全スキル保持者の自由気ままな生活

ノベルバユーザー255253

102話 答えにくい感想

 俺たちはレビアシュトルトの料理を食べ満足した。

 「今日はどうする?」

 俺的にはそろそろ帰りたいんだが……。
 野郎どもの様子も確認しておきたいしな。

 「私たちはもう休むことにします」

 「そうか?なら今日は解散ということで、明日はいつに集まる?」

 「そのことなんだけど……しばらくみんなで自由行動でいいかな?」

 楓がそう提案してきた。

 「俺はいいけど、みんなはいいのか?」

 「大丈夫。話はしてあるから」

 俺が他の面々を見つめると、うんうんと頷いているのが確認できた。
 これはOKな奴ですな。

 「じゃあ6日後の朝に集合でいいか?」

 「オークション当日ね。分かった」

 了承も取れたことで俺はしばしみんなと別れを告げた。

 それから6日が経った。
 この6日は特に何も無かった。
 本当に暇っちゃとても暇だった。

 「「「「「行ってらっしゃいませ!アニキ!!」」」」」

 この慣れた大音量の送り迎えを受け、俺は銀亭の宿へと向かった。

 「行ってくるわ。また3日後ぐらいには戻ってくると思うけど、やらかしたりするなよ」

 「「「「「分かってます!アニキ!!」」」」
 
 だからうるさいっての。
 まあ、それがコイツらの取り柄とも言えるから良いんだけどな。

 転移を使い、一瞬で向こうまで行った。
 ……相変わらず豪華な宿だよな。
 まあ、あの豪華すぎる別荘の所有者には言われたくないと思うが。

 「トオル様ですね。ウルティマ様がお待ちです」

 今度は名前を覚えられていたようで、俺が入った瞬間、すぐに声をかけて来た。
 ……そりゃ結構短期間にお邪魔しているからな。覚えられて当然か。

 「おーい、いるか?」

 俺はウルティマの部屋まで移動して、中へ呼びかけた。

 「はーい」

 中から声がした。
 この声は楓だな。

 「あ、透。もう来たの?」

 「早かったか?」

 「そんなことはないんだけど、みんなまだ準備にちょっと時間かかるって」

 準備……?
 なんの準備をするんだ?
 何か予定とかあったっけ?楓は何故かドレスを着てるけど。

 「あれ?透は知らなかったの?今回のオークションはパーティも兼ねているんだよ?」

 な、何だと!?そんなの聞いてないぞ!
 俺はてっきりオークションをするだけだと聞いたからいつもの服で来たのに、これだったら俺だけ目立つじゃねぇか!
 他の参加者がドレスとか着てるのに比べて俺は完全に戦闘用の服。場違い感がパネェ。

 「今からでも着替えてきたら?後10分ぐらいはかかると思うよ?」

 「……いや、もういい」

 俺は正装とか特にいいやつないし。
 何だか気分がすごく落ちた気がする……。

 「それでどう?似合ってる?」

 楓が俺にドレスの似合い具合を聞いてきた。
 ……俺に聞くのはどうかと思うがこういう時には、

 「いいんじゃないか?」

 と答えておくのが常設だ。

 「じゃあどこが良かったの?」

 ぐっ……!
 何といういやらしい手を打ってくるんだ!
 普通ここで会話が終わるところだろ!

 「……似合っているとしか言えないんだが……」

 「ダメです〜。しっかり感想を述べてください」

 無理!
 俺に服のセンスがあるとでも思うたか!?致命的に無いんだよ!そんな奴が感想を言えと言われたら似合ってるぐらいしかないんじゃないの!?

 「………………………色があってると思う」

 絞りに絞り出した結果がこれだった。
 
 「うーん……ギリギリ欠点回避だね」

 クソッ、ナメやがって!

 「じゃあみんなも来たみたいだから感想よろしく」

 楓は俺に絶望を告げ、部屋の奥へと去っていった。

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