全スキル保持者の自由気ままな生活
85話 その神、萎える
 本選第一試合が今、始まった。
 「唸れっ!」
 今回はミサタよりも弱いと踏んだのか、詠唱を短縮していた。
 まあそれでも十分すぎるほどの数だ。
 ……あれを防げるのは人外しかいない。
 
 「おっとカエデ選手!早くも勝負を決めにきたか!?」
 まあこの技は雑魚処理とか即急に倒すにはちょうどいい。
 俺の場合はそれこそ吹っ飛んじまうからな。
 体の部位が。
 「場を埋め尽くす矢が一斉に襲いかかってくる~~!!」
 流石に分が悪いだろうな。
 前の予選を見ると、アイツは魔法使いだった。
 詠唱を短略化すら出来ない時点で勝てないだろうな。
 俺の分析は正しく、相手に何もさせることなく楓が勝っていた。
 「そこまで!勝者二年Sクラス!!」
 やっぱりな。
 ていうかこの程度で苦戦してたら絶対に舐めプしてるだろ?
 「やったよ!」
 そう言って楓はこちらに詰め寄ってきた。
 「まあ楓なら当然だろうな」
 「まあね!」
 胸を張ってドヤ顔で話す。
 ……そこでドヤ顔になられても困るんだが……。
 「次は……二年Aクラス1と三年Cクラス2の試合だね」
 「そうだな」
 ……どうせ俺のところにいっぱい三年が来たから勝ったんだろうな。
 これをまぐれ勝ちというのか?
 「レディー……ゴー!」
 そして試合が始まった。
 ……遅い!
 何チンタラしてるの!?
 二人は魔法を唱えようとしているのかその場で棒立ちになっていた。
 ……こりゃダメだ……。
 無詠唱ぐらい使えるようにしておけよ……。
 一般人でさえ使えるのに……。
 「今!決着がついた~~!勝者は二年Aクラス1!」
 ま、そうだろうな……。
 だってもう一つの方、全然なってなかったもん。
 
 「今の試合、どうだった?」
 「全然ダメだな。これなら俺のクラス全員勝てるな」
 「やっぱり?Sクラスのみんなも勝てると思うよ?」
 「少なくとも旧一年Sクラスのメンツなら勝てるな」
 「そうだね」
 俺たちは冷静な分析を下す。
 これは実際に身内贔屓や誇張でもなく、実際にそうなる。
 それに上位陣からしてみれば2対1でも余裕だろうな。
 「それでは次に二年Eクラス3と一年Sクラスの試合を行います!」
 「呼ばれたね」
 「だって勝ったしな」
 順番も次に呼ばれるって分かってたし。
 「相手が一年生で女の子だからって手加減なんてしないでね?」
 「それはちょっと無理かな……?」
 だって俺は女の子を傷つける主義なんてないし。
 
 そして俺はリングに上がると、金髪の女の子に睨まれた。
 「あなたがお姉様を……!絶対に許さない!!」
 ありゃ?
 誰かと人違いをしてるんじゃないですかね?
 俺って傷つけたのってあの自己中クソイケメンしかいないと記憶しているんだけど……?
 しかもそのセリフだと俺が人を殺したようじゃないか!失敬な!
 「まあその話は後でしようぜ。今は集中したらどうだ?」
 「……っ!!」
 俺がそういうと、彼女の顔がバカにされたことを怒るように真っ赤に染まる。
 「ここで特別ルールの発表です!トオル選手は今から魔法の使用禁止&一歩も動いてはダメということになりました!」
 おうおう……。
 これまた厳しいルールだな……。
 
 「ちっ……!運営がやりやがったな……!」
 なんとも乱雑な言葉を話す彼女。
 ……この人本当に誰の妹なの?
 そこがめっちゃ気になるんだけど!
 「それでは……レディー……ゴー!」
 こうして試合が始まる。
 
 「凍りつけ!」
 彼女がそう唱えると、辺りが吹雪に覆われた。
 「おおー!」
 すごいな!このレベルを無詠唱なんてこの学校ではかなりの上位に入るレベルだろうな。
 だが!
 「はっ!」
 俺は魔力操作で体外にある魔力を操り、吹雪の粒一つ一つに当てると、吹雪自体が掻き消えた。
 「なっ!?」
 「甘い甘い。こんなんじゃ俺には勝つことは出来ないぞ?」
 「クソッ!」
 俺は煽って様子を見る。
 彼女の全力を見ておきたいしな。
 後の参考のために。
 「〈凍て狂え凍て狂え。汝の敵は皆凍らせよう。全てを銀色の世界に〉」
 おー!俺が見たことがない魔法だ!
 果たしてどのようなものがくるのか……。
 「コキュートス!」
 すると、水がこちらに向かって結構なスピードで飛んできた。
 ……いや、これただの水じゃねぇな。
 大気が凍りついている。
 「なら!インフェルノ!」
 俺の指先から煉獄の炎が氷水へと向かって突き進む。
 直撃すると、そこからものすごい勢いで水蒸気か暴走し、爆発が発生した。
 ……あれ?これ前にもあったような気がするんだけど?
 こんなに水蒸気に関連する爆発って俺の身の回りに近いものだったっけ?
 
