転生バーテンは生き残る

海夏季コエル

7話

気がつくと陽も昇り正午くらいであろうか、いつもならもう寝ている時間だが、急な環境変化にテンション上がりっぱなしの主人公はまだ…目が覚めていた。

「せっかくだし!明日運動会や遠足前の子供じゃないし!」

自覚はある様だ

「せっかくだし!食料があって困る事もないし、自衛の為に罠と武器あったらいいよね!って事で何作ろうか…」

誰に説明しているのだろう。おそらくこの状況で1人というのが寂しいのだ。

物凄く。

「異世界といえば冒険者!冒険者といえばひのきの棒!檜があるかはわからないから杖用に持ってきた枝を削って持ち易くしてみよう!」

カッターナイフはあるが枝を削れば刃も欠ける。それに武器や料理にと何かと使用頻度が高い分温存しておきたい。ではどうするか…。

「たららたったたーん!削るだけならコレでいい!石器ないふー!…1人でこのテンション疲れるな。」

まずは石を探します。本当は黒曜石の様な石があれば尚いいんだけど…なければ硬くて割れそうな筋の入った石。もしくは諦めて地道に硬い目の細かい石を削る。目指す形は手頃なナイフ。あまり大きいと重いし移動が大変。

その為にもパンツ1丁(ボクサーって便利だわ…流石にブリーフでは無理だわ)で川底や周辺の石探し。平たく細長い、もしくは黒光りした…。

探す事1時間…。
なかなか見つからないよねー。ホント粘るわー自分。食後の運動超えてる気がする。こういう時どうしてたっけ?ベア様はいつもナイフ装備が当たり前だし…あ、江戸さんはフィーリングって言ってたな。感覚的に進めか…。

いやでも感覚的に進めって、俺1時間感覚的に探してるけど?諦めて拠点戻るか…でもなあ、諦めて硬い石擦り続けて削るのやだしなあ…。

ボーっとする事数分。
滝壺に近寄らない様にして下流に流されない範囲で水に浮かんで水中を探してみる。

キラッと目端で何かが光る。

気になるままその方向を立ち上がり見ると…滝の真下。

うんやめよう。死んじゃう死んじゃう。溺れそうになったの俺忘れないよ?ヤダよわざわざまた溺れに行くの。え?あの時は服着てたから?鞄持ってたから?いやそれにしたってさあ。でもアレは確かに使えそうな石だけどさあ。黒く光ってていい感じだけどさあ。何とか危険回避して取れないもん?潜って石持って沈んだまま戻ればなんとかセーフ?こっちは膝下水位だけどあっちは身長超えるんだよ。それも激流。諦めが肝心だよね。


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