お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

お説教と反省





 「りょうちゃん、今何時かわかってるよね?」
 「はい。ゴメンナサイ……」

 ゆいちゃんをアパートまで送った後、歩いているとまゆから電話がかかって来たので電話に出ると相当お怒りのようだった。

 「今どこにいるね?」
 「えっと…終電逃して……歩いて帰ってます……」
 「はぁ…何してるの?とりあえず、まゆが迎えに行ってあげるから場所教えて」
 「え…申し訳ないしいいよ」
 「まゆも春香ちゃんも、りょうちゃん帰ってきて軽くお説教しないと寝られないから大丈夫だよ。ほら、今どこにいるの?」
 
 怖い…たぶん…笑顔で言っていると思うが…怖いよ…めちゃくちゃ怖いです。
 僕が今の大体の居場所をまゆに伝えるとすぐに行くね。と言って電話が切られた。帰ったらめちゃくちゃ怒られる覚悟をしないとな……
 と思いながらまゆを待っていると十分ほどして、まゆが迎えに来てくれた。

 「まゆ、わざわざ迎えに来てくれてありがとう」
 「大丈夫だよ。帰ったら休む時間ないだろうから今のうちに休んでおいてね」
 
 車に乗った僕にまゆが笑顔で言う。休む時間ないって……めちゃくちゃ怖いんですけど……

 「まゆ、ごめんね。約束破って……」
 「りょうちゃんのことだから、ゆいちゃんにごり押しされてどうしようもなかった。って感じなのかな?」
 「よくお分かりで……」

 なんで、ここまで見抜かれているのだろう…と毎回疑問に思うが、まゆは僕のことをそれほど見ていてくれる。ということだろう。

 「まゆも春香ちゃんもね。怒ってはいないよ。ただね、約束したじゃん。あまり遅くならないようにする。って…だからさ、遅くなるなら連絡して欲しかったし、終電逃したら歩くんじゃなくてまゆを頼って欲しかった」
 「ごめんなさい…」
 「いいよ。ちゃんと、反省してくれたでしょ。まゆは許すよ。たぶん、春香ちゃんもそこまで怒ってないから、安心して…ごめんね。ちょっと、りょうちゃんを揶揄って怖がらせちゃってた」
 「悪いのは僕だから仕方ないよ」

 僕がそう言うとまゆは笑ってくれた。ちゃんと反省してくれてるみたいだからいいよ。と言い、アパートの駐車場に車を停めたまゆは僕に抱きついてきた。

 「これで許してあげる」
 「ありがとう」

 抱きついてきたまゆを僕はそっと抱きしめ返す。そしてそのまま、まゆに軽く口付けをして一緒にアパートの部屋に帰る。

 「ただいま…」

 僕が部屋に入るといきなり春香が抱きついてきた。遅い。と呟きながら僕に抱きついている春香を僕は抱きしめて、ごめんね。と春香に言う。春香はじっと僕の顔を見つめる。物欲しそうな表情で…
 僕が春香にそっと口付けをすると、春香は笑顔で許す。と言ってくれた。

 「春香、まゆ、約束破ってごめんね」
 「いいよ。次からは気をつけてね」
 「まゆも許してあげる」
 「ありがとう」

 春香とまゆに許してもらえてホッとした僕は自分の部屋に荷物を置いてさっさとお風呂に入る。春香とまゆはすでにお風呂に入っていたみたいなので、お風呂から出たら反省の意味も込めてお風呂掃除しようかな…

 「りょうちゃん、ちょっとお邪魔するね」

 僕がお風呂に入っていると、まゆが入ってきた。僕は無意識的にまゆの身体から目を逸らす。

 「まゆ、いきなりどうしたの?」
 「りょうちゃん迎えに行ってちょっと汗かいたから。シャワー浴びたかったの。りょうちゃん、わざわざ迎えに行ってあげたんだからさ…まゆの身体洗って…」
 「いや…それは…」
 「今更照れないでよ。いい加減なれて。後でまゆもりょうちゃんの身体洗ってあげるからさ、ほら、早く」

 僕はまゆの後ろに立ってまゆの身体を洗ってあげる。その後、まゆに身体を洗ってもらい、僕とまゆはお風呂から出る。結局…お風呂掃除するの忘れていた。

 「りょうちゃん、まゆの髪乾かして」
 「はいはい。じゃあ、座って」

 ソファーに座る僕の膝の上にまゆはちょこんと座る。かわいいなぁ。と思いながら僕はドライヤーのスイッチを押してまゆの髪を乾かす。普段、春香とまゆの髪をしょっちゅう乾かしているので、すでに慣れてしまっていた。春香もまゆも、りょうちゃん髪乾かすの上手くなったね。と言ってくれる。

 「まゆちゃんばかり構って羨ましいなぁ…」

 春香がリビングの床に布団を敷きながら言う。後で春香の言うこと一つ聞いてあげる。と言うと、春香は嬉しそうに何してもらおうかな〜と悩み始めた。
 結局、春香の願いは膝枕で耳掃除して。というものだったので、僕は春香の頭を太腿の上に載せて春香の耳掃除をしてあげる。その様子を見たまゆは、まゆもやって欲しい。と言うので、まゆにも耳掃除をしてあげる。
 それを見た春香は…結局まゆちゃんにもしてあげるんだぁ。と呟く。なので、僕は春香に耳掃除をしてもらう。僕の耳掃除をして春香は満足してくれたみたいで安心した。

 その後、僕たちは先程春香が敷いてくれた布団に3人で並んで眠りにつく。春香とまゆ、2人の大切な人が僕を抱きしめながら眠っているのを見て、幸せを感じた。




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