異世界の親が過保護過ぎて最強
──第71話──
「そんな事あったっけー?」
ラルフは首を傾げながら、クリスの言葉を聞いていた。
クリスは一つ頷いてから口を開く。
「はい。私達五人が〈深淵の森〉に入り、最終的に神狼族の方に私達を追わせてしまう結果にしてしまった時の事です。あの時の神狼族の方はラルフ様だとネロ様にお聞きしました。」
「あー!あの追っかけっこしてた時の事かー!!じゃぁ、ウィルに運ばれてた重症の人はクリスだったんだね!」
「その通りです。あそこでルディ様に現れて頂け無ければ、どちらかが死……いえ、私達が死んでいた事でしょう。それに……ルディ様に薬を頂け無ければ、私は いずれにしろ、あの場で命を落としていたと思います。」
俺の薬が役に立ってたんだな。
良かった、良かった。
「えー!?僕は殺す気は無かったよ!?」
「…………そうなのですか?」
ラルフの発言にクリスは驚きを隠し切れていなかった。
その様子を見て、ネロが呆れた口調で言葉を放つ。
「ラルフは力の加減が下手くそだからな。」
「そうだな。あの時も加減出来て無かったしな。……俺の時と同じ様に考えてたみたいだし……。」
俺がそう言うとネロが少し笑う。
「はっ、そりゃ普通の人間を相手にルディの感覚でやると死ぬだろうな。」
ちょっと待て!!
自分で言っててなんだが、否定してくれよ!
否定してくれるのを期待しての言葉だったんだけど!!
俺は普通だ!
「ちょっと!?ルディもネロもひどくない!?」
俺達の声が聞こえていたラルフは抗議してきた。
大丈夫だ、ラルフ。
ネロは俺にも酷い事を言ってるぞ。
安心しろ。
被害者はラルフだけじゃない。
俺もだ。
うんうん。
「ネロの発言は酷いよな。」
「ルディもだよ!?」
俺は頷きながら、ラルフの言葉を肯定したのだが、怒られた。
俺の発言のどこが酷いって言うんだよ。
「もーっ!!……それで、二回目って言うのはなーにー?」
ラルフは俺とネロに怒りを向けるが、特に効き目が無いのを感じたのか途中で諦め、クリスとの会話に戻った。
クリスは苦笑しながらも話の続きを口にする。
「二回目は、ルディ様、ネロ様、ラルフ様にお会いした時の事です。……ニーナはいち早く、何者かの気配を感じ、いつでも魔法を放てる様にしていました。そこで、現れたのがルディ様達だったのです。」
「うんー?」
「ニーナは少々……その、パニック状態になり、私がネロ様の事を認識した時に声を出してしまった様で……私の声に驚いて魔法を放ってしまった様なのです……。本当に申し訳ありません。」
「うーん?僕は特に何とも思って無いんだけど……ルディはー?」
おい、ラルフ。
なぜ、俺にパスを出す。
「俺も別に……ネロは?」
「俺はすでに話を聞いていたさ。だから、こうして神狼族の話を出しても問題無さそうな場所を選んだんだよ。お前達に謝りたいってクリスが言ってんだから、許すかどうかはお前らが決めろよ。」
それもそうか。
別にクリスが悪い所なんて俺には見当たらないんだけど……。
俺はラルフの方を見たが、ラルフはニコッと笑うだけだった。
全部丸投げしやがったな、このやろう……。
「俺は特に怒ってもいないし……許す、許さない、が判断出来ないんだけど……。謝罪は受け取っておくよ。」
「僕もー!!」
ラルフ、てめぇ。
便乗すんなよ!!
その方が確かに楽だけどさ!?
「あ、ありがとうございます!」
「な?だから言っただろ?コイツらに対して、気にするだけ無駄だってさ。」
頭を下げたクリスにネロは言葉を投げ掛ける。
クリスはその言葉に苦笑して答えてた。
その光景を見て、ラルフが声を上げる。
「ネロとクリスは仲が良いんだねー!!」
「は?ただ仕事上、付き合いがあるだけだ。それ以上でもそれ以下でもねぇよ。」
「仲が良いとは……いつも助けて頂いていまして……私は、迷惑しかかけていないと思います……。」
「そーなのー?」
ラルフの問いに、ネロは淡々と答え、クリスは申し訳無さそうに答えていた。
その様子に、ラルフは首を傾げ、不思議そうにしていた。
ネロの様子から見ていると、特に仲が良いわけでも……なさそうな?
