第五十話　転移してしまおう。

　夜が明けると、騒動が起きていた。なんでも、朝起きたら人が斬られていたらしい。


「これは、悪魔の仕業知れないね。」


「えっ。そんなわけない。ただ斬られただけだよ。そんなことはよくあることだ」


「そうなの。レン君。なんでそんなこと知っているの？」


「なんでだろう？あと、刺した者は切腹したと思う。」


「切腹とはなんのこと？」


「腹をくくること。まあ、自殺をしたわけ。」


「へぇ。分かったわ。じゃあ、もう少し見て回ろうよ。」


「そうだね。」


　このような騒動は半ば日常茶飯事と言ったところだろう。まあ、殺人ぐらいなら自警団も黙ったままだ。銀貨４０枚払うとあいつらは働く。そんなものだ。江戸には居ないが、京都には新選組と呼ばれる人たちがいるが、そちらの方が役に立ち、信頼できると江戸では伝わっているが―。


「餅屋があるよ。餅ってなんだろう？」


「えっ！知らない？あっ―この世界には無かったんだ―いや、なんでもない」


「なんか、モチモチしている感じだね。変な食べ物だわ」




「そうかな。食べるとおいしいよ。」


「へぇーなんで知っているの？レン君は不思議だよ」


「まあまあ、さあ行こう」


　二人は、餅屋をでて、次の場所に向かった。餅屋のとなりは紙芝居をみるために大勢の人が集まっていたが二人は興味がないようだ。


「なんか、集まってはいるようだけどまあいいか」


「そうだね。ジャンジャン行こう。」


　次に向かったのは歌舞伎というものが見える場所だ。


「レン君。なんか厚化粧で踊っている人がいるよ。すごい」


「あー。これは歌舞伎というものだと思う。―前見たよりもへたくそな感じはする―子供がみても面白くはないと思う。」


「そうなのね。まあ少し見ていこうよ。」


「そうだね。」


　二人は、仲良く見ていた。昼間っから酒を飲む人のが多いのかフラフラしたまま見に来ている人がいる。しかももう吐いている人がである。また、大勢いる中で倒れてしまうことがある。病気の進行が早まったとかではなくただ単に気持ちが悪いというだけである。ほっとけばいい。


「以外とへたくそな感じがするなぁ」


「なにが？やったことないのにそんなこと言うんだ」


「……はい」


「私も見ていてつまらないような気はするの」


「まあ、帰ろうか」


「そうだね。」


　二人は外を出た。太陽は山に隠れそうだ。そろそろ旅立つ時ではなかろうか。


「そろそろ帰りますか？屋敷に戻るのは容易だから」


「そうだったね。さっさと転移してしまうよ。でも人前で行うのは変な人達と思われるから門をでてからにしよう」


「そうだな。馬も連れてくる。馬ごと転移してしまえばいいと思う」


「レン君、馬ごと転移できるんだ。なるほどぉウヘヘヘ」


「そうだよ。」


レオンは馬を宿屋から出し、乗りたいところだが門に着くまでは引っ張っていくことにした。門に着くと犯罪を犯してないか確認されて出国という形になるそして


「じゃあ、転移する」


「わかったわよ。せーのでいこうよ」




「「せーの」」
声を掛けたのはいいが、レオンがせーのと言ってしまったら誰が転移するのだ。結局せーのを言ったあとに空白の時間が生まれた。


「ふぅ。戻ってきたね。いろんな国を回れてよかったわ」


「僕も日本刀を直してもらうことができてよかった。直ったらすぐにでも取りに行こう。転移することもできるから」


「そ、そう。今日はこれで解散ということでいいよね。」


「そうだね。送っていくよ。馬も動かしてあげないといけないし」


「じゃあよろしく」


こうして二人の旅は終わった。