異世界の親が過保護過ぎて最強

みやび

──第60話──

ニーナが向かいに座り、俺達はネロを真ん中にし、俺とラルフはネロの両端に座り料理を食べていた。

食事中に来る方が悪いよね。
お腹空いてんだもん。

勝負中は勝負している人に話し掛けない事になった。
何か後で不正したと言われるのが嫌だからだ、とニーナの提案だ。
俺達もそれを了承し、勝負の行方ゆくえを見守る。

「さてとっ!それじゃ、始めようかっ!」

ニーナとネロがそれぞれ五枚のカードを手に持ち、ニーナが勝負開始の合図を出した。

ニーナもネロもカードを見ずに、相手の目を見る。

ふ、とニーナが笑い、先に口を開いた。

「君は団長と同じ感じがするね!」

「俺はソコにいる……エヴァンの事は何も知らねぇから分からん。」

「それもそっかー!うんうん。君は仲間を大切に思ってるでしょ?一途で正義感があるって言うのかなっ!」

……ネロに正義感なんてあるのか?
仲間を大切に思っているのは分かるが、正義感なぁ……。
なんか、ピンと来ねぇ。

ニーナの問い掛けにネロは口の端を持ち上げ笑う。

「正義って言うのは見るヤツによって変わるんじゃないか?俺が善だと思っている事でも、あんたにとっては悪かもしれないぞ。」

あ、だからか。
ネロは正義感があるんじゃなくて、自分の信念しんねんで動いてるからな。
信念しんねんと正義がどう違うかは説明出来ないけど、なんとなく信念しんねんって言葉の方がネロに合うな。

「そうかも しれないねっ!うん!やっぱり君は団長と似てるね!」

「はぁ……そう思うなら勝手に思ってろ。」

ニーナは何度も頷くとカードを一枚テーブルの上に伏せる。
それを見たネロはため息を吐きながら、続いてカードを置いた。

「それじゃ、いくよー!」

ニーナの声に合わせ、ニーナとネロは伏せたカードの上に手を置いた。

「せーのっ!」

カードを表に返す。

ニーナは王様。
ネロは、騎士のカードだった。

「騎士のカードだったんだね!うーん。君は思っているよりも慎重派しんちょうはなのかな?」

「さぁね。どーなんだろうな。」

笑顔で話し掛けてくるニーナを尻目しりめにネロはテーブルに出ていたカードを避ける。

「……次やるぞ。」

ネロはすぐに次の一枚をテーブルの上に伏せた。

「決めるの早くないかな!?もう少し会話を楽しもうよ!!」

「例えば?」

「そうだねー……趣味とか!?」

「聞いてどーすんだよ。」

「お互いを知り合うには良いと思うんだけどなー!」

ニーナは話ながら一枚のカードを選びテーブルに置いた。
そして、ニーナの合図でカードがめくられる。

ニーナは騎士。
ネロは、貴族のカードだった。

「そう来たかー!なるほどねっ!じゃあ、次に私が出さないカードを教えよう!!」

ニーナはテーブルに置いたカードを避けながら宣言する。

「次、私は農民のカードを出さないと誓うよ!!」

「……それが嘘じゃないって証拠は?」

「ないねっ!でも、出さないよ?」

二人は睨み合った後、ネロはカードを見つめながら考えていた。

数分の静寂が流れ、先にニーナがカードを置き、続いてネロがカードを置いた。

合図でめくられたカードは

ニーナが庶民。
ネロは、王様だった。

「よし!反逆成功っ!!君が素直な子で良かったよ!!ここで私が勝つか、君が勝つか決まったからね!!」

「はぁ……そうみたいだな。」

ネロは諦めた様子で次のカードを選び、ニーナも考えずにカードを出す。

その後のカードは

ニーナが貴族、農民。
ネロが、農民、庶民。

「頑張れば、いち分けに持って行けたのにね!」

「すでに勝負は決まってたんだ。時間が勿体無もったいないだろ?……次、ラルフだな。」

「よーしっ!ネロが負けちゃった分、頑張るねっ!!」

ネロとラルフは席を交代し、ニーナの正面にラルフが座り、カードが配られる。

「よろしくっ!ラルフ君っ!」

「うん!早くしよ!!」

二人はカードを手に持ち、にこやかに会話をする。

「そうそう、ニーナに聞きたいんだけどさ!」

「うん?何かな??」

「条件にあった、僕達と二度と関わらない三人ってニーナ、エヴァン、ウィルの三人?」

「うん!そうだねっ!」

「って事は、ニーナ達が協力して欲しいって思っている事を他の人が僕達に言ってくる可能性があるって事だよね?」

ラルフの瞳が一瞬鋭く光る。
ニーナはラルフの言葉で少し悩んでから答えた。

「そこは、私には分からないかな?他の人がどう行動するか把握出来ないからねっ!」

「それもそうだねっ!前に僕達が会った時は五人いたから、ちょっと気になったんだー!」

「君は考え過ぎだよー?」

話ながら先にカードを置いたのはラルフだった。
数秒後に、ニーナがカードを置く。

「今ならカードを変えても良いよ?」

ラルフが笑顔でニーナに問い掛けるが、ニーナはカードを変えない様子だ。

ラルフの合図でカードをめくる。

ニーナが庶民。
ラルフが貴族。

そのカードを見たニーナは不思議そうな顔をした。

「君の考えが読めないなぁ……。」

「もしかして、僕が王様を出すと思ったの?」

「自信あったんだけどなー。私達五人の話を出して来たから、ここにいた三人を除くと魔法剣士と王女。騎士はこのメンバーでは三人の事を指すから除外したとして……だから……君が無意識に王様を出そうとしてるからその会話になったのかなって。もしくはその反対で、私に王様のカードを出させようとしたのかなって。それなら、私は庶民のカードを出すしか無いんだけど……でもそうなると君の貴族のカードの意味が理解出来ないんだよねー。」

「えぇ!?ニーナの方こそ考えすぎだって!!楽しくやろうよ!?」

ラルフは考えているのか、もしくは何も考えていないのか。
俺もネロも未だに分からない時がある。

ま、それがラルフだから。

俺とネロはいつもそれで片付けている。

大切な幼馴染って事は変わらないからね!

ニーナとラルフはテーブルの上のカードを避け、次のカードを選んでいた。

















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