コミュ障陰キャは2度笑う

ケッキング祖父

第3話

「ゴドー国を守るため、仕方なかったのです…」
目を伏せ、いかにも申し訳なさそうな顔をする老人。彼はゴドー国の参謀兼魔術師長であるバイト・サージオというらしい。また、彼の自己紹介において魔術という単語が出てきた為、生徒たちの一部の層が他より強くざわめいた。

「ふざけるな!」
上田がキレた。
「さっきから聞いてりゃ使命だの仕方なかっただの!てめえの都合になんの関係もない俺たちを巻き込んでんじゃねえよ!」
上田の怒りはまだ留まらない。
「大体、俺たちはただの学生だ!勇者なんて大層なものじゃあねえんだよ!戦う力も何もない俺たちがどう指名を果たしゃいいんだよ!」
普段の行いのせいで気に食わないが正論だと思った。僕たちはなにもできない。汚染地域にいるという怪物の餌になるのが関の山だ。

「おっしゃる通りで…」
バイトは逆上するでもなく、目を伏せたままでただ謝るのみだった
「しかし、我々としても貴方方に帰られては困るのです。…いやそもそも、帰る手段もないのですが。」

バイトが語る無慈悲な真実に大きくざわつく生徒たち。言葉の意味を理解した者から各々の感情で身に降りかかった絶望を表す。

「いや、正確にはなくなった、ですかな。元々召喚の魔法は返還の魔法とセットだったのですが、汚染地域から逃れる際にそのうちの返還の魔法を紛失してしまったのです。」

「…つまり、もとの世界に帰るには汚染地域をくまなく捜索するしかないと…?」
鹿場が尋ねる。

首肯するバイト。
「ご安心召されよ。貴方方は我々にとっての英雄。しっかりサポートさせていただきますので…」

バイトのそんな薄っぺらい取り繕いに、今さら耳を傾ける者はいなかった。


コメント

  • オナ禁マッスル

    Do you 琴?

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