お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

お願い






 「うぅ…痛いよぅ……」
 「だから、体痛めるからやめときなって言ったじゃん…」

 朝、僕たちが起きた後にお布団で横になっているゆいちゃんに膝枕してあげながら僕が言うと、ゆいちゃんは幸せそうなりょうくんの寝顔を一晩中堪能できたからいいの。とかわけわからんことを言う。やれやれ…

 「りょうちゃん、ゆいちゃん、朝ごはんできたけどどうする?」
 「食べます〜」

 一晩中ずっと僕に膝枕してくれていて足と腰が痛い。と言って横になっていたゆいちゃんだったが、朝食の匂いの誘惑に誘われてイタタ。と言いながら立ち上がり朝食が用意されたテーブルに向かう。

 「ゆいちゃん、大丈夫?」

 春香が心配そうに尋ねるとゆいちゃんは苦笑いしながら大丈夫です。と答える。

 「膝枕は今度から禁止ね。じゃんけんに負けたら大人しく私かまゆちゃんの隣で寝ること」
 「はーい」

 という感じで膝枕は禁じ手にされました。朝食を食べた後、春香はバイトのためアパートを出て大学に向かう。僕は朝食の後片付けをしてからお布団で横になっていたゆいちゃんとまゆの元に向かう。

 「今日はどうする?春香ちゃんバイトだし、ホールで楽器吹く?」
 「う、動けないです…」
 「あはは…そっか、じゃあ、今日は春香ちゃん帰ってくるまでグダグダしてよっか…」
 「賛成です〜」

 ということで、僕はまゆとゆいちゃんに腕を抱き枕として使用されて再びお布団へ……昨日、ほとんど寝れなかったらしいゆいちゃんはすぐに爆睡してしまった。

 「えへへ。これで今日はまゆがりょうちゃんを独占できるなぁ」
 「独占って…なんか言い方悪いよ……」

 ゆいちゃんが寝て、起きているのが僕とまゆだけになった瞬間、まゆがギュッと僕の腕を抱きしめる力を強くする。まゆの柔らかい体とまゆの温かさを間近で感じて、つい、ドキドキしてしまう。

 「まあ、まゆが独占するって言ってもゆいちゃんが側にいるから2人きりでお喋りするくらいしかできないか…」

 そう言ってまゆはあと少し顔を動かせば唇と唇が当たってしまいそうなくらい至近距離に頭を置いて僕と向かい合う。まゆの顔を間近で見て、すごくドキドキする。すごく、可愛くて、すごくドキドキした。

 「な、何話す?」

 照れを誤魔化すように僕は慌ててまゆとの会話を開始しようとするとまゆはクスリと笑う。まるで、僕が照れていることが筒抜けになっているような感じがして恥ずかしかった。

 「うーん。何でもいい。りょうちゃんとお話しできればまゆは幸せだから」

 かわいすぎかよこの天使は……あー、もう。かわいい。めっちゃかわいいよ。そんな笑顔で言わないでよ。かわいすぎてやばいから……

 「あ、やっぱり話したいことあった」
 「ん?何?」
 「前から予定はしてだけど日程は決めてなかったからさ…明日のバイト終わりにまゆと一緒にまゆの実家に帰省しよ」
 「急だね…僕はいいよ。春香とゆいちゃんが大丈夫なら明日にしようか」

 僕がそう言うとまゆは何か言いたそうな表情をしたので、僕はまゆの言葉を待つ。

 「え、えっとさ…春香ちゃんとゆいちゃんには申し訳ないけど、あ、明日の帰省はまゆとりょうちゃんの2人でしたい。春香ちゃんとゆいちゃんを連れての帰省はまた別日にってことでさ……」
 「え…」
 「りょうちゃん、お願い」

 なんで2人で帰省したい。とまゆが言い出したのか理由はよくわからない。だが、理由は聞かないで。と僕に言うようにまゆは僕にお願い。と返事を求める。

 「だめぇ?」

 返事に戸惑っているとまゆが甘い声と悲しい声を合わせたような反則級の声で僕に追い討ちをかけてくる。結果、僕は春香とゆいちゃんの了承をしっかりと得ることを条件に了承した。







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