異世界の親が過保護過ぎて最強
──第48話──
俺達は冒険者ギルドから出て、ネロの案内の元、街中を歩いている。
俺を見た人達は離れて行くので人混みに巻き込まれる事は無かった。
のんびりと周りの景色を楽しみながら歩く。
エルモアの里は自然を感じられる雰囲気なのに対し、リシュベル国は魔道具らしきモノや人工建築物が多い。
たまに木が植えられていたり噴水はあるものの、どこかエルモアの里と違い整えられているので、自然なモノという感じがしない。
ドンッ!
「──っ!!」
「痛っ!なんだ!?」
何か横から衝撃がきて、俺は痛くないが、反射的に痛いと言ってしまった。
びっくりした~。
ん?
子供?
俺の足下に、十歳くらいの少年が尻餅をついていた。
獣耳がついてないから、おそらく人間だろう。
「大丈夫?立てる?」
「──っ!?」
俺は腰を屈め、立ち上がらせようと手を伸ばしたが、その瞳に俺を映すと驚いた顔で固まってしまった。
そんなに俺が珍しいのか、少年よ。
俺は差し出した行き場の無い手を、どうしようか考えていると、柔らかい感触が掌に感じた。
少年の手を握り返し、勢いよく引っ張って立ち上がらせる。
「どっか怪我してない?大丈夫?」
「……。」
俺の質問に少年は首を横に振るとその場から駆け出した。
「ぇー……。」
俺、何か変な事でもしたかな……?
何も喋らない少年に軽くショックを受け、変な声が漏れてしまった。
いや、別に感謝して欲しくて助けた訳じゃないけどさ!!
なんか、こう……
なんか、なぁ……?
俺の様子を見ていたネロが笑いながら肩に手を置いてきた。
「ルディがいやに優しいから気持ち悪かったんじゃねぇか?」
「なっ!どういう意味だよ!?」
優しさが気持ち悪いって!?
俺はいつだって優しいじゃんか!!
その言い方はまるで俺が優しくない人間みたいに聞こえるぞ!?
「まーまー、二人とも。ルディ、あの子は怪我もしてそうに無かったから大丈夫だって!」
「……なら、良いけどさ。……何で何も喋んなかったんだろ。」
「それは、あれだろ?〈神の子〉が目の前に現れて驚いたんじゃね?」
俺の疑問にネロが言葉を返してきた。
その、〈神の子〉って言う時に笑うの止めてくれませんかね!?
「お前らも銀髪のクセに……ネロもラルフも銀髪になれば良いんじゃね!?そしたら、俺が目立たなくなる!」
「馬鹿だろ。」
「あははははは!それしちゃったら、皆が目立っちゃうよー!それに言葉も分かんなくなるから不便だよー??」
「全員目立たせてどうすんだよ……。」
俺の妙案はネロとラルフの二人に却下されてしまった。
良い案だと思ったんだけどな。
でも、そうか。
そのチョーカーが無いと人間の言葉が分かんなくなるんだったな。
俺には必要無いから忘れてたわ。
俺は少し不貞腐れながらも、二人と共に歩みを進めた。
☆
着いた場所は一軒のお店。
ネロは木造の扉を躊躇無く開けて中に入る。
俺とラルフもそれに続いて足を踏み入れた。
中は様々な服が壁に陳列されていて、防具等も売っていた。
「おや、いらっしゃい。」
奥から現れたのは、少し歳を取ったオバさんだった。
「ああ、ネロ君、久しぶりだねぇ。相変わらず変わらないねぇ。」
「あんたが年取りすぎたんじゃねぇの?」
「ネロ君には敵わないさ。おや?」
オバさんがネロと懐かしそうに話をしていると、後ろの俺に気が付き首を傾げられてしまった。
「おやまぁ、私が生きている内に〈神の子〉に会えるなんてねぇ。拝ませて貰おうかね。」
え、いや!?
拝まないで!?
何のご利益もないから!!
