スキルメイカー

にこ

その2 再会

俺は謝ってその場を去ろうとしたがフードを被った人が声をかけてきた。
「リョウマさん」
「あ、はい。ってなんで俺の名前を?」
「分からないんですか?」
声からして女性であろう。どこかで聞いたこのある声だった。
その女性は周りに人がいないことを確認すると被っていたフードを外した。


「ク、ククル!?」
その女性とはなんと王女様ことククルであった。
「はい、ククルですよ」
「え? いや何でここに?」
「それはもちろんリョウマさんに会いたかったからですよ」
急に爆弾発言をされて俺の方が顔を赤くしてしまった。
顔を真っ赤にした俺を見ていたククルが笑いをこらえる顔になり,ようやく自分がからかわれていることに気づいた。


「冗談ですよ。あっ、でもリョウマさんに用事があったのは本当ですよ」
「俺に用事?」
「はい、実は私も何か勇者様のお手伝いができないかと考えたところ、竜馬さんたちがパーティメンバーを探しているとお聞きしたので私をメンバーに加えてもらおうかと」
「いやいやいや、冒険者だよ? ダンジョンだよ? 王女様がそんなところに行っちゃだめでしょ」
そういうとククルは頬を膨らませてこっちを見た。
「むぅ、なめないでください。これでも私結構強いんですよ」
そういえばククルのステータスは見たことがなかったと思い確認することにした。


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ククル・ルーメル
種族:人間
Lv.8


STR 85
VIT 106
AGI 99
LUK 55




スキル:スペシャルスキル≪精霊魔法≫Lv1
    ハイスキル≪隠密≫Lv3
    スキル≪水魔法≫Lv2
       ≪風魔法≫Lv2
       ≪魔力操作≫Lv1
       ≪短剣術≫Lv2


称号:ルーメル王国第2王女


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ククルが俺よりもスキルを多く持っていることに若干ショックを受けたが俺たちよりもよっぽど強いことがわかった。
「分かった。でもその容姿だと直ぐにバレないか?」
「そこは私の≪隠密≫スキルを使えば問題ありません。普段から使っていれば他の人に気づかれることはないでしょう」
ククルは自信たっぷりにそう言ったがそれはそれで色々と問題があるだろう。
「普段からって……それはそれでダメだろ。う~ん、そうだなぁ……」
実は俺の≪幽玄≫スキルを使えばククルの容姿をごまかすことができる。だがスキルのこともばれてしまうだろう。
俺がどうしようか悩んでいると、
「そうですね、私が少し浅はかでした。確かに私が目立ってしまうとリョウマさんたちに迷惑が買ってしまいますね」
と申し訳なさそうに言った。


ククルはおそらく俺と正太が戦力的に危ないことを察してわざわざここまで来てくれたのだろう。
それなのに俺は自分のことを優先してしまったことに少し恥ずかしくなった。
「ちょっとまって。俺に1つ考えがある。だけどその方法は秘密にしてほしいんだ。それでもいいか?」
「秘密ですか? 分かりました。私も良い案が浮かびませんし他言はしません。その方法でお願いします」了解を得た俺はククルの肩に手を置くと≪幽玄≫スキルを使用した。


「……えっと、何か変わりました?」
俺が肩から手を離すとククルは自分の体をまじまじと見ていた。
「ああ、俺とククル以外の人からはククルが別の人に見えようになってる」
「別の人に見える……まるで≪闇魔法≫の幻術系スキルみたいですね。これはリョウマさんのスキルですか?」
「≪幽玄≫というスキルだ。ユニークじゃないがおそらく持っているのは俺だけだろう」
「そうですか……そうだっ! 一度大通りに戻りましょう。実際他の方から見られても気づかれないか確認もしたいですし」
そろそろ正太との待ち合わせの時間も迫ってきたので、俺たちはギルドに向かうことにした。


大通りに戻るとお昼の時間帯だからかさっきよりも人であふれていた。
ククルを見た人々はその容姿に見とれ立ち止まる者もいた。
ククルは俺の近くの寄ると小さく声をかけてきた。
「ちょっとリョウマさん? これってばれてませんか?皆さんからの視線を感じるんですけど」
「ククルの元の容姿をククルと分からない程度にスキルで変えただけだからな。みんなククルに見とれているんだろう」
「それは私が綺麗だと褒めてくれているんですか?」
「いや、ククルは綺麗とか美しいよりかわいいって感じかなぁ」
「私が幼いってことですか? リョウマさんには私は幼く見えるんですね」
少し頬を膨らましてククルはいった。
「えっ? いやいやそうじゃないって。え~っと、なんというか」
「分かってますよ、リョウマさんが単素直に私を褒めてくれたことは」
怒っているかと思ったがククルにからかわれていたようだ。
「……お前絶対Sっ気あるだろ」
「S? どういう意味ですか?」
「いや、別に」
「何ですか!? すごく悪く言われている気がして気になるのですが」
そんな会話をしているとようやくギルドに到着した。



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