魔王と歩む世界

太津川緑郎

十七話 聴取


その日ルシア軍隊長の自室に招かれていた。
話の内容は恐らく先日あった、初任務の最後についてだろう。

少し待っていてくれと言われてから、もう数十分経っていた。

「って、そういえばこの世界の共通通貨は円だっな。それに時計もまんまだ」

視線の先には、壁にかけるタイプの時計が掛かっていた。
そんなことを考えていると、ドアが数回ノックされ、ルシア軍隊長が入ってきた。

「待たせてすまない、では話を始めよう」

真剣な面持ちで始まった話し合いは、いきなりこの話の核心をつく質問投げかけてきた。

「何故足止めをしていたはずの君が、私たちより早くここに着いていたんだ?」

「それは⋯⋯その」

考えてはいたが、まだ完全には纏まっていなかった。

「確かに君が危機を救ったのは事実だ、だが事実確認はしておかないといけないんだ、わかってくれ」

僕自身があまり触れて欲しくなさそうにしているのは、恐らく気がついてはいるだろう。
だが立場上一応聞かなければいけないのは、こちらも理解している。

「本当のことを話します」

そこから、全てを包み隠さず話した。
途中困惑した表情を見てていたが、ここで中途半端に嘘を交えたところで、矛盾が生まれ返って面倒なことになら予感がしたからだ。

「もし仮にそれが本当だとしよう、だがそれは君が違う世界から来たということになるが?」

「その通りです」

その日の聴取はこれで終わった、この世界に来て初めて人に話した。

「まぁ、急には受け入れられないわな」

実際まだ自分ですら受け入れられていない部分も多数あるくらいだ。
何故死なないのか、何故この世界に来てしまったのか、それがこの旅の終着点だ。

「はぁ、面倒なことに巻き込まれたものだな」

こんな時はご飯を食べるに限る、食堂に行くといつもより人が少なかった。
その理由は恐らくルシア軍隊長の部屋に向かう途中にトレーニングルームに行く団体を見かけた。

「お前は何者なんだ?」

先に食堂にいたレグルスがど直球の質問を、投げかけてきた。

「お前の好敵手だろ?」

うまい具合に、挑発を含む答えを返した。

「まぁ、お前が何者だろうと全部倒すだけだ」

自分が投げた質問に、自己解決で納得するのはおかしいと思うが、あまり広まるような話でもない。
数週間は死なないよう、大人しくしていようと強く決心した。

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