全スキル保持者の自由気ままな生活
93話 最強兵器のミニミニスケール版
 いざ寝ようとしていたその時、ルーナが中に入ってきた。
「……ん?あ、トオル起きてたんだ……。おはよう」
 「まだ寝ててもいいんだぞ?」
 だって今夜中の3、4時ぐらいなんだぞ?
 このぐらいに起きるのは大丈夫なのか?
 「あははっ、眠れなくて……」
 「はぁ……」
 もしかして不眠症とかそういうんじゃあないよな?そんなんだったら本当に心配なんだけど……。
 「そういえばここってさっき寝ていたところとは違うけど、どこなの?」
 「ん?ああ、ルーナには言ってなかったな。ここはもうタルサ王国手前だぞ」
 「うそっ!?まだ私たちが馬車に入ってから三時間ぐらいしか経ってないよね?!」
 「そうだな」
 「……トオルってやっぱり規格外だよね……」
 「当たり前だろ?」
 自分で言うのもあれだが、ほぼ全知全能な自信がある。
 ……これは貰い物の力でもあるんだけど、それでもその力を生かしてここまで強くなったのは、単純に自分の努力とも言える……はず。
 言い切れないのは、もっと血反吐吐くような思いをしている人がいるってことなんだよなぁ……。
 「じゃあ明日にはタルサ王国に入れるんだね……」
 「どした?」
 ようやく念願のタルサ王国だったはずなのに、なんだか元気がないな……。
 「いや、特に深い意味はないんだけど、私が楽しんでいいのかな……?」
 そんなことで悩んでいたのか……。
 俺が落胆しているような態度を見えると、ルーナは顔を真っ赤にして反論した。
 「ちょっと何!?その“そんなに大した悩み事じゃないのになんでそんなに悩んでるんだよ……”とでも言いたげな表情は!」
 「いや……俺はそんなことで悩まないかな……?少なくとも楽しめばいいんじゃないのか?」
 「私は王女としての身分があるの。簡単に遊んでいられないのよ」
 「ならなんで女王様はルーナのことを行かせてくれたんだ?少しはそういうところも考えたらどうだ?」
 「あんまり考えていないトオルに言われるとムカつく……!」
 ぐっ……。それを言われるとなんとも言えない……。
 「でも、少し気分は楽になったよ。ありがとう!」
 「どういたしまして」
 俺は本心を言ったまでだからな。
 「それじゃあもう寝るか?」
 「うん!おやすみ!」
 夜だというのに元気なルーナは馬車の中へと戻っていった。
 「さて……俺もそろそろ寝ようかな……」
 もうそろそろ日の出が見えてきてもおかしくない時間帯だ。
 ……いつもなら考えられないほど起きてたな、俺……。
 
 そんなことを思いながらも、今度こそテントに潜り寝るのだった。
 そして翌日。
 「起きて!ご主人様!」
 「……ん?どうした?」
 「いいからこっち来て!!」
 何やらとてつもないことが起こったらしく、珍しくエルが慌てている。
 ……一体何があったんだ……?
 「お前がカネヤマトオルだな!ミリア王女殿下の誘拐罪で現行犯逮捕とする!」
 ……これまた面倒なことがやってきたなぁ……。
 ……これって国際問題にならないかなぁ……。そうなった時のこいつの顔を見てみたい。
 そう思いながらも、しっかりと捕まっていく俺だった。
 こういう経験は大切だからね!
 それからしばらく経ち、俺はとりあえず牢屋にぶち込まれた。
 楓たちは上で保護という身分になっている。
 ……完全に誰かが俺に責任を押し付ける名目でやったんだろうなぁ……。
 そうじゃなかったら楓たちも同罪認定されているはずだし、それか単にそいつが女性を牢に入れたくないとでもいいそうな変態かの二択だな。
 俺は今の自分の状況を確認してみる。
 ……緩い拘束だな……。
 俺のは、両腕と両足に鉄の錠が取り付けられている。
 はっきりと言うのならこんなの5秒で脱出出来る自信がある。
 俺の拘束を人間用にしたのが誤りだったな!
 身につけていたものは全て没収され、囚人服のようなものに着替えさせられている。
 ……これはこれでいいかもな……。
 「あんたもここに放り込まれたのか?」
 ふと俺は隣を見てみると、そこには髭を生やした少し中年の男がいた。
 「あんたは……?」
 「俺はしがない奪回者だ」
 「……?どう言う意味だ?」
 「俺はこの国の騎士のうちの一人に不正に捕らえられたんだよ。家族を献上させられてな……」
 ……それは酷い。
 ていうかアイツらもその騎士の手下ということか。
 ……なるほど読めた。
 貴族的に身分が弱いものが俺の存在を知るよしもない。
 つまり、これは国による判断じゃなく、その騎士の独断である可能性が高い。
 ……ていうか同盟を結んだのに一週間も経たずに破るのは本当にどうかと思う。
 「それじゃあ逃げるか?」
 「逃げるってどこにいくんだよ!!」
 男は今にも腕を引きちぎりそうなぐらい、力を入れる。
 
