お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

意外な恋





 「りょうちゃんとちゃんとお話しした?」
 私がお風呂から出てりょうちゃんがお風呂に向かうとりっちゃんが私に尋ねる。私は髪の毛乾かして。と言うようにしてりっちゃんにドライヤーを渡すとりっちゃんはやれやれ。と言いながら私の髪の毛を乾かしてくれる。
 「やっぱり、私とりょうちゃんを2人きりにしてくれたんだね」
 「りょうちゃんが寂しそうだったからさ…ちゃんと、りょうちゃんと一緒にいてあげなよ」
 「わかってるよ」
 「うん。ちゃんとりょうちゃん幸せにしてあげてりょうちゃんに幸せにしてもらいなよ」
 「うん。ありがとう」
 りっちゃんの表情は見えない。だが、本心で言ってくれていた。それだけはわかる。ありがとう。


 僕がお風呂から出ると、春香は急に僕にベタベタしてきた。僕を隣に座らせて僕と反対側にりっちゃんさんを座らせてサンドイッチ状態にされてえへへ。と喜んでいる。何これかわいい…やばいわ…かわいすぎる。

 「もう、春香ちゃんは甘えん坊さんだなぁ…」
 りっちゃんさんがそう呟くと春香はまた、えへへ。と満面の笑みで答えてくれる。このめちゃくちゃかわいい春香の表情に僕もりっちゃんさんも心を釘付けにされていた。春香が、眠い。と言い出したので、寝ることになったのだが、春香が、りょうちゃんとりっちゃんと一緒にねたぁい…と甘え声で言ったため、僕とりっちゃんさんは迷わず僕と春香の部屋から布団を持ってきてリビングに並べて敷いた。すると眠たそうに目を擦りながら春香は並べて敷かれている布団の真ん中で寝転がった。
 「りょうちゃんはこっち、りっちゃんはこっちね」
 布団を叩きながら僕たちを呼び出す。春香の右側で僕は横になって春香の左側でりっちゃんさんが横になった。
 「ねーぇ、私、どっちにも抱きつきたいのに片方にしか抱きつけれないよぅ…」
 あーもう。何これ、かわいすぎるよ。夜中の眠たい時間の春香は本当にかわいい。甘えん坊さんモード最高。僕とりっちゃんさんは春香の腕を抱きしめる。いつも僕が春香とまゆ先輩にされていることを、僕とりっちゃんさんが春香にしている形だ。僕とりっちゃんさんに抱きつかれて春香はえへへ。と嬉しそうにしている。僕とりっちゃんさんがおやすみ。と言うと春香もおやすみ。と返事をして満面の笑みのまますぐに眠りについた。寝顔もかわいい。まじで天使だわぁ……
 「春香ちゃんの寝顔かわいすぎるよね…」
 「ですよね」
 「昔からこんな幸せそうな表情で寝てたの?」
 「そうですね…あ、でも、小学校3年生くらいまで春香、暗いところが怖くて電気消すとめちゃくちゃ震えて泣きながら僕に抱きついてきてたんですよ」
 「何それめちゃくちゃかわいい。でも、春香ちゃん今も暗いところ割と苦手だよね」
 「そうですね。そういうところもめちゃくちゃかわいいんですよ」
 「めっちゃわかる」
 僕とりっちゃんさんは笑いながらそんなやり取りをしていた。その間、りっちゃんさんは片手で春香を起こさないようにそっと春香の頭を撫でてあげていた。微笑ましい光景だった。まるで、仲の良い姉妹みたいな感じだなぁ…
 「なあに、そんなにじろじろ見て」
 「あ、いや、その…なんか、姉妹みたいだなぁ。って…ありがとうございます。春香と一緒にいてくれて…」
 「あれれ、ちょっと私に嫉妬してたんじゃないの?」
 りっちゃんさんは笑いながら僕を揶揄うように言う。たしかに、少しだが…嫉妬はしてた。でも……
 「ごめんなさい。春香がずっとりっちゃんさんと一緒にいてちょっと嫉妬してました。でも、感謝もしてました。春香、たぶん寂しかっただろうから……僕が不甲斐ないから……だから、春香と一緒にいてくれたりっちゃんさんには本当に感謝してます。ありがとうございます」
 「いいんだよ。お礼なんか言わなくて、私は春香ちゃんのことが大好きだから一緒にいるだけ…loveって意味で春香ちゃんのこと好きだったから…」
 「へー、え、ん?、え、は?、ん?」
 「あはは、去年からずっと私春香ちゃんのこと好きだったんだよ。あ、りょうちゃんのこともちゃんと好きだったよ。だから、私はまゆちゃんがめちゃくちゃ羨ましかった。私が大好きな2人と特別になれたんだから…」
 りっちゃんはそう言うが、僕は状況が理解できていなかった。え、りっちゃんさんが春香のこと好き?え、しかも、loveってことは恋愛対象として好きってこと?え、あの、俗に言う百合ってやつですか?何それ…良き。
 「りょうちゃん、なんでにやけてるのかなぁ?」
 「にやけてないですよ…」
 「へー、この前、春香ちゃんに相談されたんだよねぇ。りょうちゃんが女の子同士が夜とかにいちゃいちゃする大人向けの本持ってて、私とまゆちゃんでそういうところ見せてあげたら喜んでくれるかなぁ…って」
 ………ねぇ、春香さん、人の性癖暴露するのやめて…お願いださらさ…まじで、勘弁してください。
 「ごめんなさい。お願いですから、そのことは忘れてください。あと、絶対まゆには内緒で…あと、できれば春香が本当にそんなことしないように言っていただけると助かります…」
 僕は全力でりっちゃんさんにお願いするとりっちゃんさんは笑いながらどうしようかなぁ〜と言っていた。お願いだから…なんとかしてください。まじでお願いします。
 僕がそう思っているとりっちゃんさんは笑いながら、まあ、そんな相談されてないんだけどね。ただ、りょうちゃんがそういう本持ってたって聞いただけ。と言うのを聞いて僕はかなりホッとした。まじで寿命が縮んだ気がする……僕がジト目でりっちゃんさんを見ているとまゆちゃんに言おうかなぁ…と言い出したので全力で謝罪してそれだけは勘弁してくださいと念を押した。りっちゃんさんは笑いながら言わないから大丈夫。と言ってくれた。それを信じて僕は眠りについた。







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