憂鬱の雨

Rain

憂鬱への疑問 3

「友達……?」
一瞬その言葉を聞いただけで気分が高揚している自分がいる。 嬉しい。すごく嬉しい。

でもー

「君の言う友達ていうのと、私が思っている友達は多分違うんじゃないかな。私のお腹見て、どう思った?」柄にもなく変な事を言っている自分が居る。答えなくていい。
「それにほら、こんな痣だらけな女の子、嫌でしょ?」私はシャツを脱ぎ彼にお腹を見せた。  私は何をしているのだろう……
『ち、ちょっと落ち着いて天ノ川さん!確かにいきなりそういう様な友達と解釈するかもしれないけど…その、違うの』訂正しようとして私の服を直し、間から見えるお腹へ手を入れてきた。

「んッ……ほら、やっ…ぱり……そうなんでしょ……?」
『違うよ。天ノ川さん、いじめられてるでしょ?これと似た痣を僕は小さい頃から見てる。』 
彼の予想外の答えになんて答えていいか分からず、私のお腹を触る彼の手を推し返せなかった。
『僕の父は結構、母さんを殴るのが好きみたいなんだ。最初は酒に酔ってDVしてるのかと思って怖くて…でも意を決して父を止めたんだ。やめろと。でも父は僕に怒らなかった。』 
「怒らなかった……?何故?」  
『その後母さん見たら、殴られて痛々しいお腹を苦しそうに丸まってたんだけど……笑ってたの。』
 
知りたくない感情だと叫びたかったが私はつい「なんで笑ってたの?殴られるのが好きなの?」興味本位で聞いてしまった。
 『母さん曰く、私は日々殴られているうちに意識遠のく感覚が好きになってね。貴方には分からないだろうけどね   といったのさ。イカれてるよね?』
いつの間にか2人はベンチで話していた。
私は彼の話を聞いても彼の親をキチガイとは100%思えないでいた。
なんでだろ…  

「お母さんは、今でも……殴られてるの?」
つい、聞いてしまった。聞かずには居られなかった。
『僕に隠れてはやってるみたいよ?寝る時も壁側から鈍い音と呻き声が聞こえるし……ほんと一人暮らししたいよ!』
彼は愚痴をもらしていた。話を聞けばなんて事ない子も話すととんでもない爆弾抱えているとは…世の中狭いなと感じていた。   

「そか、話してくれてありがと…君の気持ちは分かったよ。でも告白はまだ…保留でいいかな。」色々重なってパンク寸前なので早めにここから抜け出したかった。
『いいよ!こちらこそありがとう!話聞いてくれて!天ノ川さん改めていい人なんだね!じゃ、また!』健気な笑顔を見せ帰路についてった。

「いい人……か。私そんなんじゃないのに…
汚いのに……」夕暮れ時にぽつんと言った後に涙が出てしまった。 
雨が降らないかなとちょっと思った。

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