転生バーテンは生き残る
36話
「で?どこに食べに行くのよ?」
 『森の恵亭』を出て、メルヴィルがガイツに聞く。
「そうだな。んー、予算の問題もあるしメルヴィルも飲むだろうから…今日は居酒屋『二葉』かな。場所もここから近いし。」
「あそこいいよね。ご飯も美味しいけど店員さんの笑顔が。」
 どうやらルドルフもお気に入りのお店らしい。
「ルドルフ貴方それ騙されてるわよ?あーまーたまにはあのお店もいっか。」
「何か不都合があったか?」
「あの店ってあの子の家の店じゃない?行くと絡まれるのよね。」
「あー。昔から仲よかったもんな。メルヴィルとムース。」
「どこがよ!?一方的に絡まれて、やり込められるこの気持ち誰もわかってくれないんだから!」
「でも教会で勉強しだした時より前からの幼馴染だろ?」
「腐れ縁って言うのよ。」
「じゃあ変えるか?」
「いいのよ今日はカイトも居るし、知り合いが増えたら頼れる人も増えるでしょ?たまには会ってあげないと、あの子ギルドまで来ちゃうから。」
 話は聞こえてるが、まだ精神的に回復できてない。俺の精神耐性どこいった。
 そのまま引きずられながら宿から10分くらいの所に、1軒の賑やかなお店があった。
 あれで二葉って読むのか。
 入り口の上に店名の絵と文字の書かれた看板がある。その横に『森の恵亭』と同じランタンが灯っていた。
 先頭きってメルヴィルがドアを開けようとするが、一瞬ためらい、そしてまた気合いを入れ直しドアを開けた。
「いらっしゃい♪あらメルヴィルちゃんとガイツくんじゃない!後ろのローブの子はガイツくんと同じパーティのルドルフくんでもう1人は…新顔ね。あっちのテーブルにどうぞ。今ムース呼んでくるわね。それと…」
メルヴィルさんに近付き、耳元で囁く。
「相手は鈍感だから苦労もするけどメルヴィルちゃん頑張ってね♪」
「なっ!」
急にメルヴィルさんは頬を染める。
30半ばくらいだろうか、活発な印象で若いが、これぞ若奥様というような出で立ちにもかかわらず滲み出る包容力。いい。あれ?やっぱ俺歳上が好み?
「あらあら♪」
「あ!メルちゃーん!」
入ってすぐのところで会話してると店のカウンターの中からお盆に乗せた料理と酒を運ぼうとしている幼女が駆け寄ってくる!
あああぁぁ!料理が溢れる!
幼女はメルヴィルに駆け寄る途中でお盆を両手から片手に持ち替え、ダイブする。
メルヴィルの首に手を回し、メルヴィル
を中心にくるっと1周。その後胸に顔を埋める。
何故俺は料理を受け止めようと構えたのにお盆の上のお皿は綺麗に料理が盛り付けられたままなんだ!?瞬間接着剤で固定されてるのか!?俺は奇跡を見ているのか!?
「アンタよくそれだけして料理こぼさないわね?どういう運動神経してんのよ。毎度思うけど深く考えたら負けなのよね。」
諦めたように呟く。
メルヴィルの首から手を離した赤髪ロングの幼女はふわっと着地した。細い毛が波打つ。
「メルちゃん久しぶりだね!珍しいねウチくるの。元気してた?家近いのになかなか食べに来ないから今度いきなりギルドに押しかけるの楽しみにしてたのに!ぶー。」
「元気よ。貴方は元気が有り余ってるわね。お願いだからギルドに押しかけてきて昔話をするのはやめて。それも5歳の出会った時の話から今に至るまで。本当に勘弁して。恥ずかしすぎて恥辱死してしまうから。」
「えー?いいじゃん!親友の自慢話してるだけなんだから!そこまで言うなら控えてあげるけどそのかわりもっと遊びに来てよね!」
「だからこうしてたまに来てるでしょう?それとそろそろ離してくれないかしら?今日はみんなで新人冒険者さん連れてこの店自慢の美味しい料理を食べに来たんだから。」
「みんな?そんな事より2人で一緒にご飯しよう!デザートもあるよ?」
「ダメに決まってるでしょ?仕事しなさい。」
「はーい。じゃあ適当に座ってて後で注文取り行くから♪」
テトテトと料理を運んで行くムースさんを見送りうんざりした顔でメルヴィルさんが席に着く。
「すごいですねあの子。いろんな意味で。というか何歳なんですか?どう見ても10歳くらいにしか見えないんですが…。」
「18よ。私とガイツとムースは同い年ね。ルドルフは確か16だったかしら?」
聞いてみるとすぐに答えが返ってくる。
「18…18!?というかガイツって18だったんだ…?(正直30くらいかと思ってた)もっと年上かと思ってたよ。」
「そう?まあ確かに多少は老け顔と言われる部類かもしれないけどいって20半ばくらいじゃない?」
「おいメルヴィル。いくら俺が優しいからって言っていいことと悪いことがあるぞ?」
「あら、じゃあ優しいガイツさんに今日は奢ってもらいましょ♪」
「メルヴィル様…最低限のお金は残してください。」
「メルヴィルさんがガイツを金欠にすると僕らにも影響あるからほどほどにしてね?」
「大丈夫!わかってるわ♪誰がガイツのお金の管理してると思ってるの?それにこの人にお金を持たせたらもう借金まみれになってるわよ。」
「くふっ。ル、ルドルフ、パーティだろ?少しは助けてくれ!」
「僕がメルヴィルさんに逆らえるとでも?」
会話を弾ませてると、視界の隅に幼女、もとい猛獣の目をしたどす黒いオーラに包まれた何かが目に入る。
 
「ははっ…。」
