神龍に育てられた世間知らずは王都で暮らすそうです

霧雨 紫

魔剣ニルヴァーナ?

「では今回命を取らない程度でしたら何をしてもいいです!」

 ルールを説明したレイナさんはこちらを見てウィンクをした。

「てめぇ、なにボサっとしてるんだよぉ!」

「え?」

「はじめ!」

 ガレオスは一直線にこちらに走ってくる、これは陽動か、流石にこちらの能力も知らないのに真っ直ぐ来るなんてことは無いはずだ。

「フレイム!」

 ここで火魔法の初歩的なフレイムか。

「ふっ!」

 俺は炎を切り裂く、そして片腕を地面に着き伏せるように低姿勢になる。

「お、おいあのガキ炎を斬ったぞ…」

「見間違いじゃないよな…」

 観客がうるさいがまぁこの程度は許容範囲だな。

 すると先程の頭の位置に剣が振られていた。

「んな!どこに!」

 そのまま俺は剣を突き出す。

 これを避けられた瞬間に操水魔法で腹部を貫く予定だった…が、突きが深く突き刺さる。

「え?」

 ただの様子見だったのにこれが入ってしまうのは予想外だった。

「ぐあぁぁぁ!!ひ、ヒール!」

「あ、あの大丈夫ですか?」

 思ったより突き刺してしまったから内蔵を切ってないか心配だった、だがガレオスは剣に強化魔法をかけ突っ込んでくる。

「おまぇのようなガキにまぐれで勝たせてたまるかぁ!!」

 そしてその剣が俺に当たる、前に剣を斬る。

 強化された剣だろうがなんだろうがあんな遅い剣簡単に斬れる。

「剣を…斬っただと?」

 実際この人は大したこと無かったな…、Aランク、下から数えた方が早そうだな。

「勝者、ウル!」

「おおぉぉ!!!!すげぇぞ!!!!」

「剣を斬るなんて人間業じゃねぇよ!」

「ウルさん!ギルドカードです!」

 俺のカードに書かれていたランクはAランクだった。

「ランクは下からD、C、B、A、S、Zとなっております」

 ん?となると初期から…。

「まじかよ!試験早々Aランクとかどういうことだ?」

「そりゃあのガレオスに圧勝したんだ、Sでもおかしくねぇぞ!」

「ふざけんな!てめぇ何仕組みやがった!」

 ガレオスはまだ絡んできた。

 するとギャラリーは目的のものが見れたからかもう既にみんな酒場に帰っていった。

「いや、何も仕組んでませんよ」

「そしたら俺の剣を斬るなんてことはできないはずだ!お前の剣はなんだ!」

「ちょっとした魔剣です」

「魔剣だと…?魔剣に認められたのか?というか魔剣を見つけたのか……?」

 なんだ、魔剣ってそんな世の中に出回ってないのか!?

「え、ウルさん魔剣を持ってるんですか!?」

「あっ、はい、魔剣ってそんなに珍しいんですか?」

「この世に3本しかないと言われてるんですよ!」

「え?」

 嘘だ、となると俺は3本のうち1本持ってるというのか…ニルヴァーナありがとう…。

「1つ目は魔剣フィレイル、触れたものを燃やし尽くしたり凍り尽くすことができると言われる剣。2つ目は魔剣デシャス、その名の通り破壊し尽くす魔剣ですが、使用者の心が未熟だと精神に異常を来たし廃人となると言われています。

 そして3つ目が1番恐ろしい魔剣ニルヴァーナ、神龍が作られたと言われている魔剣です、使用者の魔力を柄に流しておくことによって魔力を剣に貯めることも出来るのですが、それだけなら魔剣と言われるわけがありません、剣自体に魔力を通すとなんの代償もなしに全属性の魔法剣になります、しかもその攻撃力は他の魔剣のレベルではありませんし、特に滅炎属性にしたら一瞬で街一つ消すことが出来るレベルと言われています、そしてさらに驚くべきことに斬れないものは無い、最強の魔剣なのです!」

 おぉ、この人絶対、剣好きだろ、その目は輝いていてまだ話したいことがありそうだった。

「まぁ落ち着いてください」

「はっ、私としたことが暑くなりすぎちゃいました!とりあえず別室でこのことは話しましょう!ガレオスさんはこのこと周りに言わないでくださいね」

 レイナさんのニッコリした顔はとても怖い、なんというか笑顔だからこそ怖い。

「わ、分かった…」

「じゃあウルさん来てください!」

 俺は手を引っ張られ、別室に連れていかれる。

「で!ウルさんの剣は!」

 俺の剣は深い青の鞘に入っており、柄などは普通に質素なものだ。

「これです」

 机の上に置く。

 そしてレイナさんは持ち上げようとする。

 だがその剣は頑なに机から離れようとはしなかった。

「やっぱり!魔剣だ!で、これはなんの魔剣なんですか!」

 まぁニルヴァーナから貰ったから、普通に魔剣ニルヴァーナだろうなぁ。

「いやぁよく分かってないんですよね」

 一応隠してはおくか。

「じゃあわかったら教えてくださいね!」

 てかこんなの俺が持ってて大丈夫なのか?

 というかなんでそんなものを俺は持てたんだ…。

 この世界を強さの基準を見極めなくちゃいけないな…。

「ウルさん!これからの活躍期待してますよ!」

 レイナさんの眩しい笑顔に少しだけドキッとしてしまった。

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