 「じゃあ言い方を変えようか。俺を信じる気はあるか?」
 「……それのなんのメリットがある?」
 口で言うよりも見てもらう方が早いだろう。
 そう思った俺は鉄の錠を力だけで引きちぎった。
 「なっ!?」
 「俺には鉄など余裕でこじ開けられるほどの力がある。どうだ?意見は固まったか?」
 「……ああ!俺は家族を助けたい!その為だったら悪魔の力だって借りてやるさ!」
 「いい度胸だ」
 悪魔じゃないんだけどね……。
 やっぱり俺って神っていうイメージからかけ離れているような存在なのかな……?
 「じゃあ一気に行きますか。それで他に不当に捕まっている人はいるのか?」
 「他にも数人はな……。でもどうするんだ?」
 「決まってるだろ?全員助ける。というわけで全員の特徴を教えてくれ」
 男から全員の情報を集める。
 「OK。じゃあちょっくら行ってくるわ」
 「行くってどこへ?」
 「それは……少し待ってろ」
 俺は透過スキルを使用する。
 これで壁は抜け放題だぜ!
 それからしばらくして、
 「よし、これで全員だな」
  
 俺はここにいた囚人たちを全員連れてきた。
 
 「……全員連れてくることもなかったんじゃないのか?」
 「いいんだ。それより不当に捕らえられた人は誰なんだ?」
 やっぱり口で言われてもよく分からなかったから全員連れてきた。
 「えーっと……こいつとこいつと……」
 そして男の選別は進んでいく。
 「じゃあこれで全員だな。取り敢えずお前らの錠は取っておいたから。それと服だ。これで外を歩いていても不審がられることはないだろう」
 「「「「「……」」」」」
 俺は一瞬で指定された人の錠を外す。
 俺がとんでもないことをしたのか、口が開きっぱなしの人が何人もいた。
 それからすぐに着替える。
 「よし、これで着替え終わったな。じゃあ取り敢えずタルサ王国の街の中に転送するけどいいか?」
 「あ、ああ」
 了承も得たことだし、俺はそのメンツを転移で移動させた。
 「さてお前ら。俺と組む気はあるか?」
 「……なんのつもりだ?」
 囚人の中のガタイのいい男が俺に聞いてきた。
 「いや、ここにいるやつらもそこまで悪いようなやつじゃないかなって思ったからだよ。別に来たくなかったら来なくていいよ。牢獄にいるだけだ」
 「……」
 「俺は交渉をしてるんだ。そちらが俺の下で働いてくれるんだったら無罪放免、指名手配も無しにすることを約束しよう」
 その瞬間、辺りがザワザワっとなった。
 「……お前にそれが可能なのか?」
 「うーん……、普通に交渉じゃ難しいかな……」
 「なら……」
 「でもここを跡形もなく爆発して、ここにいる全員は死亡したということには出来る」
 