ネロは素直じゃないからなー……。
「はぁ……で、話が終わったんなら、コレの話をしても良いか?」
ネロは不機嫌そうに足元に転がっているローブの人を示す。
ローブの人は、いつからか元気を無くし静かになっているが、息がしにくいのか、鼻息が荒い。
足元に人間を転がしながらよく会話出来てたよな。
皆マイペースだよ、本当に。
それに慣れつつある自分が怖い。
「まず、この椅子に座らせよーよ!」
そう言いながらラルフがローブの人を持ち上げると、ネロがそれを止める。
「ラルフ、その前にそのローブを脱がさせてくれ。」
「そーなのー?いいよー!」
「ルディも手伝ってくれ。」
「了解。」
俺達は三人でローブを脱がせにかかる。
まず、足の拘束をラルフが持ってきた手錠に変え、次に手の拘束を解く。
その時にローブの人は多少暴れたが、三人に押さえ付けられている為、全く効果は無かった。
ローブを脱がし終わると、椅子に座らせ、手、足、胴体に椅子に取り付けられていたベルトで固定させる。
その男のローブで隠れていた部分の服装はボロボロのシャツとズボンだった。
その瞳には生気がなく、虚ろながらも抵抗するかの様に身体を少し暴れさせている。
俺たちが特に苦労する事無くローブの男を椅子に座らせる様子にクリスは口をポカンと開けていた。
全てが終わると、ネロが脱がせたローブを片手に口を開いた。
「このローブ、ちっと借りるわ。後のコレについては二人に任せる。」
「好きにしても良いー?」
ラルフがネロに聞くと、ネロは肩を竦めながら答えた。
「程ほどに、な。」
「わかったー!!」
え、ちょ!?
ラルフ!?
何するつもり!?
俺の動揺は誰にも伝わらず、ネロはクリスに声を掛ける。
「クリス、いつまで呆けてるんだよ。行くぞ。」
「え?あ、はい!……それでは、失礼します。」
「じゃ、行ってくるわ。」
クリスは頭を軽く下げ、ネロは後ろ姿で手をヒラヒラとさせる。
俺とラルフはそんなネロの後ろ姿に言葉を掛ける。
「いってらー。」
「いってらっしゃーい!!」
ラルフは首を傾げながら、クリスの言葉を聞いていた。
クリスは一つ頷いてから口を開く。
「はい。私達五人が〈深淵の森〉に入り、最終的に神狼族の方に私達を追わせてしまう結果にしてしまった時の事です。あの時の神狼族の方はラルフ様だとネロ様にお聞きしました。」
「あー!あの追っかけっこしてた時の事かー!!じゃぁ、ウィルに運ばれてた重症の人はクリスだったんだね!」
「その通りです。あそこでルディ様に現れて頂け無ければ、どちらかが死……いえ、私達が死んでいた事でしょう。それに……ルディ様に薬を頂け無ければ、私は いずれにしろ、あの場で命を落としていたと思います。」
俺の薬が役に立ってたんだな。
良かった、良かった。
「えー!?僕は殺す気は無かったよ!?」
「…………そうなのですか?」
ラルフの発言にクリスは驚きを隠し切れていなかった。
その様子を見て、ネロが呆れた口調で言葉を放つ。
「ラルフは力の加減が下手くそだからな。」
「そうだな。あの時も加減出来て無かったしな。……俺の時と同じ様に考えてたみたいだし……。」
俺がそう言うとネロが少し笑う。
「はっ、そりゃ普通の人間を相手にルディの感覚でやると死ぬだろうな。」
ちょっと待て!!
自分で言っててなんだが、否定してくれよ!
否定してくれるのを期待しての言葉だったんだけど!!
俺は普通だ!
