魔王と歩む世界

太津川緑郎

三話 最初の町


 
 魔王は僕の顔を見て、驚く仕草をしていた。
 数分前に別れを告げ、新たな冒険に出用としたところ、城を出ると火山地帯が広がっていた 。

「それで? 何している?」

 魔王の率直な質問に、苦笑いで答えるほか術を持たなかった。

「あの⋯⋯火口にはまりました」

 火口と火口の間を、ジャンプで飛び越えようとして誤って転落した。
 少し暑かったが、そんなことより恐怖の方が大きかった。

 魔王に殺されると、魔王の前に転生するが、火口に落ちたとなれば話は別だろう。それ故の恐怖だった。
 
 死んだら元の世界に帰るか、それともそのまま死んでしまうのか。

 魔王の前に戻るにしろ、考察した前者にしろ、後者にしろ地獄は地獄だが、まだ前者の地獄の方が未来がある。
 まぁその考察も外れ元来の場所に戻ってきてしまった。

「どうします? また何回か殺します?」

 毎回激痛だが慣れとは怖いもので、その事への恐怖はもうない。

「わかった、ちゃんと近くの町に飛ばしてやるから!」

 もう面倒くさくなっている様子だった。
 魔王が手を天に向かって掲げると、僕の周りに魔法陣が描かれる。

「もう死ぬなよ!」

 その一言を聞き終えると同様に、眩い光が全身を包む。
 目が眩んで辺りが見えなかったが、徐々に目も回復し景色の全貌が明らかになる。

「すげ〜」

 そこは、龍が空を飛んでいたり、巨大な馬に大量の人が乗っていたり、耳の長い人が居たり、明らかに小さな人もいる。 

「ここが異世界か!」
 
 西洋風の建物が立ち並ぶ街、そこは異世界と呼ぶには十分な根拠があった。

「いや、どうしよ」

 不安はいくつもあったが、その一つとしてお金がない。
 持っているのはからの財布だけだった。
 携帯は部屋に置いてきてしまった。

 今は噴水の縁に座っている。
 流れる人混みを見ていると色々な種族がいるのがわかる。
 その中にはなんの変哲も無い人もいる。

「へぇ〜 色んな人がいるんだなぁ〜」

 余裕を見せ、足を組んでいるが、普段組まないし、足めっちゃ震えてもいる。

「どうしよ」
 
 まずお金を稼がないといけない。
 だがどうやってこの世界の人が生計を立てているのかがわからない。

 「あの〜」

 少し厳ついが、笑顔の眩しい男性に話しかけた。

「どうやってお金を稼ぐんですか?」

 すごく変な質問をしているのは自覚している。
 だがそれの答えを知らないうちは次に踏み出せない。厳つい顔をしかめ、必死に考えていた。

「君は騎士になりたいのか? ならここの広場の道を真っ直ぐに行くと突き当たりを右に曲がると、役所があるから、そこで登録と容量を知れる。まぁ健闘を祈るよ」

 そう言い彼は去っていった。
 突き当たりを右不安で埋まっていた心から、突き当たりを右を覚えるための心に移り変わっていた。

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