神龍に育てられた世間知らずは王都で暮らすそうです

霧雨 紫

試験開始です

《前書き》
昨日書けなかった分量多め?かな?





 俺が案内されたのは円形のドームのような場所だった、そして真ん中には大柄な体験を構えた男がいる。

 明らかに自信があるような表情だった。

 すると受付嬢が申し訳なさそうにこちらを振り向いてきた。

「えーと、ウルさんは対人戦闘はしたことがありますか?」

「対人…は無いですけど、大丈夫ですよ」

 そして俺は円形状のドームに飛び込む。

「坊主、派手な登場だな…高さ結構無かったっけな…」

「それよりも試験の方がやりたいです」

 さっきのジャンプなんてただ飛んだだけだみんな出来るだろうに、そんなに俺は下に見られてるのか…。

「まぁルールはないが基本的には対人戦闘で俺に勝つ必要は無い、大丈夫だと判断したら合格を言い渡す、分かったな?」

「はい!」

 鑑定してみるか…だが試験だそれはずるになってしまう、自分の力だけで戦って、ここで少しだけでも認めてもらうんだ!

「では、初めです!」

 俺はまず剣を抜き間合いを取る。

 自分より上の相手の場合は攻めなくてはならいが下手に攻めると自分が不利になってしまう。

「来ないのならこっちから行くぞ!」

 そして大剣が振り下ろされる、だが何だこのスピードは。

 とんでもなく手加減をされているのか、そのスピードは指で掴めるスピードだった。

 俺は指で剣を取る。

「んな!?」

「そんなに僕は舐められてたんですか……もう少しちゃんとやってください!」

「お前は何を!」

 俺が指を離すと連撃が飛んでくる。

 剣のはらを爪の先でなぞる、こんな脆い剣で試験だって?
 俺はどれだけなめられてるんだ、やっぱり厳しい試験を選ぶべきだったか。

「すみません、難しい方の試験に変えてもいいですか?」

「何を言ってるんだ!まだ俺との試験が終わってないだろ!」

 俺は後ろに飛び退く。

「何を言ってるんですか、そんな剣で試験なんてできませんよ」

 試験管の男の大剣は縦に真っ二つに裂けていた。

「合格で…すが、いいんですか…?」

「はい、お願いします…」

 こんな状態で合格でも嬉しくもなんともない。

「分かりました、ギルドマスターを呼んできますのでお待ちください」

 そして10分くらい待つと受付嬢と長身のスリムな男が戻ってきた。

「お待たせしました、ギルドマスターと戦ってもらいます」

「君がウルくんだね?聞いたよ、規格外だってね」

 何を言ってるんだこの人は、俺が規格外?

 まさか、田舎者だってことがバレたのか!

「まぁいいよ、さあ試験だ」

 するとギルドマスターはふわりと闘技場に降り立った。

「お願いします!」

「合図は任せたよ、レイナ」

 受付嬢に笑顔で手を振るギルドマスターからは強者のオーラがない。

「了解しました。では、試験開始です!」

 途端に俺の体に圧がかかる、重力魔法か。

 まぁこのくらいなら普通に歩けるな。

「わお、凄いね…普通ならぺちゃんこなのに」

 今なんて言ったんだ、地面の割れる音でよく聞こえなかったな。

 俺は地面を壊しながら進む。

 1回重力魔法を試してみるか、この場合なら反重力だな、中心に引っ張られるイメージから外に引っ張られる、しかも天井に支点を置くイメージに変えて発動!

 するとギルドマスターの体が地面から勢いよく離れる、そして天井にぶつかる…寸前に自分に重力魔法をかけて止めた。

 さすがだ、咄嗟の判断で反重力魔法だと見抜かれた。

 まぁ俺も重力魔法使えるようになったからラッキーだな。

「まさか、反重力魔法かい?化け物だね…」

 そしてギルドマスターはこちらに手を向ける。

 なんだ?

 すると体の周りに何かが張られている、直ぐに俺は上に飛びそれを回避する、その瞬間糸のようなものがさっきまでいた場所を切り刻んでいた。

「糸操魔法ですか?」

「よくわかったね、バレない自信があったのになぁ」

 少しずつ俺たちの顔から緊張感ではない、ワクワクしたような表情が浮かんできた。

「というかそろそろ反重力魔法を解いてもらってもいいかな?」

「あっ、忘れてました」

 そして、ギルドマスターは再び地に戻る。

「これで終わりにしようか、また再び君と戦えることを祈るよ」

 そう言うと腰の剣を抜き、こちらへ走ってきた。

 それに対応するためにこちらもいつでも剣を抜けるようにする。

 するとギルドマスターの手からキラリと光るものが見えた、小刀だな。

 それを俺は剣を抜いて叩き落とす、そしてその隙にギルドマスターは俺の懐に詰めてきていた。

 流石だな、だが、俺の勝ちだ。

 俺は剣を手から離す、そして重力に従って落ちる剣を掴み、逆手に変え、相手の剣を受け止め、逆の手で火炎魔法を放つ。

「惜しかったね、僕はこっちだよ」

 幻影魔法!?

 しまった!

 そして俺の腹に剣が振り抜かれる。

 パキン

「あれ?」

 俺の腹には傷一つない、ギルドマスターの剣だけが折れていた…。

「えーと、不良品だったみたいですね、あはは」

 すると呆れた顔でギルドマスターは言う。

「まぁ確かにこの剣はここの闘技場でずっと使われてきているが、普通は折れないからね?君は一体全体どんな訓練をしてきたんだ……」

「まぁその色々ですね」

「君は合格だよ…勝負には勝ったのになぁ」

 まぁあのくらいの刃じゃ俺には傷一つつかないけど、あれが切れる剣だったら俺は死んでいたな…。

「レイナ、ウルくんを案内してあげて」

「は、はい!」

「ほんとに化け物だよ…」

 俺はギルドマスターが最後に言った言葉を聞き取ることは出来なかった。


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