異世界の親が過保護過ぎて最強
──第42話──
『……人間は自分達が住む為に木を切ったりして、場所を広げたりするだろ?だけど、そこに住んでいた魔物達はどうなる?』
『……住む場所が無くなる?』
『そう、今まで広かった家が急に狭くなるんだ。』
『でも、広さが変わっても影響は無いんじゃないか?』
『……人間は魔物が住める場所を無くすんだよ。それも急激に無くすんじゃなく、数十年に渡って。人間は短命だからその間に世代も変わるし、世代が変わればまた住む場所を増やす為に自然を壊す。』
『……。』
『んで、何十年に渡って住む場所を追い出された魔物は自分達が生き残る為に食べるモノを探す。弱いモノから食べ物を奪うのは自然の中じゃ当たり前だ。人間や獣人は比較的弱いから狙われる。』
『……それで、狙われた奴らは、反撃……するだろうな。』
『そうなるな。でも、考えてみろ?人間が魔物を追い出さなきゃそんな事にはならなかった筈だ。人間が蒔いた種なのに、世代が変わると、俺達は悪くない、悪いのは魔物だって考え方になって、今じゃ魔物=敵ってなってるんだ。俺には何でそんな考えになるのか良く分からん。』
『じゃ、今、この草原にいる魔物は……』
『昔、人間に追い出された魔物だって聞いてる。こういう所でも生き残る為に進化した魔物らしいぞ。』
『へぇ……。』
ネロが人間をどう思っているのか聞きたかっただけなのに、歴史の授業みたいになってないか、これ。
『ま、人間には今でも興味は無いが……人間にも色々いるって事が最近分かってきたけどな。』
口の端を持ち上げ笑みを溢すネロ。
『ん?なんで?』
『人間でも人間らしくない奴がいるからなぁ。』
『そんな奴がいるのか?ネロにそう言わせるなんて面白い奴だな。俺にも紹介してくれよ。』
『お前には絶対言わねぇ。』
『なんでだよ!?』
『あはははは!ネロはルディには言えないだろうねー!』
『うっせぇ、ラルフ!』
先程まで静かにしていたラルフの発言にネロは上半身を持ち上げ怒っていた。
ラルフはその様子を見ても笑っているだけで、ネロはため息をつくと、また身体を横にする。
『そうだ、ラルフは人間をどう思ってるんだ?やっぱり、ネロみたいに興味は無い感じか?』
『うん!あんまり興味無いかな!』
『はっきり言うんだ。』
『あはははは!あ、でも、人間って嘘が上手だなって思うかな!ルディとかネロのはすぐ分かるからね!』
『『俺が嘘つきみたいに言うんじゃねぇ!』』
ネロと声がハモってしまった。
『あはははは!そうだね!二人は嘘をつかないからね!』
『あー……嘘を言う時は言うぞ。』
俺は前に二人に対してした事を思い出して訂正をした。
『え?もしかして、前に言った事言ってる?……前に言われた事は大袈裟に言ってるなって思ったけど、嘘じゃないな、とも思ってたよ!それに、僕たちを心配して言ったんだって分かったからね!ルディ、気にしすぎだよー!』
『そうかな……いや、本当に……ごめん。』
『あはははは!僕はもう気にして無いのにー!』
『それで?嘘が上手って……何でそう思ったんだ?』
ネロはラルフの発言が気になったのか、言葉を促した。
『えっとねー。例えば、その人が知ってる事を僕がその人に聞いたとするでしょー?それを、その人は『知らない』って言うとこれは嘘になるよね!でも、ルディとかネロは『知らない』じゃなくて『言えない』とか『教えない』って言う言い方するよね!これは嘘じゃなくって知ってる事を認めているけど、伝えないって結論を出したって事だよね!』
『『……。』』
『僕に教えないっていう結果は二つとも同じだけど、過程が違うんだよね!その過程が大事なんだと思うんだ!でも、人間は簡単に嘘を言っちゃうんだよねー。しかも、自分は正しいって思い込んで嘘を言うから、分かりにくいんだよね。』
『ラ……ラルフが……』
『真面目な事を言ってる……』
『二人ともヒドイよー!?僕だって、ちゃんとお父さんから教えて貰ってるんだから!!』
『いや、何か……』
『ラルフはもっと……頭が悪いと……』
『えぇー!?僕だってちゃんと勉強してるんだよー!?』
『ごめん、ごめん。』
『悪かった。』
笑顔に戻ったラルフに、俺とネロも笑いながら謝る。
『もー!お父さんから嘘の見分け方も教えて貰ってるのにー!……二人とも嘘言わないから練習にならないんだよねー。』
少し残念そうにラルフは言うが。
嘘を言った所で、俺に何の得も無いので言う必要は無いと思うんだけど。
『嘘って見分けられるもんなのか?』
俺はどんな内容なのか少し気になったので聞いてみる。
『簡単じゃないんだけどねー。もっと練習しないといけないんだけど……相手の視線とか、発音、後は匂いとか仕草……かなぁ?』
あ、俺には無理だ。
そんな一気に見れん。
もしかして、ラルフって俺より頭が良……何か、解せん。
『でもねー、まだまだ練習中だから、あんまり確信が持てないんだよねー。』
少し考える素振りをしているラルフにネロがどうでも良さそうに声を掛ける。
『……これから先、ラルフが気付いて、確信が持てたら伝えてくれ。』
『ネロの言うとおりだな。ラルフが言った言葉は何でも信じちまうからな。』
『そんな事言われると余計に言えなくなっちゃうよー!?』
『なら最初は疑っておこう。』
『だな、そうしようか。』
『それはそれでヒドくない!?』
星空の下、三人の笑い声が響く。
『……住む場所が無くなる?』