「え、と……?俺、何かした?」
困惑する俺に、俺を拝み終わったオバさんは優しい笑顔で答えてくれた。
「この国が、今、平和に暮らせているのは〈神の子〉が居たからだ、と言う話だからねぇ。その話を嘘や伝説と言う奴らも居るが、私は真実だと思っているんだよ。」
「その話って皆知ってるの?」
「そうだね。この国の出身は皆知っているねぇ。小さい頃にお伽噺として聞く有名な話だからねぇ。」
「そ、そうなんだ……」
俺と似た容姿の人すげぇな。
お伽噺になってるんだぜ?
しかも、国を平和にって、英雄じゃん。
俺、そんな大層なもんじゃないんだけど。
俺が似てるからって、この扱いされてもなぁ。
正直、困るだけなんだよな。
俺がオバさんと話をしている間に、ネロは服を選んでいたのか、一着のローブを持ってオバさんに突き出す。
「これ、貰うわ。」
「あいよ。ネロ君にしてはローブを買うなんて珍しいねぇ。」
「俺のじゃねぇよ。こいつの。」
ネロは隣にいる俺を親指で指す。
その様子にオバさんは、にっこりと笑い優しい音色で答える。
「おお、そうかい。それも、ネロ君にしては珍しいねぇ。よっぽど大切な友達なんだねぇ。このローブには【防御】と【隠蔽】の魔術が軽く施されているからねぇ。」
「うるせぇよ!!」
怒鳴るネロを見ても、穏やかにオバさんは笑う。
ていうか、ネロ!?
それ、絶対高いヤツだよね!?
俺の髪を隠す為だけにそんな高いの買う必要無いと思うんだけど!?
俺はネロを止めようとするが、素早く会計を終わらせローブを渡される。
この雰囲気の中でいらないって言えないじゃん!!
「後で金出せって言われても困るんだけど……?」
「誰が言うかよ!さっさと着ろ!!」
俺の言葉でさらに機嫌が悪くなるネロからローブを受け取る。
シンプルだけど、縁取りがされてあり、同色の模様が入ったローブ。
そのローブに袖を通し、フードを被る。
着心地は凄く良かった。
ネロは満足そうに一つ頷くと、オバさんに別れを言い扉から出ていく。
俺とラルフも慌ててオバさんに言葉を掛けてからネロの後を追い、店から出て行った。
俺を見た人達は離れて行くので人混みに巻き込まれる事は無かった。
のんびりと周りの景色を楽しみながら歩く。
エルモアの里は自然を感じられる雰囲気なのに対し、リシュベル国は魔道具らしきモノや人工建築物が多い。
たまに木が植えられていたり噴水はあるものの、どこかエルモアの里と違い整えられているので、自然なモノという感じがしない。
ドンッ!
「──っ!!」
「痛っ!なんだ!?」
何か横から衝撃がきて、俺は痛くないが、反射的に痛いと言ってしまった。
びっくりした~。
ん?
子供?
俺の足下に、十歳くらいの少年が尻餅をついていた。
獣耳がついてないから、おそらく人間だろう。
「大丈夫?立てる?」
「──っ!?」
俺は腰を屈め、立ち上がらせようと手を伸ばしたが、その瞳に俺を映すと驚いた顔で固まってしまった。
そんなに俺が珍しいのか、少年よ。
俺は差し出した行き場の無い手を、どうしようか考えていると、柔らかい感触が掌に感じた。
少年の手を握り返し、勢いよく引っ張って立ち上がらせる。
「どっか怪我してない?大丈夫?」
「……。」
俺の質問に少年は首を横に振るとその場から駆け出した。
「ぇー……。」
俺、何か変な事でもしたかな……?
何も喋らない少年に軽くショックを受け、変な声が漏れてしまった。
いや、別に感謝して欲しくて助けた訳じゃないけどさ!!
なんか、こう……
なんか、なぁ……?
俺の様子を見ていたネロが笑いながら肩に手を置いてきた。
「ルディがいやに優しいから気持ち悪かったんじゃねぇか?」
「なっ!どういう意味だよ!?」
優しさが気持ち悪いって!?
俺はいつだって優しいじゃんか!!
その言い方はまるで俺が優しくない人間みたいに聞こえるぞ!?
