お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

帰り道





 「ふぅ…癒される〜」

 温かいお湯に浸かり私は肩を伸ばして呟いた。

 「あの、まゆちゃん…そんなにじろじろ見ないで……」

 まゆちゃんの目線が怖い。まゆちゃんとお風呂入ったりするといつも感じることだけど…怖い。

 「春香ちゃん…」
 「な、何?」
 「また、大きくなってない?ねぇ、あまり気づかなかったけど少し大きくなったよね?」
 「そ、そんなことないよ…」

 もみもみ。とまゆちゃんに胸を揉まれながら私は否定されたが実際は少しだけ大きくなった気がする……

 「春香ちゃん…ごめん……」
 「本当に気をつけてよぅ…」

 浴衣を着ながらまゆちゃんに言う。私が服を着て胸を隠すと冷静になってくれるのだが…まゆちゃんの胸の揉み方…敏感なところ揉んでくるからちょっと嫌なんだよね……

 

 帰省が終わり、帰り道、お昼ごはんはサービスエリアのレストランで過ごして、僕と春香の地元と下宿先の中間地点にある温泉街で一泊する予定になっていた。先程、旅館にチェックインして、さっそく温泉に入る。春香とまゆよりも先に入浴を終えた僕は脱衣所から少し離れた場所にあるマッサージ機でマッサージをしながら2人を待つ。

 「りょうちゃん、お待たせ〜あっ、マッサージしてる!いいなぁ。まゆもする〜」
 「うん。まだ、夕食まで時間があるからゆっくりしよう。マッサージ機じゃなくてマッサージのサービス利用する?」
 「うーん。予算的に厳しいでしょう…来年の旅行でいっぱい贅沢したいし…それにマッサージ機の方がゆっくりお話したりできるからこっちでいい!」

 まゆは笑顔でそう言いながら空いていたマッサージ機に座り小銭を入れてマッサージ機を動かす。

 「私も、最近肩こりがすごいから…」

 春香も空いていたマッサージ機に座り小銭を入れる。

 「あー、そうだよね!お、女の子は肩こりすごいから大変だもんね」

 まゆは春香に対抗するようにそう言うが、春香が気を遣って話を合わせていたら逆に落ち込んでしまう。別に小さくても気にしないのに…大事なのはバランスだよ。


 「春香、肩凝り大丈夫?」
 「うん。だいぶ良くなったよ」
 「まゆには聞いてくれないんだ…」

 マッサージ機でマッサージを終えた後、部屋に戻りながら僕が春香に尋ねるとまゆが不貞腐れた顔で僕に言う。

 「まゆは肩こり大丈夫?」
 「大丈夫じゃないもん。肩こりすごいもん」
 「そっか、じゃあ、夜ご飯食べたら肩揉んであげようか?」
 「うん!お願い!」

 一瞬、機嫌を悪くしたまゆのご機嫌を一瞬で取り戻すと、春香がツンツン。と僕の腕を突く。

 「りょうちゃん、やっぱり私も肩凝りが…」
 「じゃあ、春香の肩も揉んであげるね」
 「うん!」

 春香もまゆも笑顔になってくれて部屋に到着する。部屋に入って腰掛けに座って3人でトランプで遊んでいると、部屋に夕食が運ばれてきた。

 「めっちゃ豪華だね」
 「うん。美味しそう…」

 まゆが運ばれてきた料理の写真を撮っている間、僕は早く食べたい欲求を我慢する。僕たちが旅行をする際のルールとして、多少高くなっても料理だけは豪華にしよう。と決めている。今日の旅館は海産物がすごく豪勢で、お刺身に豪快に盛り付けされた海老、エビフライやカニフライなどの揚げ物とかマグロのレアカツ、マグロのステーキに海鮮丼など、これでもか。と言うくらい海産物のフルコースを味わう。

 「やばい…これ、まゆ、絶対太るよ…」
 「まゆちゃんは細いから大丈夫だよ…私の方がやばい気がする…」

 料理が美味しい+豪勢+量が多いと言う最高の夕食で、全て完食をして、デザートを美味しくいただいていると春香とまゆが自身のお腹を触りだして言う。僕でも多いと感じた量だもんなぁ……

 「「どうしよう。太ったらりょうちゃんに嫌われちゃう」」

 春香とまゆはハマりながら顔を真っ青にして言う。そんなこと心配しなくてもいいのに。

 「大丈夫だよ。春香とまゆが少し太ったくらいで嫌いになったりしたい。そりゃ、春香とまゆは見た目もめちゃくちゃかわいいけどさ、見た目より性格とか相性とかさ、そう言うことの方が大事だと思う。春香とまゆくらい一緒にいて幸せを感じられる人なんていないと思う。だからさ、絶対に2人を嫌いになったりはしないよ」

 僕がそう言うと春香もまゆも顔を真っ赤にする。

 「嬉しいこと言ってくれるなぁ…」
 「まあ、でも、やっぱり、見た目はいいに越したことないだろうし、まゆ、太らないようには気をつけるよ…」

 と、言いながらペロリとデザートを完食しているまゆがめちゃくちゃかわいかった。まあ、でも、春香もまゆもかなり細いから、ちょっとくらい太った方がいいんじゃないかなぁって思ったりもする。

 




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