お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

ぼっち生活






 「りょうちゃん、じゃあね。また明日」

 旅行が終わった翌日、バイトが終わってアパートに帰ると僕はアパートで1人になった。僕とまゆがバイトしている間に春香とゆいちゃんが夜ご飯を1人で寂しく食べる。春香とまゆとゆいちゃんに会いたい……

 こうなったきっかけは突然だった。

 「ゆいちゃんがりょうちゃん欲求を抑えられるくらいまゆと春香ちゃんのことも好きになればいいんだよ」

 お昼ごはんを食べた後、どうすれば4人の関係が良いものになるかを話し合った際にまゆがそう言い始めたことが始まりだ。

 「えー、そのいい方なんですか。私、りょうくんのこと大好きですし、春香ちゃんとまゆちゃんのことも好きですからいなくなるわけないじゃないですか。せっかく掴んだ幸せを離したりはしませんよ」

 午前中、アパートにやって来た後にゆいちゃんは僕のことは大好き。と言ってくれたが、春香とまゆは好き。止まりだった。それを改善出来れば、4人の関係はより良いものになる。と、まゆが言い出した為、春香とまゆとゆいちゃんは今日から明日の夜までゆいちゃんのアパートで女子会をするみたいだ。

 と言うわけで本当に久しぶりにこの部屋で1人きりになった。正直言ってめちゃくちゃ寂しい。いつもなら春香かまゆ、ゆいちゃんが隣にいてくれたのに今日は1人だけで静かなリビングでスマホをいじっている。春香とまゆとゆいちゃんの4人のLINEグループにメッセージを送っても返信どころか既読すらつかないのを見ると、女子会は問題なくできているのかな……

 「寝よ……」

 メッセージに反応すらないのを見て寂しくなり、僕は何故かリビングの布団を敷き始めた。しかも、2枚……

 「…………」

 自分から地雷踏んだよ。1人しかいないのに自室じゃなくてリビングで寝ようとしたり1人しかいないのに2枚布団敷いたり……無意識のうちに春香とまゆとゆいちゃんを求めてる気がする。いや、もうこれが当たり前になって体に染み付いているだけかもしれない。こうして、狭い布団の上で3人や4人で寝ることが当たり前になっていて、毎晩、布団は僕が敷いていたから……

 「どうしよう……」

 自室で寝ようかリビングで寝ようか悩んだ。リビングで寝たら、きっと寂しい。春香とまゆとゆいちゃんがいなくて寂しい。自室で寝たら……春香とまゆとゆいちゃんがいなくて寂しい。どっちも同じか…なら、布団敷いちゃったしリビングで寝るか……

 そう思いながらドライヤーで髪を乾かして歯磨きなどをして寝るための準備を終わらせた。

 そして、リビングの電気を消して寝ようとするが…寝れなかった。寂しい。スマホの画面を見るがまだ既読つかない。寂しい。

 リビングが広いから落ち着けないんだ。と思って、リビングから自室に移動する。リビングの布団を畳むのは……めんどくさいから明日の朝でいいや。と思い一旦放置した。

 自室に入ってベッドに横になって部屋の電気を消す。それでも寝れない…春香とまゆとゆいちゃんは今頃何してるのかなあ……と思いながら目をつぶっていると時間だけが過ぎ去っていく。気づいたら日付は変わっていて、深夜3時になっていた。そろそろまじで寝ないとな…

 そう思っていたらインターホンが鳴る。この時間だし、春香たちが帰ってきたのかな?春香とまゆとゆいちゃんも僕がいなくて寂しくて帰ってきた。とか?ありそう…もし、そうだったら…幸せ。だけど…問題が解決してない気もする。

 あれ、でも、なんかおかしい気がする。なんで、わざわざインターホンを鳴らした?春香もまゆもゆいちゃんも鍵持ってるから普通に入ればいいのに…

 インターホンが鳴ってから時間が経つが鍵が開く気配はなかった。そして、もう一回インターホンが鳴らされる。春香もまゆもゆいちゃんも鍵忘れたとか?

 いや、まゆとゆいちゃんはともかく、春香が鍵を忘れるなんてミスをするとは考えにくい。じゃあ、インターホンを鳴らしているのは誰だ?と、疑問に思いながらインターホンに出るために一度リビングに向かった。







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