お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

2日目



 朝食を食べてしばらくリビングで春香とTVを見ていると部屋のインターホンが鳴った。
 そしてしばらくして僕の部屋にいくつかの段ボールとベッド、机に愛用の腰掛け、楽器などが届けられた。
 「結構な量あるね…荷解き手伝おうか?」
 部屋に置かれた段ボールを見て春香が手伝いを申し出てくれる。
 「いや、一人で大丈夫だよ。ありがとう。本当に荷解き今日中に終わりそうになかったら午後お願いするかもだけどとりあえずは大丈夫」
 「そっか…じゃあ、私はお昼ごはんの準備してくるね。大変そうだったら声かけてね」
 「うん。わかった。ありがとう」
 僕の返事を聞くと春香はリビングへ向かっていった。
 とりあえず僕は段ボールを開き一つずつ片付けていくことにした。まず、最初に明日必要なスーツを優先的に取り出して、パソコンなど机の上や引き出しにしまうものなどを片付けていた。
 しばらくすると昼食の時間となったのでリビングに向かう。今日の昼食はミートパスタとサラダ、コーンスープだった。どれもとても美味しい。夕食は余ったミートソースでドリアを作ってくれるみたいなので期待が膨らむ。
 昼食を食べ終わり荷解きを再開した。
 「りょうちゃん、お皿の片付け終わってやることないから手伝うよ」
 昼食の後片付けを終えた春香が部屋に入ってきて手伝いを申し出てくれた。思っていたより時間がかかってしまっていたので申し訳ないが手伝ってもらうことにした。
 「じゃあ、私はこの段ボールの中身片付けるね」
 「うん。お願い」
 春香に返事をして何の段ボールだっけ、と春香が触れている段ボールをチラッと確認するとゾッとした。
 僕が慌てて春香を止めようとするのと同時に春香の動きがピタッと止まってしまった。やばいと思った僕はわざとらしくちょっとトイレ行ってくるねと立ち上がり慌てて部屋を出た。

 ちょっと時間を置いて部屋に戻ると段ボールの中身は綺麗に本棚に並べられていた。参考書や、辞書、漫画にラノベ、小説、そして春香に見られてはいけなかったものまで綺麗に並べられているのを見て僕は引きつった笑みを浮かべた。
 そして何ごともなかったようにお互い作業を進めてからしばらくして荷物は全て片付いたのだった。
 気がつくと時刻は夕方になっていた。荷物の片付けが終わった頃、ちょうどご飯が炊けていたので昼食の余りのミートソースをご飯の上に載せてチーズを散らしオーブンで焼いてあっという間に夕方を用意してくれた。
 ミートドリアにコーンスープ、サラダを夕食としていただき夕食の片付けをして僕が先にお風呂に入らせてもらった。
 「春香、悪いけど荷解きで疲れたし明日朝早いから先に休ませてもらうね」
 「うん。わかった。おやすみ」
 春香は僕にそう言い残してお風呂に向かった。僕は洗面台で歯を磨き、ベッドの上で横になる。チラッと本棚を見て春香に見られたくなかったものがそのままになってるのを思い出して僕は春香に見られたくなかったものを適当な場所に隠した。それからしばらくすると春香がドライヤーで髪を乾かす音が聴こえてきた。ドライヤーの音が止まりしばらくして僕の部屋の扉が開いた。
 「りょうちゃん、まだ起きてる?」
 「うん。起きてるけど…」
 「ねえ、今日も一緒に寝ていい?」
 「え、今日も…」
 「いや、だったかな?」
 「え、全然嫌じゃないよ」
 「そっかならよかった」
 春香はそう言いながらベッドの上で横になり昨日と同じように僕の腕を抱き枕みたいに使用してきた。
 「あのさ、りょうちゃんは…その…ああいうのに興味あるの?」
 「ああいうのって…」
 「その…本棚に並べて置いたやつみたいなこと…」
 「そりゃ…ないって言ったら嘘になるけど…」
 「そう…なんだ…じゃあさ、私とやってみる……?」
 春香の言葉を聞き僕は一瞬理解が追いつかずキョトンと春香の方を見た春香は顔が真っ赤になってすごく恥ずかしそうだった。
 「何言ってんだよ…冗談でもそんなこと言っちゃだめだよ。春香かわいいんだから本当に気をつけないとだめだよ。冗談はそれくらいにして、明日朝早いからもう寝るよ。電気消すからね」
 僕はそう言いながら立ち上がり部屋の電気を消した。
 「冗談じゃないのに…りょうちゃんとならいいのに…」
 春香は僕に聞こえないようにそう呟くのだった。




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