お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

久しぶりの幸せ





 「あっ…りょうちゃん……ダメぇ……」
 バイトが終わりまゆ先輩の家に到着してもまゆ先輩はまだ不機嫌だった為、謝り続けていると、気持ちいいことしてくれたら許してあげる。と言われたのでまゆ先輩を気持ちよくさせてあげて、お返しに僕も気持ちよくしてもらう。まゆ先輩のかわいい表情を拝めて、まゆ先輩のご機嫌も良くなる。最高だ……

 「りょうちゃん…大丈夫?」
 「ん?何が?」
 気持ちいいことが終わった後、僕とまゆ先輩は一緒にお風呂に入って身体を洗ってもらっていると、まゆ先輩が僕に尋ねてきた。
 「ちょっと心配だったからさ…」
 「心配?春香のこと?」
 「うん。それもだけどさ……りょうちゃん、いろいろと大変だろうからさ……疲れたりしてないかなって…」
 「そっか…ありがとう。大丈夫だよ」
 「もし…何か、まゆに出来ることがあればなんでもするからさ、まゆを頼ってね」
 「うん。ありがとう。大好き」
 「まゆもりょうちゃんのこと大好きだよ」
 まゆ先輩は僕を背後から抱きしめてくれた。僕に、大丈夫。まゆがちゃんと側にいるから。と伝えるように優しく抱きしめてくれていたような気がした。
 その日はまゆ先輩と一緒に眠った。お互いに、抱きしめ合って、お互いに離れようとしなかった。大好きだよ。まゆ……

 まゆ先輩とお泊まりをした翌日、部活の練習が終わり春香が楽器を片付けるのを待っていた。
 最近、春香と2人だけでいられることが少なかったから、今日は春香と2人だけでいたい。と思っていた。まゆ先輩もそのことを察してか、今日も一緒にいたい。とは言わずにいてくれた。
 「りょうちゃん、お待たせ」
 楽器を片付け終えた春香はりっちゃんさんと手を繋いで僕の元にやって来た。春香が、帰ろう。と僕を言い、僕と春香とりっちゃんさんはホールを出て歩き始める。ホールを出ると春香はりっちゃんさんと繋いでいた手とは別の手で僕と手を繋いで歩き出す。
 歩きながら、りっちゃんさんは申し訳なさそうに、今日は私帰るから2人だけでいなよ。と気を遣ってくれたが、春香が、えー。りっちゃんも一緒にいてよ。と言い、僕に同意を求めてくる。
 春香と2人だけでいたいのになぁ…という僕の想いは飲み込んでいると、アパートに到着して、結局、りっちゃんさんがお泊まりすることになった。
 「りょうちゃん、ごめんね。2人だけの時間の邪魔をしちゃって…」
 アパートの部屋に帰り、春香が夕食の支度を始めると、りっちゃんさんが春香に聞こえないような声で僕に言う。
 「いえいえ、春香が望んだことですから…」
 「ねー、りっちゃん、料理手伝ってよ」
 「あー、はいはい」
 春香の呼びかけに応じてりっちゃんさんは立ち上がり台所に向かっていく。台所から2人の楽しそうな笑い声を聞くと、少しだけ寂しさを感じた。その寂しさを紛らわすように、僕はまゆ先輩とLINEをしていた。僕がLINEを送るとすぐに既読が付いて返事をくれた。その後もずっとLINEを送るとすぐに返事をくれる。なんとなく、だが、まゆ先輩はこうなるとわかっていて、いつでもLINEの返事ができるようにしておいてくれたのではないだろうか…いや、考えすぎかな……
 りょうちゃん、大丈夫?……昨日のまゆ先輩とのやり取りを思い出した。大丈夫……ではない。寂しい……でも、それを春香には絶対に言えない。だって、僕も春香に対して同じことをしているのだから……だから、春香には絶対に文句を言えない。春香も寂しかったのだろう。最近、なかなか2人だけの時間を作ってあげられなかったから……ごめんね。ごめんなさい……
 「りょうちゃん、夜ご飯できたから運ぶの手伝って」
 「うん。わかった」
 まゆ先輩にちょっと夜ご飯食べるね。と連絡をすると、わかった。今日はこの後ずっと暇だから連絡くれたらいつでも返事するよ。寂しかったらいつでも連絡してね。と連絡をくれた。ありがとう。と連絡を返して僕は台所に向かう。

 「ねぇ…りょうちゃん、今日ちょっと不機嫌だけどどうしたの?」
 夕食を終えて、りっちゃんさんがお風呂に入りに行き、僕と春香はリビングで2人だけの状態になった。春香はりっちゃんさんとお風呂に入ると思っていたが、りっちゃんさんが、今日は1人でゆっくり入りたい。と言ったため、そうはならなかった。たぶんだけど、僕に気を遣ってくれたのだろう。
 りっちゃんさんがお風呂に向かうと春香はソファーに座っていた僕の真横に座って僕にもたれかかりながら尋ねる。
 「不機嫌じゃないよ…」
 「嘘…ちょっといつもより口数少ないし、私の方あまり見てくれないもん。りょうちゃん、昔から不機嫌な時はそうなるよね」
 「そっか…」
 すごいなぁ…それだけで不機嫌なことがバレてしまうのか……
 「私が、りっちゃんとばかりいるから寂しい思いさせちゃったのかな…」
 「そんなことないよ…」
 うん。とは言えない。春香に申し訳ないから……
 「嘘つかないの。わかるからね。りょうちゃんの嘘くらい」
 春香は僕のおでこを軽くデコピンしながら僕に言う。よくわかるね…すごいや…
 「ごめん…」
 「やっぱりそうなんだね。ごめんね。寂しい思いさせて…」
 春香はそう言いながら僕を抱きしめた。久しぶりに春香を間近で感じる。
 「いやいや、僕の方こそごめんなさい。春香に寂しい思いさせて…」
 僕は春香にそう答えながら、春香を抱きしめ返した。春香の顔が赤くなり、幸せそうな表情をしてくれる。春香の幸せそうな表情…久しぶりに見た気がする。
 「りょうちゃん、大好き」
 「僕も春香のこと大好きだよ」
 僕と春香はお互いに目を合わせて唇を重ねた。久しぶりの感触だった。温かい…春香の唇の感触を感じた。きっと春香も同じ想いをしてくれているだろう。
 久しぶりに、春香と愛情を交わし合いすごく幸せだった。







 

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