お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう





 「ねぇ、お兄ちゃん、どういうことか説明してもらえるかなぁ?春香ちゃんはどうしたの?この女誰?」
 突然アパートを訪ねてきた妹は………めちゃくちゃ怒っていた。

  「りょうちゃん…その子……は?」
 突然部屋の中に入ってきた可愛らしい女の子を見てまゆはりょうちゃんに尋ねる。すごく可愛らしい女の子で、見た感じは中学生くらいだろうか…肩くらいまで伸びた綺麗な黒髪をポニーテールに纏めている。髪を纏めているシュシュとかめっちゃ可愛い…ていうか、顔がりょうちゃんとそっくりで抱きしめちゃいたいくらい可愛い。
 「あ…えっと、僕の妹の春だよ。今、中学3年生…」
 「へー、じゃあ、春香ちゃんの弟と同い年なんだぁ〜めっちゃかわいいねぇ…」
 「触らないでください」
 まゆが春ちゃんの頭を撫でていたら手を払われてめちゃくちゃ睨まれた。え、まゆ…嫌がられてる?そんな…りょうちゃんの妹はまゆにとっても妹なのに……妹に嫌われるなんて嫌すぎる……
 「春、失礼なこと言わないの」
 「それよりもお兄ちゃん、この女なんなの?春香ちゃんは?」
 「あーえーと……」
 りょうちゃんは困ったような表情をしながらまゆに目を向ける。助け船求められても助け船出せないよ……
 「彼女のまゆさん、だよ…」
 「は?」
 りょうちゃんが私のこと紹介するとまゆは春ちゃんにめちゃくちゃ睨まれた。怖い。
 「お兄ちゃん、春香ちゃんはどうしたの?は?まじで言ってるの?春香ちゃんを捨てるなんて何考えてんの?まじでクズ。許せないんだけど。お母さんと春香ちゃんのお母さんに言いつけてやるから」
 春ちゃんは怒鳴るようにりょうちゃんに言いリビングを出て玄関に向かって行った。りょうちゃんは慌てて春ちゃんを追いかける。まゆは、状況を理解できずにポカーン。としていた。


 「ちょ…春、どこに行くの?」
 僕はリビングから飛び出した春を慌てて追いかける。春は僕の問いに答えようとしないで玄関で靴を履いて玄関の扉を勢いよく開けた。
 「ひゃっ……」
 ちょうど玄関の前にいた春香が突然玄関の扉が開き驚いたような表情をする。
 「って…え?春ちゃん?どうしたの?」
 「あ、春香ちゃん…久しぶり……その……ごめんね。お兄ちゃんがクズで春香ちゃん傷つけて…もう、お兄ちゃんのことなんか放っておいて一回実家帰ろう」
 「え?ん?どういうこと?」
 春が春香の腕を掴んで春香に言うと春香は困惑した表情をする。少しして、状況を察した春香は春に落ち着いて。と言い、一旦中でお話ししよう。と優しく声をかけた。春香にそう言われた春は渋々納得して再び部屋の中に入る。


 「えっとね。春ちゃん、最近連絡してなかったから伝えてなかったけど私、りょうちゃんと付き合うことになったの」
 リビングで僕と春香と春はテーブルを囲んで座り、春香が春にそう言うと春は困惑した表情をしてから僕を睨みつける。
 「は?じゃあ、あんた二股してんの?は?まじで最悪…あんた、春香ちゃんとまゆさんに謝んなさいよ。最低すぎる…まじでクズ……」
 ………事実だけどさぁ……そんなにはっきり言われるとお兄ちゃん泣いちゃうよ。
 「春ちゃん、落ち着いて、私もまゆちゃんも納得して付き合っているからさ…りょうちゃんは悪くないから」
 「納得してるって……そんなの……」
 理解できないという表情で春は春香を見つめる。昔から春は春香のことを姉みたいに敬っていたから…納得がいかないのかもしれない。春香と僕が2人で結ばれなかったことを……
 「まあ、無理して納得しなくてもいいよ。でも、私たち3人は今、すごく幸せなの。だから、私たち3人の幸せに口を出すのはやめてくれるかな?」
 「……春香ちゃんがそう言うなら」
 「うん。ありがとう」
 春香はそう言いながら春の頭を撫でてあげる。春はもう子どもじゃないんだからやめてよ。と言うが、実際はすごく嬉しそうな表情をしていた。
 「そういえば春ちゃんはどうしてここに来たの?何の連絡もしてなかったんだよね?」
 春香が尋ねると春は明らかに機嫌が悪くなる。思い出したくもないことを思い出した表情をする春を見て僕と春香はなんとなく理由を察した。
 「別に…りょうたと喧嘩したから地元に居たくなかったの。だから、ゴールデンウィーク終わるまでこっちにいていい?」
 やっぱりか…と僕と春香は思った。りょうたと言うのは春香の弟だ。春とりょうた君は同い年の幼馴染みで…明らかにお互いがお互いに恋愛感情を持っているのだが…誰に似たかお互いがお互いに想いを伝えられていないことが近くで見ていてよくわかる。わかりやすく言うと昔の僕と春香みたいな関係だ。
 春に頼まれて春香はちょっと困惑した表情をする。まゆもいるしね……
 「春香お姉ちゃん、だめぇ…?」
 春はわざとらしい甘え声で春香に尋ねると春香はあっさりいいよ。と言いかわいい。かわいい。と春の頭を撫でまくる。春がちょろいな。と言うような表情をしたのを見て僕は引きつった笑みを浮かべる。
 「あー、でも…まゆがなんて言うか…」
 「ん?まゆのこと呼んだ?」
 僕がまゆの名前を口にするとちょうどまゆがこちらにやってきた。
 「お兄ちゃんの彼女さんってことはぁ…まゆさんは私の将来のお姉ちゃんだよねぇ…ねぇ、まゆお姉ちゃん。少しの間だけ、私を泊めてくれない?私、まゆお姉ちゃんのこともっと知りたいなぁ…」
 春はわざとらしく上目遣いでまゆにおねだりする。まゆはめちゃくちゃかわいい。と言いながら春を抱きしめて好きなだけ居ていいよ。と春に言ってしまう……
 まじか……

 とりあえず僕は親に春が来たことを伝えて親に助けを求めることにした。春香とまゆは春にメロメロ状態だった……







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