 「うそっ!?」
 この技にかけていたのか、防がれた直後は何もすることができていなかった。
 あの氷の水で周りを凍らしてからやるつもりだったんだろうが、まだ甘い。
 「はっ!」
 俺はリングに拳を叩きつけた。
 するとリング全体が割れ、後ろの方に立っていた彼女が浮かび上がった。俺はそれを風の魔法でこちらへ呼び寄せる。
 「うわっ!ちょ……!」
 抵抗できずに流されていく。
 
 「ごめんな」
 俺はそう言い、彼女の首に手刀を叩き込んだ。
 彼女は強制的に意識を失った。
 「ピーピー!!トオル選手!魔法の使用により、失格です!!」
 ……………………………あ。
 やっちまったぁぁぁぁぁぁぁぁあああっ!!
 あのクソ理事長!!魔法使用禁止ルールなんて作ってんじゃねぇよ!!
 心の中で逆ギレしながら俺は頭を抱えてうずくまる。
 「えー、トオル選手失格により、次へコマを進めるのは一年Sクラスだ〜〜!!」
 ……ああ萎えた。
 ものすごい萎えた。
 
 魔法なんて日常の一部だからつい使ってしまった……。
 もういいし!
 たとえ負けようが目立つのは俺が目的じゃないからな。
 個人的に勝負をしたかっただけだし。
 「〈転移〉」
 俺はその場から転移で王城まで戻った。
 
 
 「……もう寝よ……」
 みんなには悪いことしたかな……?
 まあ、明日謝ろう。
 そう思い俺は寝た。
 魔導演武祭、最も盛り上がるイベント、大血闘は見るも嫌な反則負けで終わった。
 「唸れっ!」
 今回はミサタよりも弱いと踏んだのか、詠唱を短縮していた。
 まあそれでも十分すぎるほどの数だ。
 ……あれを防げるのは人外しかいない。
 
 「おっとカエデ選手!早くも勝負を決めにきたか!?」
 まあこの技は雑魚処理とか即急に倒すにはちょうどいい。
 俺の場合はそれこそ吹っ飛んじまうからな。
 体の部位が。
 「場を埋め尽くす矢が一斉に襲いかかってくる~~!!」
 流石に分が悪いだろうな。
 前の予選を見ると、アイツは魔法使いだった。
 詠唱を短略化すら出来ない時点で勝てないだろうな。
 俺の分析は正しく、相手に何もさせることなく楓が勝っていた。
 「そこまで!勝者二年Sクラス!!」
 やっぱりな。
 ていうかこの程度で苦戦してたら絶対に舐めプしてるだろ?
 「やったよ!」
 そう言って楓はこちらに詰め寄ってきた。
 「まあ楓なら当然だろうな」
 「まあね!」
 胸を張ってドヤ顔で話す。
 ……そこでドヤ顔になられても困るんだが……。
 「次は……二年Aクラス1と三年Cクラス2の試合だね」
 「そうだな」
 ……どうせ俺のところにいっぱい三年が来たから勝ったんだろうな。
 これをまぐれ勝ちというのか?
 「レディー……ゴー!」
 そして試合が始まった。
 ……遅い!
 何チンタラしてるの!?
 二人は魔法を唱えようとしているのかその場で棒立ちになっていた。
 ……こりゃダメだ……。
 無詠唱ぐらい使えるようにしておけよ……。
 一般人でさえ使えるのに……。
 「今!決着がついた~~!勝者は二年Aクラス1!」
 ま、そうだろうな……。
 だってもう一つの方、全然なってなかったもん。
 
