お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

ありがとう。





 まゆ先輩の車に乗った僕たちは一旦まゆ先輩の家に寄ってまゆ先輩は着替えなどの荷物を持ってきた。そして僕たちのアパートに向かい、3人で部屋に入る。
 昨日、全然寝れていないため今日は早く寝よう。ということになり、帰宅後すぐに春香はお風呂にお湯を入れに行く。
 「ねえ、りょうちゃん。今日も一緒にお風呂入りたい…」
 僕にもたれかかって座っているまゆ先輩に甘え声でそう言われて僕はドキッとするが、さすがにまずいと思い今日は一人で入りたい。とまゆ先輩に言う。
 「えー、私も一緒に入りたかったのに…」
 春香が僕の膝に頭を置いて僕を見上げるようにして言う。
 「ねえ、りょうちゃん、一人でお風呂入るなんていつでもできるけど、まゆと一緒にお風呂入れるのはまゆがお泊まりしに来てる時だけなんだよ。次いつ泊まりにこれるか分からないしいつまたこういう機会があるかわからないんだよ。それでも、まゆと一緒にお風呂入ってくれないの?」
 まゆ先輩に悲しそうな声で言われて拒否することはできなかった。結局、今日も僕は春香とまゆ先輩と一緒にお風呂に入った。今日は昨日みたいに逆上せることはなく、ドキドキしながら春香とまゆ先輩と一緒にお風呂に入れて幸せだった。
 「ねえ、りょうちゃん、今日もその…気持ちいいことする?」
 お風呂から出てドライヤーで髪を乾かしながらまゆ先輩が僕に尋ねる。
 「いや…今日はもう眠いし…」
 「少しだけ…お願い……」
 なんか、すっかり癖になってしまっている気がする…春香にもしたいと言われて結局、全員一回だけ気持ちいいことをし合った。もちろん本番はしていないが…
 気持ちいいことが終わった後、僕のベッドに敷いていた布団のカバーを変えて、布団をリビングに運ぶ。春香の部屋からも布団を運んできて、リビングに布団を2枚並べて敷いた。
 そして、僕が真ん中で横になり、春香とまゆ先輩は僕を挟むように布団の上で横になった。春香もまゆ先輩も横になった途端、僕の腕を片腕ずつ抱きしめてきた。そして春香もまゆ先輩も僕の顔の真横に顔を持って来る。僕は部屋の天井を見上げていたが、春香とまゆ先輩の顔は僕の顔に向けられている。チラッと姿勢を春香の方に動かすと春香は嬉しそうな表情でおやすみ。と言ってくれた。僕が春香におやすみ。と返事をすると、まゆ先輩が私も!と言うように僕の腕を抱きしめる力を強めた。僕がまゆ先輩に視線を向けるとまゆ先輩は幸せそうに微笑んでおやすみ。と言ってくれた。僕はまゆにおやすみ。と返事を返して再び天井を見つめる。

 「ねえ、りょうちゃん、まだ起きてる?」
 部屋の灯りを消してまゆ先輩が僕の腕を抱きしめる力が弱くなった頃に春香が小声で僕に話しかけてきた。
 「うん。起きてるよ。どうかしたの?」
 「お礼…言っておきたくて…」
 「お礼?」
 「うん。昨日今日とずっと私を守って、支えてくれたお礼」
 「そんなことしなくても僕はいつでも、いつまでも春香のことを守るよ。絶対、春香の味方でいる。絶対、春香の側にいる。春香が辛い時は絶対、側で支えてあげる。って昔約束したじゃん」
 「覚えててくれたんだ…」
 春香は驚いたような声で僕に言う。何年も前の約束だから忘れられていると思っていたのだろう。春香との約束を僕が忘れるわけないのに…
 「忘れるわけないじゃん。春香との大切な約束なんだからさ…実はちょっとショックだったんだよ。辛い時は絶対、側で支えてあげる。って約束したのに、去年何も言ってくれなかったみたいだからさ…」
 「それは……ごめん……」
 春香は本当に申し訳なさそうに言う。そして、僕の肩に自身の顔を押しつけて、自身の表情を僕から見えないようにする。
 「りょうちゃんに迷惑かけたくなかったから…りょうちゃん、きっと優しいから…私が相談したら絶対、私を助けてくれようとする…りょうちゃん、受験生だったから…迷惑かけたくなくて言えなかった。りょうちゃんのこと大好きだから……りょうちゃんに迷惑かけたくなかったの。でも…本当は怖かったし……何度も助けてって言いそうになった……助けてって言いたかった。りょうちゃんに助けてもらいたかった。だから、今回、りょうちゃんが…助けてくれて嬉しかったし…安心…できた。だから…私も……頑張って立ち向かえた…助けてくれてありがとう。私も、りょうちゃんが困ってたら助けるから言ってね…」
 春香は泣きながら僕に言う。必死に顔を僕の肩に押しつけて表情を隠しながら泣いてしまった。
 「ねえ、りょうちゃん…これからも、私を助けてくれる?」
 「うん。約束したじゃん。約束は絶対守る。春香との大切な約束だしね」
 「ありがとう」
 春香が泣き止まないので、僕は春香に抱きしめられていた腕を解放して、春香の頭を優しく撫でた。春香は泣きながらありがとう。と言い、しばらくして泣き疲れて眠ってしまった。その頃には、僕の腕は再び春香に抱きしめられていた。
 「春香ちゃん、ちゃんと寝れた?」
 「やっぱり起きてたんだね」
 春香が泣き止み、しばらくしてからまゆ先輩が僕に声をかける。たまに、僕の腕を抱きしめる力が強まったりしたことからまだ、起きているかもと思っていたが、やっぱりそうだった。
 「ドキドキして寝れなくて…ねえ、春香ちゃんとの約束ってどんな約束なの?眠れなくて退屈だからもしよかったらまゆに聞かせてほしいな…」
 まゆ先輩になら…話してもいいかな…と思い、僕はまゆ先輩に昔の話をすることにした。僕と春香の昔の話を………








 

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品