お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

カオスな新歓コンパ





 ……………何だこれ………………
 カオスすぎる………

 木曜日、朝起きてかなり睡魔に襲われた状態で僕は木曜日の授業を受けた。そして、午後、部活で練習があったが、今日の練習はいつもより早目に終わった。
 それは今日、練習後にイベントがあったためだ。

 「はい。それでは、今日この後新歓コンパを行います。解散後に楽器を片付けてまたステージに集まってください」
 新歓コンパの幹事役をしているりっちゃんさんが、合奏が終わった後に全体に指示を出す。
 その指示に従い、全員楽器を片付けてステージに集合した。新歓コンパは少し離れた場所で行うので、お店が用意してくれた送迎バスに乗り会場のお店に向かう。
 バスに乗る際に僕は強制的にりっちゃんさんの横に座ることになった。春香とまゆ先輩はめちゃくちゃ文句を言った。
 「どうせどっちがりょうちゃんの隣に座るかで揉めるでしょう?お願いだから、面倒な手間かけさせないで。初めての幹事役でかなり大変なんだから…だから、面倒事を事前に防ぐためにりょうちゃんは私の隣に座ってもらいます。春香ちゃんとまゆちゃんは仲良く2人で座ってて」
 と、威圧感を持った感じで春香とまゆ先輩に言うと2人ははい…。なんか、すみません。と謝りながら引き下がった。りっちゃんさんちょっと怖い……
 そんなやり取りがあり、僕はりっちゃんさんの横に座り、春香とまゆ先輩は僕とりっちゃんさんの後ろに座った。今日の新歓コンパは1〜4年生ほとんど全員が参加する。そのため、2台用意してくださっていた送迎バスはかなりキツキツだった。総勢役40人の大規模な呑み会はとても楽しみだ。
 送迎バスの中でりっちゃんさんや後ろの席の春香とまゆ先輩、僕たちの前に座っていたゆき先輩とパーカッションパート3年生の三久先輩とお話しした。
 三久先輩は拓磨が僕たちにしたことにパーカッションパートのパートリーダーとして、かなり責任を感じていたみたいで僕にかなり罪悪感を抱いていてひたすらに謝られた。今回の新歓コンパには拓磨は不参加だ。3年生や同学年の2年生から圧力がかかったらしい。当然と言えば当然の報いだろう。はっきり言ってもう関わりたくなかったので、その件については感謝している。拓磨に散々注意をしてくれた三久先輩には感謝しかしていないので、僕は三久先輩に感謝をし、それ以上謝らないでください。と言った。その後は6人でいろいろお喋りをしていたらあっという間に会場のお店に到着した。

 「はーい。じゃあ、お店に入る際にクジ引いてください。クジの番号の順番に席に座ってください」
 私は全体に指示を出しながら用意したクジを持ってお店の入り口に立つ。みんなが次々に私が用意したクジを引いて席に向かう。
 このお店の大広間を貸し切らせてもらったが、料理の都合上8人席が並んでいるような構造だ。また、普段と違う関わりを作って欲しいので、席決めはクジ引きで行うことにした。みんながクジを引いてお店に入った後、幹事役の私も余ったクジを確認して大広間に向かう。そして、私が座る席を確認した直後、何これ…とつい呟いてしまった。

 「あ、りょうちゃん、まゆと席近いね」
 「私とも近い」
 「あれ、ゆきとも同じテーブルだね」
 「あ、私も同じだ。よろしくね」
 店に入り8人席の左から2番目の席に僕は座る。向かい側の左から順に、春香、まゆ先輩、三久先輩、ゆき先輩が座った。
 「あの…私、そこの席だから…その…よろしくお願いします」
 少しして大人しそうな長い黒髪の女の子が話しかけてきて僕の隣である1番左の席に座る。たしか、1年生のフルートパートの子だよな…と思いながら僕はよろしく。と返事をする。
 「あ、私りょうくんの隣だ!りょうくん、隣失礼するね」
 そう言いながら僕の横に座ったのはトランペットパートの1年生、ゆいちゃんだ。かわいらしい女の子が僕の横に座り、しかも仲良さげで座る距離が近い気がする…そんな状況を見て目の前に座る春香とまゆ先輩は不満そうな表情をしていた。しかも、ゆいちゃんと一度出かけたことを知っている春香はめちゃくちゃ不機嫌そうだ。怖い…
 そんな状況を見て引きつった笑みを浮かべながらりっちゃんさんがゆいちゃんの横に座る。何このテーブル…なんかめっちゃカオスのような気がする。この状況に巻き込んでしまったフルートの子と三久先輩、ゆき先輩、りっちゃんさんには申し訳ない………
 そのようなカオスの状態で1番最初にドリンクを注文する。春香やまゆ先輩に見せつけるように僕に馴れ馴れしくしているゆいちゃんを見て春香はかなり不機嫌になり僕に聞こえるように私、お酒呑もうかなぁ…と言っているのが怖い。
 ゆいちゃんにはちゃんと伝えないとな…僕が春香とまゆ先輩と付き合っていることを……
 などと思いながら話しているとドリンクが届き、幹事役のりっちゃんの掛け声で乾杯をして新歓コンパが始まるのだった。









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