意志ある者達は戦う

形の無い悪魔

間話1 テオドル

私は少し驚いていた

小さな民家の中、血の海に浸っている、目の前に転がった生物の死骸二体

これらが同じ容姿、赤い血を流していることは知っていた
しかし、家族を形成まですることがあるとは……

『すみません、テオドル様。普段は三人揃っているのですが、子供はいませんでした』

私の従者であり、家族形成の事例を発見した者が深々と頭を下げながら言った

『…………問題無い。……それにしても、この事例を発見出来た君の功績は実に素晴らしい』

『勿体ない御言葉、身に染みいります』

私に対し、この従者はまた深々と頭を下げた

家の中はテーブル、保存用の壺、木のベッドがあり、いたって普通であった
ただし、額縁に入った絵が飾られている点を除いて

飾られている絵には三人
さっき駆除した親であろう二体の真ん中に、少女のようなのがいた

『なるほど、これがお前の言っていた子供か?』

『はい。そうでございます』

『では、この絵を持ち去り、飾ってあったところに手紙を張っておけ。手紙には“城の倉庫にある”と書け』

『………はい、ですがここで待ち伏せしておく方が……』

『何を言っている。早くこの絵を降ろせ。私には分かる・・・のだ。これ以上の理由は無い』

私はそう告げると、家を適当に片付けておくことも指示し、城へと戻った

─────

私は先ほどの事例を発見した者と、地下の倉庫にいた。そして、この者は私が絵を切っていることに対し、切られる絵を哀れむかのような目つきで意見してきた

『テオドル様、僭越ながら申します。本当に切ってしまわれるのですか……?』

私は、これに対し、ゆっくりとした口調で語りかける

『お前は……化け物に愛着があるのか?』

『いえ、そう言うわけでは………』

『では、つまらぬ情のためか?そして、神を裏切り、偽りの神にその膝をつくのか!?』

私は口調を強くしながら、この者に近づき、眼前に立った

『い、いえ、そう言うわけでは………』

これに怯えたのか、この者は私の前で縮こまってしまった








『他の者にも駆除を手伝って貰うのだ。誰かが情を移してしまうことは避けたい。…………情は大切だが、時に非情も大切だ。覚えておけ』

私はそう言って、肩に手を置いてやり、はにかむ
恐怖を取ってやるために、
私を狂信させるために

暫くそうしてやった後、内容を変え、私は再び話し始めた

『この絵が張ってあった額縁には、マーカー・・・・を仕込んでおけ』

マーカー・・・・、見えない者を見えるようにする、私が作った魔方陣
あの怪物どもは、厄介なことに身を視覚的に隠すことができる。故に、私は捕縛した奴を何度も何度も弄くり回し、やっとの思いでこの魔方陣を完成させたのだ




私は、マーカーの指示を出すに続けてさらに指示を出した

『お前はここを警備するよう、他の者達に伝えておけ。私が切り取った絵を使って、どんな容姿をしているかも伝えておけ。………化け物は必ず来る。私には分かる・・・

コメント

  • 形の無い悪魔

    コメントありがとうございます!更新速度は遅いですが、宜しくお願いします

    0
  • ハイイロチョッキリ

    次の展開が楽しみです!

    1
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