転生バーテンは生き残る

海夏季コエル

16話

拠点に帰ると火は燠火になっていた。

蛇を降ろし、残っていた分の薪を投入し、薪を拾いに向かう。明日の朝までもてばいい。なるべく近場に落ちてる木の枝を拾いかき集め、松ぼっくりもついでにとってくる。それらを燠火にくべる頃には空はすでに赤く、そして暗くなっていった。

今日の夕飯は蛇肉のライム焼き。(ライムに似た果物焼き?)

まずは蛇の皮を剥ぐ。頭の切り口から皮がペロンとはげる。あとは尻尾の方に引っ張るだけ。皮は厚く大きい分はぎにくいかとも思ったがそうでもない。剥いだ皮は意外と丈夫。何かに利用できるだろう。次に今日の分を切り分ける。ウサギ肉は美味かったが蛇はどうだろうか?。大きい分食べるところも多そうだ。残りは保存食加工。ホントは塩が欲しいが燻製だけで我慢我慢。日本にいた頃より肉食だな。

その悩みは深刻だった。野菜も食べたい。果物で我慢しているが、でも食べられる野草がわからない。ただ食べられそうだなと思ったものを取ってきているだけなのだ。

いけないいけない。川を下ればいずれたどり着く。腹が減ってるからこんな事を考えるのだ。まだウサギもあるし今日は新鮮な蛇と柑橘がある!弱気だから少し多めに食べよう。そして明日は道具を作り、明後日には拠点を移動しよう。少しは気分も変わるはず。そう!コレはサバイバル訓練だ!エドやベア様が楽しめと言っている!

カッターナイフで蛇を切り、枝に刺していく。余りは蔓に巻きつけ煙で燻し乾燥させる。そこに取り出すは今日採れたてのライムちゃん。カッターナイフで皮を薄く剥く。剥いた皮を微塵に刻み、手に取り串に刺した蛇に揉み込む。1本は蛇本来の味、もう1本はライムが香る。

さて焼いてみよう。

焼き始めると蛇の肉が焼ける匂いとライムの香りが鼻を刺激する。蛇肉はどうやら臭くはなさそうだ。徐々に表面に色がつく。

ジワジワと油が垂れ、焚き火に落ち、ジュッと鳴らす。表面に焼き色がついたらあとは少し火から遠ざけ中が焼けるのをじっくり待つ。その間にライムを4つに切り、寝転び空を見上げる。

いつのまにか星が空を覆っていた。まだ6時といったところか。崖下だからだろうかここは暗い。焚き火で近くは照らされても広く照らすほどじゃない。が、火があるだけで安心感がある。

まだここに来て2日だ。食料もある。が、まだまだわからないことの方が多い。たしかに恐さもあるしこれからの事を考えると心配だけれど、こんな星空を見れる機会も都会では無かったな。田舎のじいさんの家が懐かしい。

少し落ち着き焚き火を見てそういえば蛇の頭を持ってきた事を思い出す。




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