 俺は断言した。
 ま、こういう時のために対城用の素材はすでに揃えてある。
 「てってれ〜〜!!水素爆弾超ミニバージョン〜〜!!」
 俺が手に持っているのは文字通り、水素爆弾を小型化したものだ。
 直径1pm以下。目で見ることが不可能、電子顕微鏡でも見ることが出来ないハイパーミニサイズの水爆だ。
 ……実際俺も握れているのかよく分かっていない。
 だが!俺にはこの起爆スイッチがある!
 普通はこんなのないんだけど、あった方が便利かな?って思って取り付けておいた。
 「……あんたは今何を握ってるんだ?」
 「え?超最強兵器のミニミニスケール版」
 「「「「「?????」」」」」
 その場にいた全員が何を言っているのか分からなかった。
 「それでここに残りたい奴はいるか?」
 俺はそう聞くと、誰も手を挙げなかった。
 だけど、そこまで行きたくなさそうな顔をしている。
 「まあ安心しろって。俺は結構金持ってるから働いたらキチンと給料渡すって」
 それだけ言うと、俺は手を離す。
 「それじゃあ行くぞ。掴まってろ」
 全員に指示を通し、俺は予め必要になると思って前に掘っていた地下室へと転移した。
 そして起爆スイッチを押す。
 ……結果は確認できなかったなぁ……。
 そう思う俺だった。
 その日、一つの牢が跡形もなく破壊され、中にいた囚人は全滅したと報告された。
「……ん?あ、トオル起きてたんだ……。おはよう」
 「まだ寝ててもいいんだぞ?」
 だって今夜中の3、4時ぐらいなんだぞ?
 このぐらいに起きるのは大丈夫なのか?
 「あははっ、眠れなくて……」
 「はぁ……」
 もしかして不眠症とかそういうんじゃあないよな?そんなんだったら本当に心配なんだけど……。
 「そういえばここってさっき寝ていたところとは違うけど、どこなの?」
 「ん?ああ、ルーナには言ってなかったな。ここはもうタルサ王国手前だぞ」
 「うそっ!?まだ私たちが馬車に入ってから三時間ぐらいしか経ってないよね?!」
 「そうだな」
 「……トオルってやっぱり規格外だよね……」
 「当たり前だろ?」
 自分で言うのもあれだが、ほぼ全知全能な自信がある。
 ……これは貰い物の力でもあるんだけど、それでもその力を生かしてここまで強くなったのは、単純に自分の努力とも言える……はず。
 言い切れないのは、もっと血反吐吐くような思いをしている人がいるってことなんだよなぁ……。
 「じゃあ明日にはタルサ王国に入れるんだね……」
 「どした?」
 ようやく念願のタルサ王国だったはずなのに、なんだか元気がないな……。
 「いや、特に深い意味はないんだけど、私が楽しんでいいのかな……?」
 そんなことで悩んでいたのか……。
 俺が落胆しているような態度を見えると、ルーナは顔を真っ赤にして反論した。
 「ちょっと何!?その“そんなに大した悩み事じゃないのになんでそんなに悩んでるんだよ……”とでも言いたげな表情は!」
 「いや……俺はそんなことで悩まないかな……?少なくとも楽しめばいいんじゃないのか?」
 「私は王女としての身分があるの。簡単に遊んでいられないのよ」
 「ならなんで女王様はルーナのことを行かせてくれたんだ?少しはそういうところも考えたらどうだ?」
 「あんまり考えていないトオルに言われるとムカつく……!」
 ぐっ……。それを言われるとなんとも言えない……。
 「でも、少し気分は楽になったよ。ありがとう!」
 「どういたしまして」
 俺は本心を言ったまでだからな。
 「それじゃあもう寝るか?」
 「うん!おやすみ!」
 夜だというのに元気なルーナは馬車の中へと戻っていった。
 「さて……俺もそろそろ寝ようかな……」
 もうそろそろ日の出が見えてきてもおかしくない時間帯だ。
 ……いつもなら考えられないほど起きてたな、俺……。
 
 そんなことを思いながらも、今度こそテントに潜り寝るのだった。
 そして翌日。
 「起きて!ご主人様!」
 「……ん?どうした?」
 「いいからこっち来て!!」
 何やらとてつもないことが起こったらしく、珍しくエルが慌てている。
 ……一体何があったんだ……?
 「お前がカネヤマトオルだな!ミリア王女殿下の誘拐罪で現行犯逮捕とする!」
 ……これまた面倒なことがやってきたなぁ……。
 ……これって国際問題にならないかなぁ……。そうなった時のこいつの顔を見てみたい。
 そう思いながらも、しっかりと捕まっていく俺だった。
 こういう経験は大切だからね!
 それからしばらく経ち、俺はとりあえず牢屋にぶち込まれた。
 楓たちは上で保護という身分になっている。
 ……完全に誰かが俺に責任を押し付ける名目でやったんだろうなぁ……。
 そうじゃなかったら楓たちも同罪認定されているはずだし、それか単にそいつが女性を牢に入れたくないとでもいいそうな変態かの二択だな。
 俺は今の自分の状況を確認してみる。
 ……緩い拘束だな……。
 俺のは、両腕と両足に鉄の錠が取り付けられている。
 はっきりと言うのならこんなの5秒で脱出出来る自信がある。
 俺の拘束を人間用にしたのが誤りだったな!
 身につけていたものは全て没収され、囚人服のようなものに着替えさせられている。
 ……これはこれでいいかもな……。
 「あんたもここに放り込まれたのか?」
 ふと俺は隣を見てみると、そこには髭を生やした少し中年の男がいた。
 「あんたは……?」
 「俺はしがない奪回者だ」
 「……?どう言う意味だ?」
 「俺はこの国の騎士のうちの一人に不正に捕らえられたんだよ。家族を献上させられてな……」
 ……それは酷い。
 ていうかアイツらもその騎士の手下ということか。
 ……なるほど読めた。
 貴族的に身分が弱いものが俺の存在を知るよしもない。
 つまり、これは国による判断じゃなく、その騎士の独断である可能性が高い。
 ……ていうか同盟を結んだのに一週間も経たずに破るのは本当にどうかと思う。
 「それじゃあ逃げるか?」
 「逃げるってどこにいくんだよ!!」
 男は今にも腕を引きちぎりそうなぐらい、力を入れる。
 
