お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

新しい生活の朝






 部屋の中で鳴り響くアラームを僕は布団から手を伸ばして止める。僕が目を覚ますと両隣にはめちゃくちゃかわいい女性が僕に抱きつきながら寝ている。2人の寝顔を交互に見ながら幸せを感じる。
 「春香、そろそろ起きないと遅刻だよ」
 僕は春香に声をかける。まゆと同居することになった翌日、春香は午前から夕方まで大学でバイトの予定が入っていた。まゆはまだ眠たそうなので、まゆを起こさないように小さな声で春香を起こした。
 「ん…りょうちゃん、おはよう」
 眠たそうに目を擦りながら春香は目を覚ます。目を覚まし僕をギュッと強く抱きしめてから少しして春香は起き上がり布団から出る。
 「布団は後で片付けておくから。気をつけて行ってきなよ」
 「うん。ありがとう」
 春香はそう返事をしながらリビングを出る。しばらくすると着替えなど身支度を終えた春香がリビングに戻ってきてテーブルの上に置いてある食パンに冷蔵庫から取り出したジャムを塗り簡単に朝食を済ませる。
 「りょうちゃん、行ってくるね」
 「うん。行ってらっしゃい。気をつけて行くんだよ」
 僕が返事をすると春香は僕の方にやってきて僕の横で寝転んでから僕を抱きしめてそっと僕にキスをする。
 「これで今日のバイト頑張れる…かな…」
 自分からしておいて春香は恥ずかしそうに顔を真っ赤にして逃げるようにリビングを出て行った。かわいいなぁ……春香がリビングを出て少しすると玄関の扉ががちゃんと閉まる音がした。
 さて、まゆもまだ起きる気配ないしもう一眠りしようかな…と思いながら僕は一度、僕に抱きついて眠るまゆの身体を僕から離して、まゆと向かい合って抱きしめて再び眠りについた。まゆの身体…柔らかくて本当に抱き枕みたい……


 「ん……」
 まゆが目を覚ますと昨日、眠りについた時とは違う感覚だった。目を開けるとりょうちゃんがまゆを抱きしめて寝ていた。春香ちゃんは…もう、バイト行ったのかな…あ、もうお昼前だ……まゆ、めっちゃ寝ちゃってたんだな……
 まゆは目を覚ましてからしばらく、まゆを抱きしめて幸せそうな表情で眠る大好きな人の寝顔を見つめながら過ごした。幸せな朝だなぁ……こっそりと何回かりょうちゃんにキスをしたのは内緒にしておこう……
 どうしようかな。りょうちゃんが起きるまでこのまま幸せを堪能しちゃおうかな…と、まゆが考えているとりょうちゃんの身体が大きく揺れた。
 「ん……」
 「りょうちゃん、おはよう」
 まゆは目を覚ましたりょうちゃんに寝起き早々で悪いがりょうちゃんをギュッと抱きしめてからキスをする。するとりょうちゃんは嬉しそうな表情をしてまゆを抱きしめてくれた。かわいい。まゆ、すごく幸せ……でも、春香ちゃんに申し訳ないからこれ以上のことは今は絶対にしない。
 「りょうちゃん、お昼ごはんどうする?」
 「起きて早々お昼ごはんの話?まゆは食いしん坊さんだなぁ…」
 「じゃあ、りょうちゃんはお昼ごはんなしね」
 りょうちゃんに揶揄われてちょっとムカついたのでまゆは冗談でりょうちゃんに言うとりょうちゃんは慌ててごめんなさい。とまゆに謝る。冗談なのにかわいいなぁ。
 「今から作るのもちょっと大変だしさ、まゆが行きつけの喫茶店でランチしようよ」
 「うん。いいよ」
 「やった。じゃあ、出かける準備しよう」
 「うん」

 まゆと出かけることになり、僕とまゆは布団から出て布団を畳む。どうせ今晩もリビングで布団を並べて寝ることになりそうだし、布団は畳んでリビングの隅に置いておくことにした。
 昨日、話し合った結果、家賃や光熱費、水道代などは3人で分割して支払い、食費は月の初めに食費として3人でお金を出してそこから食材の購入を行う。食材を購入した時は必ずレシートを残すこと、月終わりに余ったお金は今度は3人で行きたい。と言っていた旅行の資金に回すことになった。食費はあくまで食材だけで、外食の時はそれぞれ自分の財布から出すこと。それが、3人で同居するために春香がまゆに出した条件だった。まゆはこの条件に同意した為、とりあえずは春香の提案した案で共同のお金の扱いを試すことにする。

 「ねー、りょうちゃん、まゆ服選べない。りょうちゃん選んで〜」
 「えー、ファッションとかよくわからないよ…」
 「いいから、りょうちゃんが好きな服選んで」
 自分の部屋で着替えをしていたら隣の春香とまゆの部屋からまゆが僕に言うので僕は渋々隣の部屋に行ってまゆの服を選んであげる。
 ファッションとか本当によくわからないので、どうしよう。と思っていたが、まゆがいくつか候補は出してくれたので僕は好きなものを選ぶだけだった。
 まゆは大人しめな感じのワンピースに着替えてくる。この服にこれ、めっちゃ似合わない?と言いながら麦わら帽子をかぶるまゆはめちゃくちゃかわいかった。裸足にサンダルを履いて、ちょっと昔っぽい感じのカメラを持たせてお花畑とかでちょこんと女の子座りとかしてたらめちゃくちゃかわいいだろうなぁ…いや、絶対かわいい。今度…デートで行きたいなぁ……
 「なぁに、りょうちゃん、ニヤニヤしちゃって…」
 「いや、その…まゆがかわいいから…」
 「えー、嬉しいなぁ。じゃあ、今度デートとかする時もこの服装で行こうかなぁ」
 「う、うん」
 「じゃあ、いこう」
 「うん」
 僕はまゆと手を繋いでアパートを出てまゆの車に乗ってまゆの行きつけの喫茶店に向かった。










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