『そう、今まで広かった家が急に狭くなるんだ。』
『でも、広さが変わっても影響は無いんじゃないか?』
『……人間は魔物が住める場所を無くすんだよ。それも急激に無くすんじゃなく、数十年に渡って。人間は短命だからその間に世代も変わるし、世代が変わればまた住む場所を増やす為に自然を壊す。』
『……。』
『んで、何十年に渡って住む場所を追い出された魔物は自分達が生き残る為に食べるモノを探す。弱いモノから食べ物を奪うのは自然の中じゃ当たり前だ。人間や獣人は比較的弱いから狙われる。』
『……それで、狙われた奴らは、反撃……するだろうな。』
『そうなるな。でも、考えてみろ?人間が魔物を追い出さなきゃそんな事にはならなかった筈だ。人間が蒔いた種なのに、世代が変わると、俺達は悪くない、悪いのは魔物だって考え方になって、今じゃ魔物=敵ってなってるんだ。俺には何でそんな考えになるのか良く分からん。』
『じゃ、今、この草原にいる魔物は……』
『昔、人間に追い出された魔物だって聞いてる。こういう所でも生き残る為に進化した魔物らしいぞ。』
『へぇ……。』
ネロが人間をどう思っているのか聞きたかっただけなのに、歴史の授業みたいになってないか、これ。
『ま、人間には今でも興味は無いが……人間にも色々いるって事が最近分かってきたけどな。』
口の端を持ち上げ笑みを溢すネロ。
『ん?なんで?』
『人間でも人間らしくない奴がいるからなぁ。』
『そんな奴がいるのか?ネロにそう言わせるなんて面白い奴だな。俺にも紹介してくれよ。』
『お前には絶対言わねぇ。』
『なんでだよ!?』
『あはははは!ネロはルディには言えないだろうねー!』
『うっせぇ、ラルフ!』
先程まで静かにしていたラルフの発言にネロは上半身を持ち上げ怒っていた。
ラルフはその様子を見ても笑っているだけで、ネロはため息をつくと、また身体を横にする。
『そうだ、ラルフは人間をどう思ってるんだ?やっぱり、ネロみたいに興味は無い感じか?』
『うん!あんまり興味無いかな!』
『はっきり言うんだ。』
『あはははは!あ、でも、人間って嘘が上手だなって思うかな!ルディとかネロのはすぐ分かるからね!』
『『俺が嘘つきみたいに言うんじゃねぇ!』』
ネロと声がハモってしまった。
『あはははは!そうだね!二人は嘘をつかないからね!』
『あー……嘘を言う時は言うぞ。』
俺は前に二人に対してした事を思い出して訂正をした。
『え?もしかして、前に言った事言ってる?……前に言われた事は大袈裟に言ってるなって思ったけど、嘘じゃないな、とも思ってたよ!それに、僕たちを心配して言ったんだって分かったからね!ルディ、気にしすぎだよー!』
『そうかな……いや、本当に……ごめん。』
『あはははは!僕はもう気にして無いのにー!』
『それで?嘘が上手って……何でそう思ったんだ?』
ネロはラルフの発言が気になったのか、言葉を促した。
『えっとねー。例えば、その人が知ってる事を僕がその人に聞いたとするでしょー?それを、その人は『知らない』って言うとこれは嘘になるよね!でも、ルディとかネロは『知らない』じゃなくて『言えない』とか『教えない』って言う言い方するよね!これは嘘じゃなくって知ってる事を認めているけど、伝えないって結論を出したって事だよね!』
『『……。』』
『僕に教えないっていう結果は二つとも同じだけど、過程が違うんだよね!その過程が大事なんだと思うんだ!でも、人間は簡単に嘘を言っちゃうんだよねー。しかも、自分は正しいって思い込んで嘘を言うから、分かりにくいんだよね。』
『ラ……ラルフが……』
『真面目な事を言ってる……』
『二人ともヒドイよー!?僕だって、ちゃんとお父さんから教えて貰ってるんだから!!』
『いや、何か……』
『ラルフはもっと……頭が悪いと……』
『えぇー!?僕だってちゃんと勉強してるんだよー!?』
『ごめん、ごめん。』
『悪かった。』
笑顔に戻ったラルフに、俺とネロも笑いながら謝る。
『もー!お父さんから嘘の見分け方も教えて貰ってるのにー!……二人とも嘘言わないから練習にならないんだよねー。』
少し残念そうにラルフは言うが。
嘘を言った所で、俺に何の得も無いので言う必要は無いと思うんだけど。
『嘘って見分けられるもんなのか?』
俺はどんな内容なのか少し気になったので聞いてみる。
『簡単じゃないんだけどねー。もっと練習しないといけないんだけど……相手の視線とか、発音、後は匂いとか仕草……かなぁ?』
あ、俺には無理だ。
そんな一気に見れん。
もしかして、ラルフって俺より頭が良……何か、解せん。
『でもねー、まだまだ練習中だから、あんまり確信が持てないんだよねー。』
少し考える素振りをしているラルフにネロがどうでも良さそうに声を掛ける。
『……これから先、ラルフが気付いて、確信が持てたら伝えてくれ。』
『ネロの言うとおりだな。ラルフが言った言葉は何でも信じちまうからな。』
『そんな事言われると余計に言えなくなっちゃうよー!?』
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『だな、そうしようか。』
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星空の下、三人の笑い声が響く。
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