 「じゃあ言い方を変えようか。俺を信じる気はあるか?」
 「……それのなんのメリットがある?」
 口で言うよりも見てもらう方が早いだろう。
 そう思った俺は鉄の錠を力だけで引きちぎった。
 「なっ!?」
 「俺には鉄など余裕でこじ開けられるほどの力がある。どうだ?意見は固まったか?」
 「……ああ!俺は家族を助けたい!その為だったら悪魔の力だって借りてやるさ!」
 「いい度胸だ」
 悪魔じゃないんだけどね……。
 やっぱり俺って神っていうイメージからかけ離れているような存在なのかな……?
 「じゃあ一気に行きますか。それで他に不当に捕まっている人はいるのか?」
 「他にも数人はな……。でもどうするんだ?」
 「決まってるだろ?全員助ける。というわけで全員の特徴を教えてくれ」
 男から全員の情報を集める。
 「OK。じゃあちょっくら行ってくるわ」
 「行くってどこへ?」
 「それは……少し待ってろ」
 俺は透過スキルを使用する。
 これで壁は抜け放題だぜ!
 それからしばらくして、
 「よし、これで全員だな」
  
 俺はここにいた囚人たちを全員連れてきた。
 
 「……全員連れてくることもなかったんじゃないのか?」
 「いいんだ。それより不当に捕らえられた人は誰なんだ?」
 やっぱり口で言われてもよく分からなかったから全員連れてきた。
 「えーっと……こいつとこいつと……」
 そして男の選別は進んでいく。
 「じゃあこれで全員だな。取り敢えずお前らの錠は取っておいたから。それと服だ。これで外を歩いていても不審がられることはないだろう」
 「「「「「……」」」」」
 俺は一瞬で指定された人の錠を外す。
 俺がとんでもないことをしたのか、口が開きっぱなしの人が何人もいた。
 それからすぐに着替える。
 「よし、これで着替え終わったな。じゃあ取り敢えずタルサ王国の街の中に転送するけどいいか?」
 「あ、ああ」
 了承も得たことだし、俺はそのメンツを転移で移動させた。
 「さてお前ら。俺と組む気はあるか?」
 「……なんのつもりだ?」
 囚人の中のガタイのいい男が俺に聞いてきた。
 「いや、ここにいるやつらもそこまで悪いようなやつじゃないかなって思ったからだよ。別に来たくなかったら来なくていいよ。牢獄にいるだけだ」
 「……」
 「俺は交渉をしてるんだ。そちらが俺の下で働いてくれるんだったら無罪放免、指名手配も無しにすることを約束しよう」
 その瞬間、辺りがザワザワっとなった。
 「……お前にそれが可能なのか?」
 「うーん……、普通に交渉じゃ難しいかな……」
 「なら……」
 「でもここを跡形もなく爆発して、ここにいる全員は死亡したということには出来る」
 
 俺は断言した。
 ま、こういう時のために対城用の素材はすでに揃えてある。
 「てってれ〜〜!!水素爆弾超ミニバージョン〜〜!!」
 俺が手に持っているのは文字通り、水素爆弾を小型化したものだ。
 直径1pm以下。目で見ることが不可能、電子顕微鏡でも見ることが出来ないハイパーミニサイズの水爆だ。
 ……実際俺も握れているのかよく分かっていない。
 だが!俺にはこの起爆スイッチがある!
 普通はこんなのないんだけど、あった方が便利かな?って思って取り付けておいた。
 「……あんたは今何を握ってるんだ?」
 「え?超最強兵器のミニミニスケール版」
 「「「「「?????」」」」」
 その場にいた全員が何を言っているのか分からなかった。
 「それでここに残りたい奴はいるか?」
 俺はそう聞くと、誰も手を挙げなかった。
 だけど、そこまで行きたくなさそうな顔をしている。
 「まあ安心しろって。俺は結構金持ってるから働いたらキチンと給料渡すって」
 それだけ言うと、俺は手を離す。
 「それじゃあ行くぞ。掴まってろ」
 全員に指示を通し、俺は予め必要になると思って前に掘っていた地下室へと転移した。
 そして起爆スイッチを押す。
 ……結果は確認できなかったなぁ……。
 そう思う俺だった。
 その日、一つの牢が跡形もなく破壊され、中にいた囚人は全滅したと報告された。
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