異世界の親が過保護過ぎて最強

みやび

──第76話──

地下の一番奥の部屋へ、ネロと共に歩いて行く。

「ラルフ~?そろそろ飯に……って、おわっ!?」

「あ!ルディ!ネロ!もうそんな時間~?」

俺は部屋を覗いて声を掛けるが、その光景に驚きを隠せなかった。

ラルフの身体……服には赤が飛び散り“もどき”は……

これダメ!!
モザイク!!
絶対モザイク必要だって!!
誰かモザイク班を呼んでくれ!!

俺は見るにえられず、すぐにラルフと“もどき”を洗って綺麗にし、“もどき”に治癒の魔法をかけた。

「わぁ!!ルディありがとー!」

「う、うん。どーいたしまして……。」

「ラルフは何してたんだ?そんな事してもは話せ無いんだろ?」

ラルフの行動を不思議に思ったネロが首を傾げながら言葉にする。

「あのね!歯を抜いた次の日くらいから、よく分からないけど言葉みたいな事を話す様になってきたんだ!」

「……そーなのか?」

俺は“もどき”を見ながらラルフの言葉を聞いていた。
“もどき”は憔悴しょうすいしきっていて、力も無く  だらん  としている。

ラルフは持っていた道具を机の上に置きながら俺の問いに答えた。

「今日のお昼に見てみると単語だけは話す様になってたんだよ!だけど、僕の質問には全然答えてくれないから困ってるんだよねー。でも、ルディが治してくれたおかげで、またお話が聞けるよっ!ありがとー!!」

「えー、と……どーいたしまして……?」

困ってるからってさ!!
話を聞く方法はいくらでもあるだろ!!
そんな新しい玩具オモチャで遊んでみたって雰囲気でやる事じゃない!!
もう少し平和的方法は考えられないのかな!?

俺の様子とは裏腹うらはらにネロは淡々と言葉を放つ。

「それで?何を言ってたんだ?」

「んー……銀色を殺す、だったかな?銀色って何だろうねー?……あ、ほら、こんな感じでずっと言ってるんだー。」

ラルフが“もどき”を視線で示すと、丁度“もどき”が  うわ言の様にブツブツと声を出していた。

────ギンイロ────コロセ────
コロス────サガセ───コロセ────

「なんか……里に来た魔物と似てるな。」

“もどき”の様子を見ていたネロが、そうくちにした。
その声にゆっくりと“もどき”は顔を上げる。

ガタッガタガタガタッ

“もどき”が俺を認識すると──突如、暴れだした。

「ガァァアアアァァ!!」

「うぉ!?」

急に声を出した事に驚いたのは俺だけで、ラルフとネロはその様子を冷静に見ていた。

何で二人は驚かないんだよ!
急に動いたり、大きい音が鳴ったら驚くもんだろ!!

ほら、あれだ!
ホラー映画でよくある様な、急にバンッとかドンッとか言う音って驚かないか!?

俺は二人にビビっていると思われたく無いので、咳払いをしてその場を誤魔化す。

すると、二人の瞳が俺を映す。

いや、俺は別にビビってねーぞ?
ただ、少し驚いただけだからな?
決して怖がってた訳じゃねーぞ?

そう思っていた俺だが、俺の予想とは違う言葉がラルフ、そしてネロの口から放たれる。

「銀色って……」

「ルディの髪の色の事か?」

…………。
は?
何で俺??
何か悪い事でもしたか??
俺、何も悪い事してねーんだけど??
んー……。
「銀色なら何にでも反応するって事は……?」

俺の考えに二人も少し考えてから頷いた。

「……そうかもな。」

「分かった!じゃあ、僕は銀色のモノを色々探して試して見るよ!!」

ラルフが勢い良く返事をした所で、ラルフのお腹が鳴り出した。
俺とネロは顔を見合せ、少し笑い「腹が減ったな」と言葉にする。

ラルフはその言葉に照れながらも答え、三人で食堂に向かった。





食堂に着き、三人で料理を堪能している時に、俺は二人に質問をする。

「なぁ、ギルドの依頼って……俺のランクだと、どんな依頼があるんだ?」

「んぁ?別に大した依頼はねーぞ?」

「薬草採取ばっかりだったよー!僕はルディに少し教えて貰ってたから、凄く簡単だった!!」

ネロとラルフはそれぞれ答えてくれる。

ラルフが簡単だったって言うんだから、そこまで難しく無いのかな?

もっと討伐系があるのかと思っていたが、そうでも無いみたいだ。

……別に俺はどっちでも良いんだけどな。
里で相手にしてた魔物より強い相手はここら辺にはいないしな。

そうだな…。
薬草採取だったら……
「今、俺が持ってるモンでも依頼があれば引き取って貰えるのか?」

ネロは肉を頬張りながらも、俺の問いに答えてくれた。

「あぁ、出来るぞ。そもそも薬草なんてこのんで集める奴なんか、冒険者にしては珍しいからな。」

「そうなのか?」

「知識として知っていても、わざわざ持ち歩く奴は少ないな。まず、調合が出来ないし、薬草を使ったとしても そのままだと気休め程度にしかならんからな。それなら、薬として売ってるモンを持ってた方が良いだろ?」

「確かにな……」

冒険者としてなら、薬草よりも薬の方を持っていた方が良いだろう。
魔道具の魔法鞄を持ってたとしても上限が決められてるしな……。
【収納】を覚えていれば、そんなに考えなくても良いんだけど。
【収納】を使えるのは、そんなにいる訳じゃ無いみたいだし……。

なら、依頼は結構簡単なのでは?

俺はそう考えながら、料理を口にする。

その間、俺達の方に誰かが向かってくる気配を感じた。

だが、ネロもラルフも気にする様子も無く料理を堪能している。

その様子を見て、俺も気にする事無く料理を堪能していると、その気配は俺達の近くまで来ていた。

俺に触れて来ようとする気配を感じ、俺は振り向いて その気配のあるじ威嚇いかくした。


















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