 「今の試合、どうだった?」
 「全然ダメだな。これなら俺のクラス全員勝てるな」
 「やっぱり?Sクラスのみんなも勝てると思うよ?」
 「少なくとも旧一年Sクラスのメンツなら勝てるな」
 「そうだね」
 俺たちは冷静な分析を下す。
 これは実際に身内贔屓や誇張でもなく、実際にそうなる。
 それに上位陣からしてみれば2対1でも余裕だろうな。
 「それでは次に二年Eクラス3と一年Sクラスの試合を行います!」
 「呼ばれたね」
 「だって勝ったしな」
 順番も次に呼ばれるって分かってたし。
 「相手が一年生で女の子だからって手加減なんてしないでね?」
 「それはちょっと無理かな……?」
 だって俺は女の子を傷つける主義なんてないし。
 
 そして俺はリングに上がると、金髪の女の子に睨まれた。
 「あなたがお姉様を……!絶対に許さない!!」
 ありゃ?
 誰かと人違いをしてるんじゃないですかね?
 俺って傷つけたのってあの自己中クソイケメンしかいないと記憶しているんだけど……?
 しかもそのセリフだと俺が人を殺したようじゃないか!失敬な!
 「まあその話は後でしようぜ。今は集中したらどうだ?」
 「……っ!!」
 俺がそういうと、彼女の顔がバカにされたことを怒るように真っ赤に染まる。
 「ここで特別ルールの発表です!トオル選手は今から魔法の使用禁止&一歩も動いてはダメということになりました!」
 おうおう……。
 これまた厳しいルールだな……。
 
 「ちっ……!運営がやりやがったな……!」
 なんとも乱雑な言葉を話す彼女。
 ……この人本当に誰の妹なの?
 そこがめっちゃ気になるんだけど!
 「それでは……レディー……ゴー!」
 こうして試合が始まる。
 
 「凍りつけ!」
 彼女がそう唱えると、辺りが吹雪に覆われた。
 「おおー!」
 すごいな!このレベルを無詠唱なんてこの学校ではかなりの上位に入るレベルだろうな。
 だが!
 「はっ!」
 俺は魔力操作で体外にある魔力を操り、吹雪の粒一つ一つに当てると、吹雪自体が掻き消えた。
 「なっ!?」
 「甘い甘い。こんなんじゃ俺には勝つことは出来ないぞ?」
 「クソッ!」
 俺は煽って様子を見る。
 彼女の全力を見ておきたいしな。
 後の参考のために。
 「〈凍て狂え凍て狂え。汝の敵は皆凍らせよう。全てを銀色の世界に〉」
 おー!俺が見たことがない魔法だ!
 果たしてどのようなものがくるのか……。
 「コキュートス!」
 すると、水がこちらに向かって結構なスピードで飛んできた。
 ……いや、これただの水じゃねぇな。
 大気が凍りついている。
 「なら!インフェルノ!」
 俺の指先から煉獄の炎が氷水へと向かって突き進む。
 直撃すると、そこからものすごい勢いで水蒸気か暴走し、爆発が発生した。
 ……あれ?これ前にもあったような気がするんだけど?
 こんなに水蒸気に関連する爆発って俺の身の回りに近いものだったっけ?
 
 「うそっ!?」
 この技にかけていたのか、防がれた直後は何もすることができていなかった。
 あの氷の水で周りを凍らしてからやるつもりだったんだろうが、まだ甘い。
 「はっ!」
 俺はリングに拳を叩きつけた。
 するとリング全体が割れ、後ろの方に立っていた彼女が浮かび上がった。俺はそれを風の魔法でこちらへ呼び寄せる。
 「うわっ!ちょ……!」
 抵抗できずに流されていく。
 
 「ごめんな」
 俺はそう言い、彼女の首に手刀を叩き込んだ。
 彼女は強制的に意識を失った。
 「ピーピー!!トオル選手!魔法の使用により、失格です!!」
 ……………………………あ。
 やっちまったぁぁぁぁぁぁぁぁあああっ!!
 あのクソ理事長!!魔法使用禁止ルールなんて作ってんじゃねぇよ!!
 心の中で逆ギレしながら俺は頭を抱えてうずくまる。
 「えー、トオル選手失格により、次へコマを進めるのは一年Sクラスだ〜〜!!」
 ……ああ萎えた。
 ものすごい萎えた。
 
 魔法なんて日常の一部だからつい使ってしまった……。
 もういいし!
 たとえ負けようが目立つのは俺が目的じゃないからな。
 個人的に勝負をしたかっただけだし。
 「〈転移〉」
 俺はその場から転移で王城まで戻った。
 
 
 「……もう寝よ……」
 みんなには悪いことしたかな……?
 まあ、明日謝ろう。
 そう思い俺は寝た。
 魔導演武祭、最も盛り上がるイベント、大血闘は見るも嫌な反則負けで終わった。
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