お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

勉強会とお説教






 「まゆ、調子はどう?」
 「全然進まないよぅ…」

 陽菜と一緒にりっちゃんさんに明日の試験の勉強を教えてもらっている途中、少し休憩になり、僕は僕の側でレポートをやっているまゆに声をかけた。さっきから全然手が動いていないと思っていたけどやっぱり進んでなかったのか……

 「まゆ、レポート間に合わなかったらお父さんにお説教してもらいにお家に送還しようか?」
 「いや…」
 「がんばれる?」
 「りょうちゃんが頑張ってって言って頭撫でてくれたら頑張れる」

 まゆは僕の真横にやってきて言う。かわいすぎかよ。

 「まゆ、頑張ろうね」
 「うん。まゆ頑張る!」

 まゆの頭を優しく撫でてあげるとまゆは満面の笑みで返してくれた。かわいすぎる。

 「あらまあ、春香ちゃんがぐっすり眠ってる間にいちゃいちゃしちゃって…」

 結構真面目に勉強やレポートをやっていたら日付けが変わってしまいりっちゃんさんに膝枕をしてもらいながら春香はぐっすり眠ってしまっていた。りっちゃんさんに膝枕をされながら眠る春香を見てかわいい。と言う感情とりっちゃんさんに嫉妬する感情が混ざり合い少し複雑な気分だった。

 「じゃあ、春香ちゃんは私がかわいがってあげよ」

 りっちゃんさんがそう言いながらぐっすり眠る春香の頭をそっと撫でてるのを見て僕は頬を膨らませて不満アピールする。

 「どうしたの?そんな顔して」
 「りっちゃんさんの意地悪…」
 「はいはい。私は意地悪ですよぉ」

 りっちゃんさんはニヤニヤと意地悪顔で春香の頭を撫で続ける…代わって欲しい……

 「りっちゃんさん、春香ちゃんだけズルいですぅ」
 「りょうちゃんにはまゆがいるよ。まゆをかわいがって」

 そう言いながら陽菜はりっちゃんさんに、まゆは僕に勢いよく抱きついた。僕はまゆを受け止めたが春香に膝枕をしていたりっちゃんさんは上手いこと春香を受け止められずにりっちゃんさんは陽菜に押し倒された。

 「ん…寝ちゃってた……」

 りっちゃんさんが陽菜に押し倒された衝撃でお姫様が目を覚ました。お姫様は目を覚まして起き上がると周囲の状況を確認する。

 「りょうちゃん、陽菜ちゃん、勉強は?」

 冷たい声で春香に言われて僕と陽菜の身体が震える。やばい、春香怒ってる。

 「え、えっと…休憩中…です」

 慌ててまゆから離れてその場に正座をして僕は春香の質問に答えた。昔の記憶(トラウマ)が蘇ったのか陽菜も顔を真っ青にしてその場に正座をしていた。

 「まゆちゃん、レポートは?」

 春香に冷たい声で尋ねられたまゆも僕と陽菜のように身体を震わせてその場に正座した。

 「きゅ、休憩中です……」
 「どれくらい進んだの?」
 「え、えっと、100文字くらい?」

 まゆちゃん?それだけしか進んでないの?え?数時間経過してるよね?え?まじか……

 「へー100文字ねぇ。数時間で100文字かぁ。レポート全部終わるのにあと何週間かかるんだろうねぇ」

 春香に冷たい声で言われてまゆは変な汗を流している。春香怖いよぅ。

 「まゆちゃんがこの様子だとりょうちゃんと陽菜ちゃんもどれくらい勉強が進んだのかすごく気になるなぁ」
 「あ、春香ちゃん、それは安心して、りょうちゃんと陽菜ちゃんには私がちゃんと教えていて本当に休憩中だったから…」

 りっちゃんさんが助け船を出してくれて僕と陽菜はめちゃくちゃりっちゃんさんに感謝をした。陽菜なんか泣きながらりっちゃんさんの背に隠れてりっちゃんさんに抱きついているし…小動物みたい。

 「なるほどね。りっちゃん、ありがと。じゃあ、陽菜ちゃんとりっちゃんは勉強再開してて…りょうちゃん、まゆちゃん、少しだけりょうちゃんの部屋行こうか…」
 「は、はい」
 「え、僕も?」
 「りょうちゃんがまゆちゃんを甘やかすからこうなったんだよ。お説教…」
 「は、はい……」

 僕とまゆは春香に連れられてリビングを出て僕の部屋に入る。僕の部屋に入る。当然、うふふ。な展開になるはずもなく、春香は僕のベッドに腰掛けて僕とまゆは床に正座してひたすらお説教をされた。春香怖い……

  春香のお説教が終わりリビングに戻るとりっちゃんさんと陽菜が僕とまゆに同情の眼差しを向けて来た。

 「りっちゃん、りょうちゃんをよろしくね。厳しく教えてあげて」
 「う、うん。お預かりします」

 僕はりっちゃんさんの横に座り勉強を再開する。

 「ほら、まゆちゃん、早く準備する」
 「は、はい……」

 まゆは春香に連行されてレポート作成に使用していたパソコンを持って春香とまゆの部屋に向かう。まゆがきちんとレポートをやるように春香の見張り付きで別室で2人でレポート作成をするらしい。

 「りょうちゃん…」
 「ま、まゆ…頑張って……」

 春香に引き摺られてリビングから出て行くまゆを僕とりっちゃんさんと陽菜は同情の眼差しで見送った。








 

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