お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

女の子同士のお泊まり





 「りっちゃんさん、どうかしましたか?大丈夫ですか?」
 「え、あ、うん。ごめん。大丈夫だよ」

 陽菜ちゃんと夜ご飯を作り、一緒に食べ終えた後、私は黙ってスマホを見つめてしまっていた。春香ちゃんから返事がなくてちょっと不安だったとは言え、陽菜ちゃんをほったらかしにしてしまったのは申し訳ない。

 「あ、陽菜、お薬はちゃんと飲めたの?」
 「…………」

 私が尋ねると陽菜ちゃんは白々しく私から目線を外した。かわいいかよ。

 「お薬ちゃんと飲みなさい」
 「嫌です」
 「飲みなさい」
 「い…いたいでしゅ、ぼーりょくはんたいで…す」

 私が陽菜ちゃんのほっぺたを摘んで伸ばし始めると陽菜ちゃんはなんだかんだ楽しそうに言う。笑ってないでさっさとお薬飲め。

 「お薬飲めない子は追い出すよ」
 「むーー」
 「そんな顔してもだーめ。ちゃんと飲みなさい」

 頬を膨らませてお薬飲みたくないアピールをする陽菜ちゃんをかわいい。とは思うが、甘やかすわけにはいかない。

 「薬局行っておくすりのめたね。買って来ようか?」
 「陽菜を子ども扱いしないでください」
 「じゃあさっさと飲みなさい」
 「…………」

 口を閉じて頑なにお薬を飲もうとしない陽菜ちゃんを見て、私はため息を吐きながら陽菜ちゃんの前に置かれた陽菜ちゃんのお薬を持つ。錠剤のお薬とカプセルのお薬を飲まないといけないみたいだ。

 「ほら、飲ませてあげるから頑張って飲もう。今、陽菜がお薬ちゃんと飲んでくれないと、私、怖くて今度から陽菜をお泊まりさせてあげられないよ」
 「…………飲みます」
 「うん。頑張って。じゃあ、ほら、あーんして」

 私がお薬を持って陽菜ちゃんの口に手を伸ばすと一瞬、口を開いてくれるがすぐに閉じてしまう。かわいい。かわいいけど…さっさとお薬飲めや。

 私は片手で陽菜ちゃんの顎をそっと触れて、少し力を入れて陽菜ちゃんの口を開かせて錠剤のお薬を陽菜ちゃんの口に入れる。そしてすぐに陽菜ちゃんに水を飲ませる。それを、カプセルのお薬でも繰り返した。

 「はい。よく飲めました。偉いよ。よく頑張った」
 「だから…子ども扱いしないでください」

 私が陽菜ちゃんの頭を撫でてあげると、陽菜ちゃんは不満そうな表情で言う。

 「そっかぁ。じゃあ、頑張ったご褒美に何か陽菜の言うこと聞いてあげようと思ったけど、ご褒美いらないね」
 「意地悪しないでください…」

 陽菜ちゃんが口を尖らせて言う。かわいすぎかよ。

 「はいはい。じゃあ、何して欲しいの?」
 「え、えっと…エッチしたいです」
 「ど直球やな」

 もう少しオブラートに包めよ。ていうか、いきなりすぎるわ。今日、初お泊まりよ。ん?でも、普通は恋人と初お泊まりの時ってそういうことするのかな?わからん。

 「だめ…ですか?」
 「いや、その…だめ…じゃないけど……覚悟が……私、そういうことしたことないし……」
 「陽菜も初めてですよ。安心してください。今日のために昨日、ちゃんと勉強してきましたから。りっちゃんさんを気持ちよくさせる自信はあります」

 いやいや、安心するとかそういう問題ちゃうから。勉強してきたって…えぇ……

 「と、とりあえず一緒にお風呂入りましょう。そ、その後そういうことするか考えてくださればいいですから」
 「う、うん。まあ、お風呂なら…」

 お風呂なら合宿の時も一緒に入ったから問題ないよね。陽菜ちゃんと2人でお風呂…緊張するなぁ。

 結局、お風呂で身体を洗いあっている際にお互いの弱いところを責め始めてそのまま初めて気持ちいいことをしたことは言うまでもないだろう。



 「りっちゃんさん、髪の毛乾かしてください」
 「はいはい。ていうか、陽菜、ちゃんとパジャマ着ないと風邪ひくよ……」

 お風呂から出て、自分の髪を乾かした後は陽菜ちゃんの髪の毛を乾かしてあげる。すっごくサラサラの綺麗な髪で普通に羨ましい……ていうか、この子、胸でかいな……さっき、お風呂で揉んだ時も思ったが、普通に大きい。まゆちゃんに睨まれるレベルで大きい。私も、まあまあ大きい方だが、私レベルでも結構肩凝りするのに陽菜ちゃんくらい大きいと大変だろうなぁ…身体もめちゃくちゃ細くて足も綺麗、高身長……めっちゃ理想的なスタイルやんこの子。

 「ほら、陽菜、パジャマ着なさい」

 ドライヤーで髪を乾かしながら、片手でパジャマを取り下着姿の陽菜ちゃんに渡す。

 「髪の毛乾かし終わったら着ます」
 「はいはい。約束だからね。着なかったら怒るよ」
 「はーい」

 いろいろと手がかかる恋人だけど、そういうところも全部踏まえていいな。って思う。何より、今日ずっと一緒にいて、私のことを本当に慕ってくれているのがよくわかった。普通に嬉しい。陽菜ちゃんの先輩として、恋人として、私は陽菜ちゃんに認められている実感を感じることができることが……

 私は、この子を…陽菜ちゃんを幸せにしてあげたい。これからもずっと、陽菜ちゃんと一緒にいたい。そう、本気で思う。







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