月と太陽

第一話   佐倉紫

「はぁ……」
ため息をつき俺は教室に戻った。
静かに自分の席に座りしばらくすると――
入ってきた…さっきぶつかった子だ……
「同じクラスだったのか……」
俺は声を漏らしてしまった。
周りに聞かれてないよな……そう思いながら辺りを見渡す。
――あの子の名前はなんだ……?後でアイツらに聞けばいいか……
その子が入ってきた数分後に速坂と木野が戻ってきた。
「うぃー!適当に買ってきたぞー!」
大声で速坂が俺に向かって言う。
「やっぱりお前のボリュームは壊れてるな。まっ…感謝するけどよ」
俺はそういい速坂から購買のパンを取った。
「あはは……やっぱカリンはかまちょだね~」
木野がイタズラをする子供のような顔で速坂にそう言った。
「だからその名前で呼ぶなぁ!」
「なぁー?さっきも思ったけどそのカリンって誰の事だ?」
「ヒ・ミ・ツ」
……さっきと同じ回答かよ。まぁいっか。
「な、なぁ」
俺はもう一度木野に問いかける。
「ん?カリンのことなら言わないけど?」
「そうじゃねぇって……えっと、さっき階段で俺に当たってきた子いたろ?あいつの名前なんだ?ほら、そこに座ってる――」
俺はそう言うとさっきの子が座った席を指さす。
「んー…確か、佐倉紫って言ったかな?僕もあまり話したことないけど自己紹介の時にそう言ってたのを覚えてるよ」
――佐倉紫か…
「っべ!木野!流星!昼休み終わっちまうぞ!」
速坂が焦って俺たちに言う。
「うわ!やべーじゃん!早く食っちゃおうぜ!」
昼休みが終わるギリギリに何とか食べ終わり5時限目に入る。
「――で、あるからにして、ここは…」
数学のセンコーが授業している。俺はそんな授業よりも佐倉が気になっていた――
5時限目が終わり、6時限目。
この時も佐倉のことを考えていて何をしたか覚えてない。
――俺はなんでこんなにもあいつのことを考えているんだ……?
疑問に思いつつ俺は下校準備をした。
「ふぅ……やっと終わったか。さっさと帰ってげーむでもしよっかな」
独り言をいい教室から出ようとすると誰かが話しかけてきた。
「あ、あの……昼のことで…お話が…」
――佐倉だ。話…か……
「別にいいけど、ここでか?」
俺は問いかける。
「い、いえ……えっと……図書室で…お話…しませんか……?」
少し怯えた口調で佐倉が言う。
無理もない。あの時、つい強めに言っちゃったもんな……。
「図書室か?いいぜ。いくか」
俺は佐倉の前を歩き図書室へ行った。
佐倉はあとから着いてきて図書室へ着いた。
「人が少ないところがいいな。あそこなんかどうだ?」
そういい俺は角の席を指さす。
「は、はい…あそこにしましょう……」
佐倉も賛成して俺たちは角の席に座った。
「――話ってなんだ?」
早速俺が話を進める。
「え、えと…り、流星…くん……だよね…?」
「あぁ。日向流星だ」
その問いかけに俺は普通に答える。
「そういうお前は佐倉紫。だろ?」
そう言うと佐倉は少し驚いたような表情を見せる。
「う、うん…。覚えてたんだ…嬉しい……」
――昼に聞いたからなんて言えないな……。
「んで、話ってなんだ?」
俺は話を戻した。
「あ、うん。えっと……流星くんの…腕の…傷…なんだけど……」
――やっぱりか……誰にも言いたくなかったが、バレちゃ言うしかないよな……
「――これか…」
俺は袖をまくって腕にできた三本の傷を見せ、こう言った。
「これは中学の頃につけた傷でな……色々あったんだよ……今の俺はお前にはどんなふうに見える?」
突然の問いかけに戸惑いながらも佐倉はこう答えた。
「え、えと……私とは正反対……。例えるなら…太陽…。そして私は月……。クラスの中心的存在で皆を笑わせたり楽しませたりする流星くんと影でこっそりと本を読んでる私…かな……」
――太陽か…そうか…そんなふうに見えてるのか……
「そう見えてるなら嬉しい限りだ。
――話は終わりか?ならもう帰らせてもらうが……」
帰ろうとする俺を見て佐倉は呼び止めた
「ま、待って……!一つだけお願いがあるの…」
声を小さくして佐倉は言う。
「―――してほしい……」
小さすぎて聞き取れない。
「ごめんな。もう一回言ってくれるか?聞き取れなかった」
すると佐倉はさっきより大きく、でも俺にしか聞えないように言った
「連絡先交換してほしい……」
「っ……!?い、いいぞ?」
いきなりのことで驚いたが俺はOKしてメールアドレスと携帯番号を交換した。
「なぁ…佐倉」
俺は佐倉に言った。
「また明日、ここで話せないか?」
――何言ってんだ俺……そう思い佐倉を見た。
「ん……うん。また明日ここで話したい……」
――こうして明日、俺達はここで会う約束をした。
帰り道も途中まで話しながら帰った。
その時に話してた内容は忘れたがとても楽しかった。
そんなことを思いつつ俺は家に着きベットに倒れ込むように横になった。
「俺が太陽で……あいつが 月…か……」
そうつぶやいてしばらく考え事をしていたがいつの間にか寝てしまっていた。

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