転生バーテンは生き残る

海夏季コエル

12話

いつのまにか火に薪をくべるのも忘れ結晶を細工する実験に没頭していた男はもう日が昇りそして傾き始めているけかかことに気が付いた。急いで男は薪をくべ、明日のために薪を拾いに行くことにした。

食料は今日を含めてあと2日分しかない。朝は木の実で済ませたが、それからなにも食べてない。薪を拾いに行くついでに何か食べられそうなものを探さねば。

しかし森は上方5〜6mの所である。仕方なく男は下流の方へ足を向けた。

まだ日が暮れるまでだいぶある。今のうちに時間帯に気づいて良かった。崖は左右にしばらく続き川幅も少しずつ広くなる。それに連れ、川岸も小岩になっていき、崖幅も広がり、砂利と砂の混じった様な河原と木々が茂る場所が現れた。

時刻は午後3時くらいだろうか。既に日差しは傾いてきている。

ここまで1時間ほど歩いたが薪は帰りの道すがら拾うことにして先に食料を探そう。持ってきているのは革鞄とタオルと杖とカッター、そして薪を束ねるためのツルだ。時間はないしここで何も見つからなければ明後日はここ以上に下流に下る事にだろう。もちろんその時は拠点を移さないといけない

「タイムリミットは未だ明後日、少しでもそれを伸ばせるか それともここでTHE ENDか 最悪流れが急な急流まで下ってから流されてみるのもアリか…。その時は浮き輪みたいなものを作らなきゃな。いっそあの腸膨らませて…。」

などと独り言を言ってるうちに河原へ出た。

「とりあえず休憩しないと夜ご飯食べられないまま寝てしまいそうだな。」

河原から川に少し入り、水面に顔を出してる岩に座る。ここは川の反対側が深くなっている。滝壺もそうだが川の水は透き通り美しい。川の流れは早い。滝壺には見かけなかった魚もここまで来るといる様だ。

拠点近くで腸を洗って川にさらしていなければ、汗を流すために水浴びし、水分も補給したい。

ふと対岸に目を向けると、そこには見慣れた木が生えていた。

葉は厚くしっかりとしており、知っているものより上に伸びているがあの緑色の果実は多分そうだ。水面近くの低い場所にも枝が伸びており、少しでも光を浴びようと枝を横に広げている。

「アレなら取れそうだ。」

近場にはあの木は無かったし、柑橘系の木ならタネから育てたこともある。もし生き延びられたら将来的にもいろいろ使えそうだ。

そう思い岸に戻り、鞄を下ろし服を脱いでいく。パンイチになり手にはカッターナイフ。

ながれがはやいのはわかっている。少し上流から対岸に向かい、枝に捕まればイケるはず。

川幅4〜5m。下の流域の方まで続いているが、下流では深場は左右逆転している様だ。

ツルを座っていた岩に括り、少し上流へ向かう。川の中ほどまで来ると水面は腰の位置になり、それから先は急に深くなっている。

おそらく足はつかない。でも帰りは蔦に捕まれば自然に反対岸まで連れてってくれるはず。

意を決し、ツルを腰に巻き飛び込んだ。

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