エデン・ガーデン ~終わりのない願い~
4
静かになった謁見の間。その中に瓦礫の崩れる音が響いた。
「あぁ……」
そこで悲鳴のような嘆息が続く。
それはエヴィ・F・エンドレスの痛烈な叫びだった。
彼女は立ち上がるとふらふらと数歩前に出る。
それからぴたりと静止した。
「だめ、だったの」
呻くような声が囁き、ぎりっと奥歯を噛み締める。
強く握り締めた手が小さく震えた。
それからエヴィは顔を上げる。
目の前には崩れた壁、割れた窓、床に積もる瓦礫。
そして力なく倒れ込むケーイと、その後ろ、血だまりに倒れ込むアルフェルド・エデンの姿があった。
エヴィはゆっくりとした足取りで前に足を踏み出す。
そしてケーイの近くにぺたんと座りこんだ。
血の気を失った白い手をぎゅっと握る。
「いつもそう。巫女はいつでも願いを自分で叶えてしまうの」
エヴィはケーイをじっと見つめると愛おしそうに笑った。
「今は、ゆっくり休んで」
体の上にそっと手を下して立ち上がる。
そうして向かったのはアルフェルドの元だ。
「た、のむ……」
エヴィが近付くのを察知してか、薄く目を開けた偉丈夫は途切れがちな声で苦しそうな声を上げる。
「うん」
その近くに座り込んでエヴィはアルフェルドの額に手を置いた。
「ぐ……」
それにアルフェルドは呻く。
エヴィは微かにびくりと震えた。思わず額から手を離しそうになる。
すると、離れそうになった手をアルフェルドの太く逞しい手が掴んだ。
「っ……」
折れそうなくらい強く、手首を締め付けられる。
しかし、そんなことを気にしている余裕もないのか、口から血を吹きながらアルフェルドは叫んだ。
「この、世界を……っ! 民を、護って、くれ……」
血を吐くように言葉が吐き出される度に、彼の手から力が抜けていく。
「まかせて」
エヴィはどんどんと弱々しくなる手に自身の手を重ねると力強く答えた。
その途端、真っ黒な少女の中から真っ白な光が溢れ出す。
痛いくらいの光。眩しいくらいの白。それが部屋の中を満たす。
どんどんと溢れて広がり続けた光はやがてゆっくりと終息していく。
そしてその光が消えたとき、そこには光と同じ、全てが真っ白な少女が立っていた。
「願いを叶える。それだけが、わたしの存在理由だから」
「あぁ……」
そこで悲鳴のような嘆息が続く。
それはエヴィ・F・エンドレスの痛烈な叫びだった。
彼女は立ち上がるとふらふらと数歩前に出る。
それからぴたりと静止した。
「だめ、だったの」
呻くような声が囁き、ぎりっと奥歯を噛み締める。
強く握り締めた手が小さく震えた。
それからエヴィは顔を上げる。
目の前には崩れた壁、割れた窓、床に積もる瓦礫。
そして力なく倒れ込むケーイと、その後ろ、血だまりに倒れ込むアルフェルド・エデンの姿があった。
エヴィはゆっくりとした足取りで前に足を踏み出す。
そしてケーイの近くにぺたんと座りこんだ。
血の気を失った白い手をぎゅっと握る。
「いつもそう。巫女はいつでも願いを自分で叶えてしまうの」
エヴィはケーイをじっと見つめると愛おしそうに笑った。
「今は、ゆっくり休んで」
体の上にそっと手を下して立ち上がる。
そうして向かったのはアルフェルドの元だ。
「た、のむ……」
エヴィが近付くのを察知してか、薄く目を開けた偉丈夫は途切れがちな声で苦しそうな声を上げる。
「うん」
その近くに座り込んでエヴィはアルフェルドの額に手を置いた。
「ぐ……」
それにアルフェルドは呻く。
エヴィは微かにびくりと震えた。思わず額から手を離しそうになる。
すると、離れそうになった手をアルフェルドの太く逞しい手が掴んだ。
「っ……」
折れそうなくらい強く、手首を締め付けられる。
しかし、そんなことを気にしている余裕もないのか、口から血を吹きながらアルフェルドは叫んだ。
「この、世界を……っ! 民を、護って、くれ……」
血を吐くように言葉が吐き出される度に、彼の手から力が抜けていく。
「まかせて」
エヴィはどんどんと弱々しくなる手に自身の手を重ねると力強く答えた。
その途端、真っ黒な少女の中から真っ白な光が溢れ出す。
痛いくらいの光。眩しいくらいの白。それが部屋の中を満たす。
どんどんと溢れて広がり続けた光はやがてゆっくりと終息していく。
そしてその光が消えたとき、そこには光と同じ、全てが真っ白な少女が立っていた。
「願いを叶える。それだけが、わたしの存在理由だから」
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