お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活
コンクール翌日
大学に到着して、バスから降りると、明日の予定を確認してすぐに解散となった。
 みんなが疲れた表情で帰路に着く中、僕も春香とまゆと一緒にアパートに帰る。
 「まゆ、疲れているのに運転ありがとう」
10分程度のことだけど、コンクールで疲れているのに運転をしてくれているまゆに感謝を忘れないようにする。まゆは全然大丈夫。と言っていたが、アパートに帰り、疲れからか重さを感じるようになっていたスーツを脱いで3人でお風呂に入った後、僕がまゆの髪の毛を乾かしてあげているとまゆはだいぶうとうとしていた。
 とりあえず、スーツをハンガーにかけたり、歯を磨いたり、いろいろして、3人で布団に入ると、春香とまゆも疲れていたのだろう。3人ともすぐに熟睡してしまい、目を覚ますと翌日のお昼前だった。
 「まゆ、まだ寝てるね…」
 「もう少し寝かせておいてあげて…まだ、疲れてるんだよ」
 「まあ、たしかに、コンクールの疲れって1日じゃ取れないよね…」
 春香と一緒にお昼ごはんの用意をしながらそんなやり取りをする。まゆには僕の腕の代わりにかわいらしいぬいぐるみをぎゅっと抱きしめさせている。ぬいぐるみを抱きしめながら幸せそうに眠るまゆはめちゃくちゃかわいかったが、まゆが起きたらちょっと機嫌悪くなりそうだなぁ…
 「他に何か手伝えることある?」
 「もう大丈夫だよ。お手伝いありがとう。お昼ごはんもうすぐ食べれるからもう少ししたらまゆちゃんを起こしてあげてね」
 「うん。わかった。テーブルに運んだりするものとかあったら運ぶから言ってね」
 「うん。ありがとう」
 春香のお手伝いを終えて僕はまだぐっすりと眠っていたまゆの側に移動して、まゆの体を揺らしてまゆを起こす。
 「まゆ、そろそろ起きて」
 「りょうちゃん…あと5…やっぱ10分……」
 「こーら。いつまで寝る気?もうお昼だよ」
 まゆの頭をそっと撫でながら僕はまゆに言う。まゆは「もうお昼なんだぁ…じゃあ、あと15分…」とわけのわからないことをいて再び目を瞑る。かわいいかよ。
 「まゆ、もう起きないとだーめ」
 僕は子どもを起こす時のような感じの声でまゆに言うが、まゆはお布団の中に潜り込んでしまう。かわいすぎますね。
 「起きなさい」
 僕はそう言いながら布団を取り上げて、まゆがギュッと抱きしめていたぬいぐるみも回収する。
 「あ、あ、りょうちゃん、だめ…まゆの側にいて…」
 ぬいぐるみを僕の腕と思いながら抱きしめていたのだろう。ぬいぐるみを取り上げられてまゆはかわいらしく慌て始める。やばいこれ、かわいすぎるわ。
 「まゆ、大丈夫だよ。僕はまゆの側にいるよ。ほら、もうお昼だから起きよう。さ、歯磨きして顔洗いに行こう」
 僕はまゆの体を起こしてまゆに言う。まゆは僕のパジャマの袖をぎゅっと掴んで「連れてって!」と駄々っ子のように要求してくる。最高にかわいい。
 僕はまゆを洗面台まで連れて行き、まゆが歯を磨いて顔を洗うのを待つ。
 「りょうちゃん、お待たせ…その、迷惑かけてごめん」
 顔を洗ったりすると、まゆは完全に目を覚ましていて、いつものまゆになる。僕に謝った後、鏡と向き合い髪を整える。
 「やっぱりいつも通りのまゆが1番かわいい」
 「え?急に何?」
 「何でもない、さ、お昼ごはん食べよ」
 「起きてすぐお昼ごはんかぁ…ちょっと罪悪感が…」
 まゆを連れてリビングに戻ると、春香がすでに料理をテーブルに運んでくれていた。
 「あ、春香…手伝えなくてごめん」
 「いいよいいよ。気にしないで」
 「春香ちゃん、お昼ごはんの準備任せちゃってごめん…」
 「気にしないで大丈夫だよ」
 春香は笑顔で僕とまゆに言う。3人で席につき、さっそく昼食をいただく。今日の昼食は疲れている状態や、寝起きでも食べやすい冷たいお茶漬けだった。春香はまだ、疲れが完全に取れていないはずなのに朝、ちゃんと起きて1人で出汁を作ってくれていた。お茶漬けのトッピング用のきゅうりや千切りにされた卵焼き、ハムなどをお好みでかけて冷たい出汁をかけてさっぱりしたお茶漬けを味わう。
 「春香ちゃん、これ最強、今度まゆに作り方教えて」
 「いいよ。これね。昔、りょうちゃんのお母さんに教えてもらったの。小学生の頃、りょうちゃんが熱出したりしたらいつもこれ食べてるって聞いて作り方教えてもらったんだぁ」
 「えーいいなぁ。まゆもりょうちゃんのお母さんから料理教えてもらいたい」
 「今度帰省する時、一緒に教えてもらお」
 「うん」
 春香が嬉しいことを言ってくれた。春香がこれを作っているのを見た時、何で春香が作り方知ってるのだろう。と思っていたが、謎が解けた。春香の話を聞いてすごく幸せな気持ちになりながら本家(お母さんのお茶漬け)よりも美味しい春香のお茶漬けを味わう。
 昼食が終わると僕たちは出かける準備をした。出かける準備をしてからアパートを出るまではゆっくりお茶を飲んだりしてすごし、集合の時間の30分くらい前に僕たちはアパートを出て大学に向かう。
「恋愛」の人気作品
書籍化作品
-
-
22803
-
-
0
-
-
89
-
-
127
-
-
969
-
-
58
-
-
4
-
-
381
-
-
314
コメント