転生バーテンは生き残る

海夏季コエル

6話

ふうふうと息を当て冷まししつつまずは肝臓にかぶりつく。塩も胡椒も振ってないが、レバー特有の少しざらっとした舌触りの中に独特の野草の様な風味がある。新鮮なせいか臭みもない。

「美味い!んー!塩欲しい!でもないもんは仕方ないよなー。無くてこれだけ美味いなら醤油とか塩ごま油とか少し甘いタレとかつけたらどれだけ上手くなるだろう?川下っていくときにもう一匹仕留められないかなー!」

牛レバーや豚レバーより食べやすく、風味もありながらクセになる味だ。野生ならではかもしれない。

「次は心臓いってみよう!」

迷いなくかぶりつく。鳥にも似た小さな心臓ではあるが、心臓特有のこの歯ごたえ。更には旨味がジュワッと溢れてくる。憎々しいほどに美味い肉だ。

おや?レバーと違いハーブの様な香りがする。元から持った香りなのか、それとも自生しているハーブをよく食べているからなのか。

「次は肋周り…と、その前に」

ここにくるまでの道すがら香りの良かった木の枝と葉、樹皮を少し採取してきていた。生乾きだが燻せば香りがいいだろうし煙も出て吊るしておいた肉もいい感じに燻されて香りのいい保存食になりそうだ。ただの流木でも十分いい香りだが防腐のためにもその方がいいだろう。ホントはもう少し煙に燻される様に工夫したいが、今は仕方ない。

「肉ならやっぱ桜だろうけどコレはコレで良さそうだ。」

焚き火の上に生の枝を渡し、その上に樹皮を置く。すると徐々に枝と樹皮から煙が出だしちょうど良く吊るした肉に昇っていく。その香りは香ばしく、爽やかさのある香りだった。

「さてあっちはコレで良し!肋部分に取り掛かりますか!」

肋部分の肉は薄い。牛や豚ほど大きければそれなりの量の肉も付くだろうが、しかしウサギは大きくない。食べにくい為肋の骨を1本ちぎり、歯で骨から肉をそぎ落とす。

「お!美味い!…何だろうなー、コレは…物凄く…おつまみだな!…ジャーキーにするよりも柔らかくて…1本ちぎって歯で削ぐとつるっと取れて食べやすいし…、小さいからコレが食べ方としては正解なんだろうけど…味的には大きいものをガブリと食べたくなる肉汁…。でもこの手間がまた楽しくもある…手羽先?いやそれほど可食部はないし…でも手と口が止まらない…。塩胡椒降って揚げたらビールのお供に最適感!…枝豆に次ぐ発見!…あれ?いつの間にかなくなってる…。やめられない止まらないフーンフ、ふふふんっ。」

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