これが私達の恋愛!

レイナ

五恋愛

人は、自分の目の前で起こってる事に思わず目を背けたくなることがある。それはきっと、かけがえのない人が奪われる、遠くへ行ってしまう。そういう時だと私は思います。


──八月二十五日。


自分は、この目で見たものに例えるのも難しいぐらい苦痛で、非現実的で、地獄のような苦しみを味わった。


なんと、そこには知らない男と肩を組んで歩いてる京子がいるではないか。彼女の顔はとても笑顔で昨日の事なんて忘れてるのでは無いかという程だった。


     「昼休み一緒にご飯食べませんか?私じゃダメー?」
     「うん。いいね。僕と良ければ。」
     「やった!ありがとうございます♡」


それは、自分にとって拷問だった。見せしめだった。いろんな感情が湧いてくるが、何よりどうしてそんな事をするの?っと強く思う事の方が前に出てた。


知らない男と腕を組んで歩くその姿を見るたび、なぜか今までの記憶や思い出がふつふつと頭を走馬灯のように走り抜けていった。


一緒に桜を見た事、梅雨だからと言い相合傘をした事、二人で海に行き焼けるまで遊んだ事。そんな思い出を沢山思い出す。
でも、なにより、二人で家でまったり過ごす日常が濃かった。


どんな思い出よりも、ありきたりで何も無いような日々。それが本当に愛おしかった。でも、もうそんな日常は戻ってこない。自分はとても絶望した。


     「もう、終わりなんだね。わかった。自分も諦めるから幸せに…さようなら」


そう小声に残し、自分は二つの背中を見送り家に帰った。やっぱり普通の恋愛をすればよかった。そうすればこんな思いをせずに済んだ…!


そう思い、後悔と罪悪感と絶望感で倒れてしまった。そして、もう戻っては来ない彼女が戻って来る事をねがい、手を伸ばし、薄れゆく意識の中で名前を呼んだ。


「京子…戻って来て…京子」


そして、意識を失った。それでもまだ、明日は続く…。






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