異世界の親が過保護過ぎて最強

みやび

──第17話──

魔法の特訓が日課になり、ご飯を食べ終えた後にノアに習っていた事をしていると、カインがそれを見つめてニコニコしている。

『とうさん、どうかした?』

そんなに優しく見つめないで!
むず痒くて集中出来ないじゃん!!

『いや?ルディがちゃんと魔力操作が出来ているのが嬉しくてな。』

『そうかな?まだまだだと  おもうけど。』

ノアみたいにスムーズに移動出来ないし……。

あ、ちゃんと紫の光を出す練習もしてるよ?
短時間だけ出るようになったけど、すぐに白に戻るんだよな……。
ノア、怒らないかな…………。

『短期間でそこまで出来ているのは凄い事だぞ。ライアも今、ルディがしている事をやっていた時があるんだが、最初の頃は周りの目が潰れるかと思う位だったからな。』

『そ、そう……』

『なっ!カイン、今はちゃんと出来るぞっ!!』

ライアさん、本当に魔法が苦手だったんですね。

今、ちゃんと使えてる(攻撃魔法とかは除いて)って事は相当練習したんだろうな。

カインはライアの反応に苦笑しながらも言葉を続ける。

『今のルディなら、もう1つの魔力操作の練習が出来るかもしれんな。』

『ほかに  あるの?』

今やってる練習でも大変なんだけど。

『あるぞ。今している練習は魔力を放出する為の練習だな。もう1つは魔力を纏わせる練習だ。』

『………………?』

えーと、つまり?
……俺の頭が悪いんだなっ!!
理解出来ない!!

『そうだのぉ……他人に使う魔法と自分に使う魔法…………と言うイメージじゃな!』

ライアが胸を張りながら教えてくれる。

『じぶんにも  まほうをつかうの?』

『ああ、そうだぞ。身体能力を上げたり、結界を作り身を守ったりな。』

おお!
身体能力を上げる、だとっ!!
それは使える様になりたいなっ!
ネロの攻撃にもラルフの突進にも反応出来るかもしれないじゃん!
これは、習得しなければっ!!

『イメージし易いので言うと……よくライアが使っている、身体を洗うや乾かす等、これも自分に対して使っているだろ?』

ライアはよく生活魔法として身体を洗ったり乾かしたりする魔法を使っている。
カインや俺にも使ってくれているから、あまり気にした事が無かった。

『なるほど、いわれてみれば そうだね。』

『な?ちゃんと妾も魔法が使えているであろう?』

褒めて褒めてと言わんばかりにライアは顔を輝かせている。

使えないとは思ってないんだけどな……

『どうやって  れんしゅう  したらいい?』

『体内にある魔力を身体全体に出す感じだな。』

言われてみてやってみるが、なかなか上手くいかなかった。

めっちゃ習得したいのに!!
何で出来ないっ!
何が悪いんだっ!
俺の頭か!?

すると、カインは苦笑しながら

『父さん達は感覚で覚えて来たから上手く説明が出来なくてすまんな……そういう練習もあるって事を覚えて置いてくれたら良い。また教えて貰いに行くんだろ?』

『うん。』

『なら、その時に聞いてみたら良い。』

『…………わかった。』

少しふて腐れながらもカインに返事をする。

良い時間になったので、ライアと二人でラルフの所に行く準備をする。

今日もきっとラルフと追いかけっこするんだろうな。



数日後。

俺はライアに連れられ、〈精霊の泉〉に来ていた。

……来たんだけど。
何か増えてる!?

そこにいたのは、サンルークとノア、そしてその周りを三つふよふよと浮いている光の珠。

『おお!なんじゃ、メリルにリアム、ロナもおるじゃないか!』

ライアは嬉しそうに声をかけ、俺を抱いたまま駆け寄る。

そして、三つの光の珠と楽しげに会話をしながら、俺を置いて泉の方へ行く。
その先では、水を重力無視で動かしたり、竜巻が出来たり、花のツルが伸びたり……よく分からない現象が起きていた。

何やってんだろ……。

そして俺は、サンルークとノアに向かい合って座っている。

『ノアねえさん、ちゃんと  れんしゅうしたよ。』

『……ん。……見せ、て?』

促されるまま、右手の人差し指を紫に光らせる。
それを中指から薬指へ……やる途中で光が白に変わってしまった。

うう、やっぱりまだ上手く出来ない。
ノア……怒ってないかな。

恐る恐るノアを伺うと、無表情のはずの顔が妖精の様な眩しい笑顔で見られていた。

妖精じゃなくて精霊なんだけどな……。

『……ん。……ルディ、やれば……出来る子。』

その笑顔のまま、頭を撫でられる。

うぅぅぅぅぅ……。
なんだろ……。
どう反応したら良い!?
どの反応が正解!?

『へぇ~。ルディ=ギルバートはぁ、魔力の扱いがぁ上手だねぇ。魔力の質がぁ良いからかもしれないねぇ。』

どの反応をしたら良いか苦悩していた俺に、サンルークが言葉を投げ掛けてくれた。

『ありがとう、サンルークにいさん。』

二つの意味で!!

『……兄さんかぁ。何だか不思議な気分だねぇ。』

苦笑を浮かべるサンルークだったが、そこには嫌がる素振りは無く、単純に困っている様子だった。

『ノアねえさん、まえに  とうさんが  いってたんだけど……』

そこで、先日カインに聞いていた事を話すとノアは考える素振りを見せる。
そして、そのまま黙り込んでしまった。

『サンルークにいさん、ノアねえさん……どうしたんだろう?』

そんなに難しい魔法なのかな?

『ノアはぁ、多分なんだけどぉどの方法が一番ルディ=ギルバートに合うかを~考えてるんだとぉ思うよぉ?』

サンルークは考えてくれないんかーいっ!
もう、サンルークはノアの通訳としてしか活動してないじゃん!

しばらく、木の葉の擦れる音を聞いているとノアがおもむろに口を開いた。

『…………ん。……お願い。』

へ?
何を……

《【水の大精霊の加護】を取得しました。》
《【風の大精霊の加護】を取得しました。》
《【土の大精霊の加護】を取得しました。》

ほぁ!?
ちょ、待って!!
一体何がどうなったらそうなった!?











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