お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

寂しかった。





 春香→号泣
 ゆいちゃん→号泣+激しくキレてる
 まゆ→涙目になりながら自分は冷静でいようと深呼吸してる。

 朝から何という光景を見せられているのだろう……最悪の目覚めだ。ちなみに、最悪の目覚めの原因となった人は僕の隣で僕と共に正座中だ。ゆいちゃんが陽菜に送った写真を見て、涙目になりながら震えている。僕も泣きたい。

 え、これ、僕、何も悪くないよね?ちゃんと話せばわかってくれるよね……まゆはともかく……春香とゆいちゃんに話通じるかな……

 「さて、揃ったし…とりあえず話、始めようか……え、えっと、とりあえず、春香ちゃん、泣いてていいから話だけは聞いててね。ゆいちゃんと陽菜ちゃんはお、落ち着いて…は、陽菜ちゃん……指揮棒振り回すの一旦やめようか。えっと、とりあえず話聞こう。お願いだからその指揮棒でりょうちゃんかりっちゃんに暴力振るうのはやめてね」

 陽菜がやってきて、ブチギレてる人が2名になった。指揮棒を持って部屋に押しかけてきた陽菜を涙目のまゆが必死に抑えてとりあえず僕とりっちゃんさんの言い分を聞こうとしてくれる。まゆが冷静じゃなかったら破局していた可能性大なので本当にありがたい。

 のだが…ぶっちゃけ僕も状況理解してないからわからない。

 「えっと…その、陽菜、確認なんだけど、昨日、りっちゃんさんと揉めたのは本当?」

 陽菜は泣きながら頷く。

 「春香、まゆ、スマホ持ってる?持ってたら昨日の夜中にりっちゃんさんから着信履歴あると思うんだけど確認してもらえる?」

 先程までまゆが3人のスマホを預かっていたみたいなので、たぶんまだ春香もまゆも確認できていないだろう。泣き続ける春香は無理そうなので、まゆが自分のスマホを開いて確認していた。

 「う、うん。いっぱい着信履歴あったよ。あと、陽菜ちゃんと喧嘩して、陽菜ちゃんを追い出すわけにいかないから私が部屋でて今晩寝る場所ないから泊めてくれない?ってメッセージもきてる」

 まゆがそう説明すると、りっちゃんさんがここに来た理由がわかってちょっと落ち着いたのか春香が少しだけ泣き止む。

 「部屋に来た事情はわかったけど、なんで2人で寝てるわけ?」

 ゆいちゃんが淡々と質問する。まあ、そうだよね。ぶっちゃけ僕もわからないからりっちゃんさんが答えて欲しい。

 「抱き枕が欲しくて……」

 何その理由………まゆが呆れて、春香はまだ泣き続けて、陽菜とゆいちゃん激怒……カオスだよ。

 「その…りょうちゃんは本当に、昨晩、私をリビングに寝かせて、りょうちゃんは自分の部屋で寝て別の部屋で寝ようとしてたんだけど…その……陽菜がいないと寂しくて寝れなくて……さ、寂しすぎたからつい……寝てるりょうちゃんを抱き枕にしちゃって……りょうちゃんは悪くないから、春香ちゃんもまゆちゃんもゆいちゃんもりょうちゃんを責めるのはやめて……悪いのは私だから……」

 りっちゃんさんが説明すると春香が少し落ち着いてまゆもホッとした表情を見せる。ゆいちゃんの怒りも……多少は和らいだかな……

 「りっちゃんさん……陽菜、昨日、寂しかったんですよ。せっかくりっちゃんさんのお部屋でお泊まりできたのに…りっちゃんさん、陽菜を置いてどこか行っちゃうし…いつになったら帰ってきてくれるんだろう。ってずっと、泣きながら待ってたんですよ。それなのに、朝、ゆいちゃんから男とぐっすり眠ってる写真を送られてきた陽菜の気持ちわかりますか?」

 めちゃくちゃ泣きながら陽菜はりっちゃんさんに問う。たしかに、辛いだろうな……やっぱり、昨日、意地でもりっちゃんさんを陽菜が待つりっちゃんさんのアパートの部屋に送り届けるべきだったと今更になって後悔するが、今更後悔しても遅い。

 「陽菜…本当に寂しかったんですよ。陽菜が…あれだったから不機嫌で…りっちゃんさんなりに気を遣って陽菜を1人にしてくれたのかもしれないですけど、陽菜、りっちゃんさんと一緒にいたかったです……」

 泣きながらりっちゃんさんに訴える陽菜の言葉はりっちゃんさんに深く突き刺さったように感じる。りっちゃんさんは黙って立ち上がって泣きながら陽菜の元に移動して陽菜をギュッと抱きしめる。

 「ごめんね。私も、陽菜と一緒にいたかった。でも、今まで陽菜と喧嘩したことなくて、昨日初めて喧嘩して怖かったの…陽菜とギスギスしたくなかったの。ごめんね。寂しい思いさせて…ごめん。本当にごめんなさい」

 泣きながら謝るりっちゃんさんを陽菜はそれ以上責めなかった。陽菜は泣きながらりっちゃんさんを抱きしめ返す。こ、これで…一件落着……とはいかないだろうなぁ。

 まだ不満そうな表情のゆいちゃんをチラッと見ながら僕は軽く心の中でため息を吐いた。







コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品