「まーまー、二人とも。ルディ、あの子は怪我もしてそうに無かったから大丈夫だって!」
「……なら、良いけどさ。……何で何も喋んなかったんだろ。」
「それは、あれだろ?〈神の子〉が目の前に現れて驚いたんじゃね?」
俺の疑問にネロが言葉を返してきた。
その、〈神の子〉って言う時に笑うの止めてくれませんかね!?
「お前らも銀髪のクセに……ネロもラルフも銀髪になれば良いんじゃね!?そしたら、俺が目立たなくなる!」
「馬鹿だろ。」
「あははははは!それしちゃったら、皆が目立っちゃうよー!それに言葉も分かんなくなるから不便だよー??」
「全員目立たせてどうすんだよ……。」
俺の妙案はネロとラルフの二人に却下されてしまった。
良い案だと思ったんだけどな。
でも、そうか。
そのチョーカーが無いと人間の言葉が分かんなくなるんだったな。
俺には必要無いから忘れてたわ。
俺は少し不貞腐れながらも、二人と共に歩みを進めた。
☆
着いた場所は一軒のお店。
ネロは木造の扉を躊躇無く開けて中に入る。
俺とラルフもそれに続いて足を踏み入れた。
中は様々な服が壁に陳列されていて、防具等も売っていた。
「おや、いらっしゃい。」
奥から現れたのは、少し歳を取ったオバさんだった。
「ああ、ネロ君、久しぶりだねぇ。相変わらず変わらないねぇ。」
「あんたが年取りすぎたんじゃねぇの?」
「ネロ君には敵わないさ。おや?」
オバさんがネロと懐かしそうに話をしていると、後ろの俺に気が付き首を傾げられてしまった。
「おやまぁ、私が生きている内に〈神の子〉に会えるなんてねぇ。拝ませて貰おうかね。」
え、いや!?
拝まないで!?
何のご利益もないから!!
「え、と……?俺、何かした?」
困惑する俺に、俺を拝み終わったオバさんは優しい笑顔で答えてくれた。
「この国が、今、平和に暮らせているのは〈神の子〉が居たからだ、と言う話だからねぇ。その話を嘘や伝説と言う奴らも居るが、私は真実だと思っているんだよ。」
「その話って皆知ってるの?」
「そうだね。この国の出身は皆知っているねぇ。小さい頃にお伽噺として聞く有名な話だからねぇ。」
「そ、そうなんだ……」
俺と似た容姿の人すげぇな。
お伽噺になってるんだぜ?
しかも、国を平和にって、英雄じゃん。
俺、そんな大層なもんじゃないんだけど。
俺が似てるからって、この扱いされてもなぁ。
正直、困るだけなんだよな。
俺がオバさんと話をしている間に、ネロは服を選んでいたのか、一着のローブを持ってオバさんに突き出す。
「これ、貰うわ。」
「あいよ。ネロ君にしてはローブを買うなんて珍しいねぇ。」
「俺のじゃねぇよ。こいつの。」
ネロは隣にいる俺を親指で指す。
その様子にオバさんは、にっこりと笑い優しい音色で答える。
「おお、そうかい。それも、ネロ君にしては珍しいねぇ。よっぽど大切な友達なんだねぇ。このローブには【防御】と【隠蔽】の魔術が軽く施されているからねぇ。」
「うるせぇよ!!」
怒鳴るネロを見ても、穏やかにオバさんは笑う。
ていうか、ネロ!?
それ、絶対高いヤツだよね!?
俺の髪を隠す為だけにそんな高いの買う必要無いと思うんだけど!?
俺はネロを止めようとするが、素早く会計を終わらせローブを渡される。
この雰囲気の中でいらないって言えないじゃん!!
「後で金出せって言われても困るんだけど……?」
「誰が言うかよ!さっさと着ろ!!」
俺の言葉でさらに機嫌が悪くなるネロからローブを受け取る。
シンプルだけど、縁取りがされてあり、同色の模様が入ったローブ。
そのローブに袖を通し、フードを被る。
着心地は凄く良かった。
ネロは満足そうに一つ頷くと、オバさんに別れを言い扉から出ていく。
俺とラルフも慌ててオバさんに言葉を掛けてからネロの後を追い、店から出て行った。
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