまゆに食事を食べさせてあげる。2人でシェアできる量の料理を注文してお互いに食べさせあっているやばいカップルになってしまっていた。

 そんな幸せな食事が終わり、今度はまゆとドライブをする。景色のいい海沿いの道をいつものように走ってお菓子を摘んだりしながらまゆと楽しくお喋りをして景色を楽しむ。そして、見晴らしのいいと評判の高台に到着して近くの駐車場に車を停めて、少し歩いたりして高台からの景色を楽しむ。

 高台の見晴らしが良い場所にベンチが置かれていて僕はまゆと並んでベンチに座る。ベンチに座るとまゆが僕にもたれかかってきて、そっと僕の手に自分の手を重ねていた。めっちゃかわいい。

 「綺麗だね」
 「うん。めっちゃ綺麗。ねえ、まゆとどっちの方が綺麗?」
 「まゆの方が綺麗に決まってるじゃん」

 景色と人を比べるな。とか言われそうだけど、迷わず答える。実際、まゆの方が綺麗でかわいくて美しいし…

 「えへへ。ありがと。りょうちゃん大好き」
 「僕もまゆのこと大好きだよ」

 お互いに大好き。と言いあった後は、お互いに顔をちょっとずつ赤くしてキスをする。完全にバカップルになってしまっているけど、幸せだから気にしない。

 「ねえ、りょうちゃん…も、もしも…だよ…まゆがさ…ずっとこのままりょうちゃんと2人でいたい。って言ったらどうする?」

 僕の顔から目を背けて、まゆは僕に怯えるように尋ねる。まるで、もしもの話ではなく、本気の話をしているように思えた。

 「まゆのことはすごく大好きだよ。まゆと2人で一緒にいるとすごく幸せだし、ずっと幸せでいられると思うよ。でも、僕はまゆが好きになってくれた僕のままでいたい。今までみたいに、まゆと春香とゆいちゃんと幸せでいたい。3人を幸せにする約束をなかったことにはしたくない」
 「まゆはどんなりょうちゃんでも大好きだよ。りょうちゃんのことが大好き。どれだけりょうちゃんが変わっても、まゆのこの感情だけは揺るがないと思う」
 「そっか。ありがとう。まゆにいっぱい愛してもらえて僕は幸せだよ」

 ずるい気はするが、そう言って、ちょっとだけ強引に話を終わらせた。

 「りょうちゃん、まゆはりょうちゃんのこと大好きだよ」

 そう言って僕を力強く抱きしめるまゆを僕はいつものように優しく抱きしめ返す。

 「僕も、まゆのことが大好きだよ」

 先程、交換した心の底からの大好き。とは違い、今回の大好き。の交換は、何処か形式的なものであるように感じた。

 「そろそろ行こうか。えっと、次はお買い物行きたいんだよね?まゆとお買い物楽しみだなぁ。服とか見ようよ。まゆがいろいろな服着るの見たいなぁ。ほら、まゆ、行こう」

 そう言って僕はまゆに手を差し伸べる。まゆは僕の手をそっと握って、僕の隣を歩く。幸せそうな表情の中にある、何か不安定そうなまゆの瞳を見て、僕は少しだけまゆの手を強く握る。

 大丈夫。何があっても、まゆの側にいる。まゆを幸せにする。と誓うように、僕はまゆの手を強く握った。

 「ありがと。買い物、行こっか!まゆ、新しいお洋服欲しかったんだよね。あ、でも、まゆの服も選んで欲しいけど、まゆ、りょうちゃんの服選んであげたい」
 
 一瞬で、いつものまゆにまゆは戻ってくれた。それを見て安心しながら僕は強く握っていた手の力を少し緩める。

 「じゃあ、選びあいっこしようか」
 「うん。そうしよ」

 まゆは笑顔でそう返事をしてくれる。車に乗って、次の目的地に向かう際、まゆは片手を僕の手から離してくれなかった。






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