 『森の恵亭』を出て、メルヴィルがガイツに聞く。
「そうだな。んー、予算の問題もあるしメルヴィルも飲むだろうから…今日は居酒屋『二葉』かな。場所もここから近いし。」
「あそこいいよね。ご飯も美味しいけど店員さんの笑顔が。」
 どうやらルドルフもお気に入りのお店らしい。
「ルドルフ貴方それ騙されてるわよ?あーまーたまにはあのお店もいっか。」
「何か不都合があったか?」
「あの店ってあの子の家の店じゃない?行くと絡まれるのよね。」
「あー。昔から仲よかったもんな。メルヴィルとムース。」
「どこがよ!?一方的に絡まれて、やり込められるこの気持ち誰もわかってくれないんだから!」
「でも教会で勉強しだした時より前からの幼馴染だろ?」
「腐れ縁って言うのよ。」
「じゃあ変えるか?」
「いいのよ今日はカイトも居るし、知り合いが増えたら頼れる人も増えるでしょ?たまには会ってあげないと、あの子ギルドまで来ちゃうから。」
 話は聞こえてるが、まだ精神的に回復できてない。俺の精神耐性どこいった。
 そのまま引きずられながら宿から10分くらいの所に、1軒の賑やかなお店があった。
 あれで二葉って読むのか。
 入り口の上に店名の絵と文字の書かれた看板がある。その横に『森の恵亭』と同じランタンが灯っていた。
 先頭きってメルヴィルがドアを開けようとするが、一瞬ためらい、そしてまた気合いを入れ直しドアを開けた。
「いらっしゃい♪あらメルヴィルちゃんとガイツくんじゃない!後ろのローブの子はガイツくんと同じパーティのルドルフくんでもう1人は…新顔ね。あっちのテーブルにどうぞ。今ムース呼んでくるわね。それと…」
メルヴィルさんに近付き、耳元で囁く。
「相手は鈍感だから苦労もするけどメルヴィルちゃん頑張ってね♪」
「なっ!」
急にメルヴィルさんは頬を染める。
30半ばくらいだろうか、活発な印象で若いが、これぞ若奥様というような出で立ちにもかかわらず滲み出る包容力。いい。あれ?やっぱ俺歳上が好み?
「あらあら♪」
「あ!メルちゃーん!」
入ってすぐのところで会話してると店のカウンターの中からお盆に乗せた料理と酒を運ぼうとしている幼女が駆け寄ってくる!
あああぁぁ!料理が溢れる!
幼女はメルヴィルに駆け寄る途中でお盆を両手から片手に持ち替え、ダイブする。
メルヴィルの首に手を回し、メルヴィル
を中心にくるっと1周。その後胸に顔を埋める。
何故俺は料理を受け止めようと構えたのにお盆の上のお皿は綺麗に料理が盛り付けられたままなんだ!?瞬間接着剤で固定されてるのか!?俺は奇跡を見ているのか!?
「アンタよくそれだけして料理こぼさないわね?どういう運動神経してんのよ。毎度思うけど深く考えたら負けなのよね。」
諦めたように呟く。
メルヴィルの首から手を離した赤髪ロングの幼女はふわっと着地した。細い毛が波打つ。
「メルちゃん久しぶりだね!珍しいねウチくるの。元気してた?家近いのになかなか食べに来ないから今度いきなりギルドに押しかけるの楽しみにしてたのに!ぶー。」
「元気よ。貴方は元気が有り余ってるわね。お願いだからギルドに押しかけてきて昔話をするのはやめて。それも5歳の出会った時の話から今に至るまで。本当に勘弁して。恥ずかしすぎて恥辱死してしまうから。」
「えー?いいじゃん!親友の自慢話してるだけなんだから!そこまで言うなら控えてあげるけどそのかわりもっと遊びに来てよね!」
「だからこうしてたまに来てるでしょう?それとそろそろ離してくれないかしら?今日はみんなで新人冒険者さん連れてこの店自慢の美味しい料理を食べに来たんだから。」
「みんな?そんな事より2人で一緒にご飯しよう!デザートもあるよ?」
「ダメに決まってるでしょ?仕事しなさい。」
「はーい。じゃあ適当に座ってて後で注文取り行くから♪」
テトテトと料理を運んで行くムースさんを見送りうんざりした顔でメルヴィルさんが席に着く。
「すごいですねあの子。いろんな意味で。というか何歳なんですか?どう見ても10歳くらいにしか見えないんですが…。」
「18よ。私とガイツとムースは同い年ね。ルドルフは確か16だったかしら?」
聞いてみるとすぐに答えが返ってくる。
「18…18!?というかガイツって18だったんだ…?(正直30くらいかと思ってた)もっと年上かと思ってたよ。」
「そう?まあ確かに多少は老け顔と言われる部類かもしれないけどいって20半ばくらいじゃない?」
「おいメルヴィル。いくら俺が優しいからって言っていいことと悪いことがあるぞ?」
「あら、じゃあ優しいガイツさんに今日は奢ってもらいましょ♪」
「メルヴィル様…最低限のお金は残してください。」
「メルヴィルさんがガイツを金欠にすると僕らにも影響あるからほどほどにしてね?」
「大丈夫!わかってるわ♪誰がガイツのお金の管理してると思ってるの?それにこの人にお金を持たせたらもう借金まみれになってるわよ。」
「くふっ。ル、ルドルフ、パーティだろ?少しは助けてくれ!」
「僕がメルヴィルさんに逆らえるとでも?」
会話を弾ませてると、視界の隅に幼女、もとい猛獣の目をしたどす黒いオーラに包まれた何かが目に入る。
 
「ははっ…。」
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