お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

諦められない幸せ





 「は、離してよ…なんで……りょうくんは私を離してくれないの?わがまま言わないでよ…4人で付き合うなんて…できるわけなかったのに……」

 ゆいちゃんを抱きしめたまま海に落下してゆいちゃんを抱きしめて海から上がろうとする僕にゆいちゃんは泣きながら言う。

 「たしかに僕はわがままだよ…でも、それを言っていいのは春香とまゆだけ…もともとはゆいちゃんのわがままから始まったんだから…わがまま言って4人になって、気に入らないことがあったから別れるなんてわがまま…許さないから……」

 そう言ってゆいちゃんを先に海から出した後、僕も堤防に手をおいて堤防をよじ登り海から出る。

 「帰ろう」
 「やだ」
 「帰るよ」
 「嫌だ…」
 「じゃあ、離して…」
 「いや…だ……」

 泣きながら僕を抱きしめて離してくれないゆいちゃんを僕は抱きしめ返す。

 「帰ろうよ」
 「もう…嫌なの……りょうくんを独り占めできないのも、私がわがまま言って春香先輩に気を遣わせちゃうのも、私がわがまま言って、まゆ先輩に嫌われるのも、私がわがまま言って4人の空気が悪くなっちゃうのも全部…嫌なの…私、りょうくんのこと、世界で一番大好き…その次に、家族と春香先輩とまゆ先輩のことが大好き。私、わがままだからさ…世界で一番大好きな人には一番側にいて欲しくなっちゃうの……そのせいで、りょうくんと春香先輩とまゆ先輩の仲まで悪くなったら本当に嫌なの…」
 「帰ろう」

 僕はゆいちゃんの手を握って、ゆいちゃんを連れて歩き始める。

 「まだ、僕のことを好きでいてくれて春香とまゆのことも大切に思ってくれてるなら…大丈夫。帰るよ」

 僕の言葉にゆいちゃんは何も言わずに黙って僕の隣を歩き始めた。泣きながら歩くゆいちゃんを慰めながら、僕はゆいちゃんを連れてアパートに戻る。


 「おかえりなさい」
 「おかえり」

 アパートの部屋の扉を開けると玄関で春香とまゆが待っていてくれていた。2人とも、心配してくれていたのだろう。

 「ただいま」

 僕は春香とまゆに返事をするが、ゆいちゃんは春香とまゆに怯えるように僕の背に隠れてしまう。

 「ゆいちゃん、おかえり」
 「た、ただいま……」

 まゆが優しくゆいちゃんにおかえり。と言ってあげるとゆいちゃんは顔を少しだけ僕の背からひょこっと出してまゆに返事をする。

 「で、なんで2人ともずぶ濡れなの?天気いいし濡れる要素がないはずなんだけど…」
 
 春香がすごく不思議そうに僕とゆいちゃんに尋ねながらお風呂場からタオルを持ってきて僕とゆいちゃんに渡してくれる。

 「えっと…う、海に落ちちゃって……」
 「「はぁ?」」

 僕が答えると春香とまゆは口を揃えてわけわかんない。と言うような表情をする。まあ、そうなるよね……

 「と、とりあえず服脱いでシャワー浴びて着替えなさい。風邪ひくから…順番待ち…してたら遅くなっちゃうから2人でさっさと入っちゃって…お説教はそのあと…あと、りょうちゃんは今晩、私とまゆちゃんと一緒にお風呂入ること…」

 とまあ、そんな感じで春香に言われた通りゆいちゃんとシャワーを浴びる。ゆいちゃんはすごく喜んでいたが喜んでいられる状況じゃないよ……

 「りょうくん、背中流してあげる」
 「さっきまでのゆいちゃんはどこに行ったの!?」
 「うーん。たしかにさっきまでは泣いてたけど…せっかくりょうくんを独り占めできるんだから楽しみたいじゃん。ほら、お背中お流しします」
 「え…ちょ……」

 そう言って僕の背後に回るゆいちゃん僕の背中を洗ってくれるのだが…た、たまに…ゆいちゃんのデカすぎる胸が当たったりしてなんかいろいろやばい。

 「シャワー浴びるだけで背中流したりしろなんて春香ちゃんは言ってないけど」

 さっさと出ろ。と催促するように扉越しでまゆに言われて僕とゆいちゃんは慌ててお風呂から出る。

 「ちゃんと話せる?」
 「わからない。怖い…でも、もう逃げないよ。今、すごーく幸せだったから…今みたいな幸せをもっと味わいたい。って思っちゃったからすごーく頑張れる」
 「そっか」

 僕はゆいちゃんと一緒にリビングに向かい、春香とまゆと話し合いを始める。








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