「ちょっと!?ルディもネロもひどくない!?」
俺達の声が聞こえていたラルフは抗議してきた。
大丈夫だ、ラルフ。
ネロは俺にも酷い事を言ってるぞ。
安心しろ。
被害者はラルフだけじゃない。
俺もだ。
うんうん。
「ネロの発言は酷いよな。」
「ルディもだよ!?」
俺は頷きながら、ラルフの言葉を肯定したのだが、怒られた。
俺の発言のどこが酷いって言うんだよ。
「もーっ!!……それで、二回目って言うのはなーにー?」
ラルフは俺とネロに怒りを向けるが、特に効き目が無いのを感じたのか途中で諦め、クリスとの会話に戻った。
クリスは苦笑しながらも話の続きを口にする。
「二回目は、ルディ様、ネロ様、ラルフ様にお会いした時の事です。……ニーナはいち早く、何者かの気配を感じ、いつでも魔法を放てる様にしていました。そこで、現れたのがルディ様達だったのです。」
「うんー?」
「ニーナは少々……その、パニック状態になり、私がネロ様の事を認識した時に声を出してしまった様で……私の声に驚いて魔法を放ってしまった様なのです……。本当に申し訳ありません。」
「うーん?僕は特に何とも思って無いんだけど……ルディはー?」
おい、ラルフ。
なぜ、俺にパスを出す。
「俺も別に……ネロは?」
「俺はすでに話を聞いていたさ。だから、こうして神狼族の話を出しても問題無さそうな場所を選んだんだよ。お前達に謝りたいってクリスが言ってんだから、許すかどうかはお前らが決めろよ。」
それもそうか。
別にクリスが悪い所なんて俺には見当たらないんだけど……。
俺はラルフの方を見たが、ラルフはニコッと笑うだけだった。
全部丸投げしやがったな、このやろう……。
「俺は特に怒ってもいないし……許す、許さない、が判断出来ないんだけど……。謝罪は受け取っておくよ。」
「僕もー!!」
ラルフ、てめぇ。
便乗すんなよ!!
その方が確かに楽だけどさ!?
「あ、ありがとうございます!」
「な?だから言っただろ?コイツらに対して、気にするだけ無駄だってさ。」
頭を下げたクリスにネロは言葉を投げ掛ける。
クリスはその言葉に苦笑して答えてた。
その光景を見て、ラルフが声を上げる。
「ネロとクリスは仲が良いんだねー!!」
「は?ただ仕事上、付き合いがあるだけだ。それ以上でもそれ以下でもねぇよ。」
「仲が良いとは……いつも助けて頂いていまして……私は、迷惑しかかけていないと思います……。」
「そーなのー?」
ラルフの問いに、ネロは淡々と答え、クリスは申し訳無さそうに答えていた。
その様子に、ラルフは首を傾げ、不思議そうにしていた。
ネロの様子から見ていると、特に仲が良いわけでも……なさそうな?
ネロは素直じゃないからなー……。
「はぁ……で、話が終わったんなら、コレの話をしても良いか?」
ネロは不機嫌そうに足元に転がっているローブの人を示す。
ローブの人は、いつからか元気を無くし静かになっているが、息がしにくいのか、鼻息が荒い。
足元に人間を転がしながらよく会話出来てたよな。
皆マイペースだよ、本当に。
それに慣れつつある自分が怖い。
「まず、この椅子に座らせよーよ!」
そう言いながらラルフがローブの人を持ち上げると、ネロがそれを止める。
「ラルフ、その前にそのローブを脱がさせてくれ。」
「そーなのー?いいよー!」
「ルディも手伝ってくれ。」
「了解。」
俺達は三人でローブを脱がせにかかる。
まず、足の拘束をラルフが持ってきた手錠に変え、次に手の拘束を解く。
その時にローブの人は多少暴れたが、三人に押さえ付けられている為、全く効果は無かった。
ローブを脱がし終わると、椅子に座らせ、手、足、胴体に椅子に取り付けられていたベルトで固定させる。
その男のローブで隠れていた部分の服装はボロボロのシャツとズボンだった。
その瞳には生気がなく、虚ろながらも抵抗するかの様に身体を少し暴れさせている。
俺たちが特に苦労する事無くローブの男を椅子に座らせる様子にクリスは口をポカンと開けていた。
全てが終わると、ネロが脱がせたローブを片手に口を開いた。
「このローブ、ちっと借りるわ。後のコレについては二人に任せる。」
「好きにしても良いー?」
ラルフがネロに聞くと、ネロは肩を竦めながら答えた。
「程ほどに、な。」
「わかったー!!」
え、ちょ!?
ラルフ!?
何するつもり!?
俺の動揺は誰にも伝わらず、ネロはクリスに声を掛ける。
「クリス、いつまで呆けてるんだよ。行くぞ。」
「え?あ、はい!……それでは、失礼します。」
「じゃ、行ってくるわ。」
クリスは頭を軽く下げ、ネロは後ろ姿で手をヒラヒラとさせる。
俺とラルフはそんなネロの後ろ姿に言葉を掛ける。
「いってらー。」
「いってらっしゃーい!!」
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