これが私達の恋愛!

レイナ

四恋愛

向き合う事の怖さに怖気付いていた。周りの目や、自分に向けられる言葉。否定される事が、怖かった。
でも、今日こそは前を向いて向き合う。君がいるから。


──八月二十四日。


     「あーあ。明後日は夏祭りかー。ねえ!会社終わり一緒にいこ!」
     「そうだね。たまには祭りも良いかもね…行こうか」


私はとても嬉しかった。最近これといった恋愛イベントに参加していなかったからだ。徐々にマンネリ化していた時にお祭りがあるなんて、これを逃したくない!そう思えた。


何を食べようかな。わたがし?りんご飴?焼きそばもいいな!そんな事を考えながら、心踊っているのが他人にも分かるぐらい顔がにやけていた。ある一人を除いては。


もう一人はそんな心踊らせてニヤついている彼女の事なんて頭に入らず不安でいっぱいだった。今にも押し潰されそうで祭りどころでは無かった。


     「あのさ、話したい事があるんだけど…。」
     「ん?なになに?聞きたいな!」
     「私達の関係ってこのまま続けてもいいんだよね」


京子の笑顔がその瞬間、スっと消えた。あんなに太陽のように眩しい笑顔が。そして、目が泳いでいた。二人は付き合う前にある約束をしていた。それは、


二人の関係について、何を言われても気にしない。お互いに聞かない。


これが二人の付き合う時に交わした、たった一つの約束。そして、それを破ってしまった。それを自分が思い出した時にはもう遅かった。 


     「あーあ。約束…破っちゃった。あんなに聞かないでおこうって、約束してたのに!もうダメだよ…」


自分のした過ちの大きさに気づいた。京子を裏切った事。触れて欲しくない事に触れた事。また、泣かせてしまった事。そのあまりに大きすぎる後悔に下を向いてしまった。


謝ろうと思い、顔を上げた時にはもういなかった。



     「自分のせいだ。自分があんな事聞かなければ今頃…!」


それからは、必至になって探した。家の周り、公園、海沿い、町中を探した。でも、見つからなかった。誰に聞いても見ていないと言われた。電話を掛けても出なかった。


そのまま、三時間探し続けた結果、やはり見つからなかった。そして朝を迎え、後悔と罪悪感に包まれながら、探したい気持ちをどうにか抑え出社した。


すると、私の目の前に信じられない光景が広がっていた。












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