BLACK OUT HOKKAIDO

ノベルバユーザー286206

帰宅、それは真冬。

ふぅ、今日の仕事も終わり。娘に早く会おう。
そうだ、今日は紅茶を買いに行こうとおもってたんだ。いや、めんどくさいから明日にしよう。今日はもう疲れた。役所を出ると私は車に乗り、エンジンとラジオをつけ、そして車を出す。聴いた事ない海外のバンドのロックを聴きながら家に帰る。
その時だった。その曲を遮られ不快な音が繰り返される。緊急地震速報だ。地震…か。緊張が走る。
……数分経った。緊急地震速報が止まりラジオの奥で男の人が喋り始める。

『ただ今、北海道で大きなじ……』

そういったところでラジオが止まった。
なんなんだ?
そこで周りがいつもより暗くなっていることに気がついた。車のライトでさっきまで気がつかなかったが、外の電灯が消えている。まさか、停電!?
地震はきていないというのに!
とりあえず、私の妻の携帯に電話しよう。
そう思い、スマホをつける。
すると、その左上に圏外の二文字が。
どういうことだ?なんで電波が来てないんだ!?
一体何が…。とりあえず急いで家に帰らねば。
私はクラクションを鳴らし、アクセルをいつもより少し強く踏んだ。








渡部は仕事を終え、交番を出る。
やたらと、肩が凝っている。この頃ただでさえも上がらない腕がいつもよりも上がらない。今日はとても疲れている。
仕事を終えることができたのは渡部だけだった。もう1人の山崎は深夜もパトロールをしなければならないのだった。といっても、交代で後からもう1人がすぐやってくる予定なのでそんなに長いパトロールではないのだ。

「この辺りはなんもねぇってのになんなんだ、夜もパトロールだなんて、山崎大変だなぁ」

渡部はそんな独り言を言いながら暗く寒い道を歩き家に帰る。
そして、おばあさんのいた道路にふらふらと歩く人影をみつける。
まさか、あのばあさん。と一瞬思ったが、そんな訳があるわけないと、渡部は通りすぎようする。
白いガードレールの向こうに目をやる。電灯の光がガードレールに反射し人影を照らす。
渡部は驚く。そのまさか、その影はあのときのおばあさんだった。
こんな寒い中、ここにずっと?
気味が悪くなりスピードを上げる。上げようとした。だが、渡部はおばあさんに足を掴まれた。

「おい!なんだよ!やめろ!」

渡部は転んだ。そして叫んだ。だが恐怖からかその声はとても掠れている。
おばあさんとは思えないほどその掴む力は強い。
足を振るが、おばあさんの腕がバキバキとなるばかりで振りほどけない。
そして、渡部はまた噛み付かれた。

「痛ぇ!!なんなんだばあさん!!俺に…なんの…恨みが…!!はな…せ…!!痛い!痛い!痛い!!離せ!離せ!…くそ!くそ!」

おばあさんを力一杯蹴る。蹴る。蹴る。蹴る。
氷の上でも滑らないようなスパイクのついた靴の裏がおばあさんの顔に命中する。
その時、顔の皮がトマトの皮のように剥がれた。
だが、おばあさんは一切怯まない。

「う、うわぁぁあ!!!!!なんだ!!!!!!このばあさん!!!!バケモノだ!!お前は!!バケモノ…だ…!!バケモノ……バケモノ……」

あまりの気味の悪さに意識が遠のきそうになる。
夢なのかもしれない、こんなのは、ただの悪夢なのかもしれない。足の噛まれた痛みすら遠のく、全身が痺れていく。寒さも感じなくなってくる。
これが恐怖なのだろうか。

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